制作者がゲーム作りを楽しんでいないと ユーザーを楽しませることもできない
- 東京
- 株式会社スマイルマイスター 代表取締役 神﨑崇氏
ユーザーとのフェアな関係を求めてソーシャルゲームの世界へ
株式会社スマイルマイスターを設立された経緯をお教えください。
私はもともと、コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム)会社の広報営業部に所属していたんです。ですが、様々な仕事を経験するうちに、コンシューマーゲームの売り方が私の肌に合わないような気がしてしまいまして…。そんな違和感を覚えながら仕事を続けることはできないな、と考えて、オンラインゲームの運営会社に転職しました。
コンシューマーゲーム販売の仕組みについて、どのような点に違和感を覚えられたのでしょうか?
コンシューマーゲームはメーカーから流通への売り切りです。その先に小売店があるわけですがメーカーへの返品はできません。ですから、コンシューマーの営業担当の役割は、「ユーザーに売ること」ではなく「小売店に売ること」だったんです。 つまり、少し悪い言い方をすれば、ユーザーが買ってくれるかどうかは多くのタイトルが販売段階では重要視していません。ですが開発者がそれこそ心血を注いで制作した作品が、最後の段階でこのように世に出て行くことが、私はどうしても馴染めませんでした。 なので退職して、メーカーとユーザーの間に何も入らず、直接ユーザーにアプローチできるオンラインゲームの世界に移りました。 実際、私にはオンラインゲームの方が合っていたようで、コンシューマーの時代よりも納得のいく仕事ができました。携帯向けのソーシャルゲームと出会ったのもこの時期ですね。
有志での勉強会がスマイルマイスター創業のきっかけに
その後、ソーシャルゲームの世界に移られたきっかけはなんだったのでしょうか。
自分たちのやりたいものを追いかけていくうち、たまたまソーシャルゲームという土壌にたどり着いたという感じでしたね。 実はその頃、我々は自主的にゲームの勉強会を開いていました。人気タイトルの魅力や特徴を学ぶため、毎週、お題となったゲームをプレイしては互いにレビューを行っていました。このゲームのシステムはよい、悪いや、ここはこう変えた方がいいんじゃないの?など。 そして、その勉強会が進むうちに「実際に自分たちでゲームを作ってみよう」ということになりました。机上で語り合うだけではわからないこともありますからね。ジャンルの候補はいくつかありましたが、やはり自分たちが得意とするオンラインバトルゲームの要素を詰め込んだ作品ができあがっていた、という感じですね。
その時に制作されたゲームの出来はいかがでしたか?
その作品が現在も稼働中の『ドラゴンハーツ』シリーズなんです。ですから、『ドラゴンハーツ』は弊社より先に誕生していました。先に『ドラゴンハーツ』の存在があって、「じゃあ、このゲームを世に出すために会社を作ろう」という順番で誕生したのがスマイルマイスターです。
最初の試作品がそのままヒット作になるとは、大成功ですね。
いえ、まだまだヒット作とまでは言えません。ただ、『ドラゴンハーツ』という作品は弊社にとって非常に重要なサービスとして位置付けていますので、今後もブラッシュアップを繰り返して、より皆さんに楽しんでいただける作品として成長させていきたいですね。
神崎社長は、『ドラゴンハーツ』制作のどのような部分に関わっていらっしゃるのですか?
ゲーム内に出てくるアイテム等のパラメータは私が調整しています。現時点で1000個以上のアイテムが登場していますが、それらの多くは私が直接調整したものです。
社長自らパラメータを調整されているのですか。それはかなりの手間ではありませんか?
確かに楽ではありませんが、ゲームバランスを左右する重要なポイントですからね。そこは手間を惜しまずに、今後もできる限り私自ら手を加えていきたいと考えています。
「好き」を仕事に生かし、ユーザーの笑顔を作り上げる
御社が求める人材像について教えていただけますか?
私が第一に求めるのは、細かいスキルや経験よりも内面ですね。またゲームは様々な要素がつまった最上のエンターテイメントだと思っています。なので作り手の制作者サイドがゲーム作りを楽しんでいないと、ユーザーを楽しませることもできない、というのが私の持論です。「スマイルマイスター」という社名も、我々とユーザーが常に笑顔でいられるようにという想いを込めて命名しました。 とは言っても、無理をして笑顔を作ってもしかたありませんから、やはり心からゲームが好きな人が就くべき仕事ではないでしょうか。 また自分のライフスタイルにゲームが入っているか、という点もかなり重要視しています。たとえば、仕事で疲れて帰ってきた日でも、「今日は疲れたな」と言いながら自然とゲームの電源に手が伸びたり、街を歩いてても自然とゲームショップに足が向いたり。それは決して仕事や義務感という意味ではなく、ライフスタイルの中にゲームがあるという事です。自分のライフスタイルにゲームが無い人は、この業界で本物になるのは難しいでしょうね。
では最後に、御社の今後の展望などをお聞かせください。
今後は、現在稼働中の『ドラゴンハーツ』を大切にしつつも、新たなサービスも新規に進めていきたいと考えています。元々は我々の勉強会から始まった『ドラゴンハーツ』ですが、実は、その時に同時に生まれたネタがいくつも温存してあるんです。ですから、今後はそれらの企画案も現実に形にできればと考えています。 スマイルマイスターという社名の通り、我々の使命は笑顔をお届けすることです。これからもその初心を忘れず、常に魅力あるエンタテインメントを提供する集団であり続けたいですね。
株式会社スマイルマイスター
- 代表取締役 :神﨑崇
- 事業内容:ゲームソフトの企画・開発・販売・運営/デジタルコンテンツの企画・開発
- 所在地:〒164-0013 東京都中野区弥生町2-41-17 東京コンテンツインキュベーションセンター No.9
- URL:http://www.smile-meister.jp
- 問い合わせメール:info@smile-meister.jp