人と人の縁を大切にしながら お客様の顔が見える 心の通った創る喜び
- 東京
- 株式会社オピカ 代表取締役 岡本明氏
周りからの応援で会社をスタート。独立は自分にとって意外な道のり
会社を設立した動機・きっかけをお教えください。
以前8年ほど在籍していた印刷会社を辞めることになる頃、新たに印刷会社を始めてみないか、と声を掛けていただいたり、お客様からの応援がありまして、設立することになりました。
お客様からの応援があっての設立、とのことですが、いつかは独立しようという考えはお持ちだったのですか?
いいえ、全く考えていませんでした。どちらかと言いますと人に仕えるタイプの人間なので、自分が社長になるとは思っていませんでした。独立するかどうかは、いろいろなチャンスが巡ってきた中で、自分がどう動くかだと思っていましたので、声が掛かった時は、独立する時期が来たのだと思いました。
ご自分から独立に向かわれたわけではないけれど、社長として20年になるわけですね。
今の起業家さん達は、「自分は独立するんだ」「こういった事業をやりたいんだ」と、熱意もビジョンもありますが、私の場合は本当に成り行きのまま、流れに乗ったような感じです(笑)。
「オカモト印刷」から「オピカ」へ。印刷だけに留まらない、事業の広がりを物語る社名変更
2012年9月に社名が「オカモト印刷」から「オピカ」に変わられましたが、どういった由来があるのですか?
当社のURLが「oka-p」(オカピー)で、音引で語尾を伸ばさず、止めた方が響きがいいだろうということと、「ピ」と「カ」の順番を入れ替えて、「オカピー」→「オカピ」→「オピカ」としました。見ていただくと分かるのですが、「オカモト印刷」のロゴの「OP」が双葉のマークだったんですね。「オカピ」ですと「OP」で始まりませんが、「オピカ」なら双葉のマークが残るということも考えました。
以前の精神を受け継ぎながら、次のステップへというわけですね。では、社名を変更したのはどういった理由からでしょうか?
今まで扱っていた「印刷」というカテゴリーだけでなく、「クリエイティブ」「雑貨」など、もっと広げていきたいという思いからです。「オカモト印刷」という社名ですと、印刷だけの会社だと判断されてしまいますので。社員からも「印刷」の2文字があると、新しく事業を手掛ける時に制限されてしまう、という意見があり、思い切って社名変更しました。 1年を過ぎて、社員は新しい社名にすぐに慣れたようですが、私はようやく、という感じです。長年親しんできた社名には愛着もありましたので、変えることに葛藤もありました。ですが、これは当社が変わっていくステップになると思います。
社員の方から社名変更の要望があったということは、以前から事業内容が広がっていたわけですね。
紙の印刷物だけでなく、サイン関係や、クリエイティブの部分をもっと充実させようと力を入れていましたので、それが徐々に広がりました。雑貨の扱いも大きくなり、2011年から雑貨類に印刷できる設備を導入しました。楽天市場で「モンゴベス」という、イラストを使ったシリーズのポストカード、ハンカチ、巾着、トートバッグ等、いろいろなアイテムを販売しています。
雑貨への取り組みについて、お教えください。
「モンゴベス」は元々アパレルショップの屋号で、10年以上前からその名前はありましたが、知り合ったのは5年くらい前です。当初弊社では、ポストカードなど紙の印刷物しか創っていなかったのですが、布製品なども手掛けるようになりました。独特の色使いで、フワッとした癒し系のイラストだと言われ、ニッチですが根強い人気があります。
こういったキャラクタービジネスに取り組まれたのはどのようなきっかけでしたか?
友人から「印刷で困っている人がいるから助けてあげて」という話があったことがきっかけです。その後、おつき合いをしていくうちに扱うイアテムが広がり、一緒に組むようになりました。
そうやってお声が掛かるのも、何かの縁ですね。
なにげなく頼まれたきっかけから、どんどん広がっていますね。皆さんが私どもを助けてくれているのかもしれません。
人と人とのめぐり合わせで現在の自分がいる。だから、縁を大切にしていきたい
子供の頃から絵やデザインはお好きだったのですか?
いいえ、全くそうではなかったんです、野原を駆け回ることが大好きでした。将来は学校の先生になりたいと思っていました。絵はヘタで、当時人気だったウルトラマンなどのキャラクターを描いても、全然似ていない、と言われました(笑)。
では、印刷業界に足を踏み入れたのは、どのようなきっかけですか?
実は自分から行こうという志はなく、働けと言われて行ったのが印刷会社でした。家から歩いて行ける職場で、楽をすることしか考えていませんでしたね。いかに楽に、人と同じ仕事をするか…。そういったことを一生懸命考える性格ですので、仕事の飲み込みや作業は早かったと思います。 何かを手掛ける時、必ず壁にぶつかりますので、どうしたら上手く解決するのか考えることが好きですね。自分からは行かなくても、目の前にあるものは越えていきたい、という気持ちはあります。
設立されてから、どのようなことに苦労されましたか?
経営面では、借金をしてマイナスから始めましたので、信用を得るまでは大変でした。仕入れが生じますので、売っていただかないとお客様へ提供できませんし、最初は仕入れ値も高いので、高く売らなくてはならず、設立後2年くらいはその点に苦労しました。そういった中でも、助けてくれる業者さんもいました、その時の方達とは今もおつき合いがあります。大切にし続けたいですね。
では、うれしかったのはどのようなことですか?
以前おつき合いのあった方が、この建物と当社を繋げてくれたことてす。実はこの建物は、以前私が在籍していた会社が入っていたんです。私どもの事業が少しずつ拡大し、杉並・中野界隈で印刷機を置いて工場として使用できる場所を探していた時期にたまたま、その会社が移転することを教えてくれ、いろいろと手配をしてくれたのです。今、この建物に当社があるのは、その人のおかげです。それはうれしかったですね。 すべて、人と人とのめぐり合わせが運良く動いていることから、現在の自分があるのだと思います。ですから、縁を大切にしていきたいと思います。
お客様に喜ばれてうれしかったことは、どのようなことがありましたか?
いいものを創ってくれてありがとう、と思っていただけるよう常に取り組んでいますので、絞るのは難しいですが、取引先で当社の社員のことを「あの営業さん、よくやってくれていますね。ありがとうございます」と言っていただけたことでしょうか。社員がほめられることは、心からうれしいですね。お客様に「ありがとう」と言われると励みになります。
創るものが喜ばれ、御社の“人”も喜ばれているのですね。そういった関係が築かれると、お客様はまたお願いたいと思うのではないでしょうか。
そうですね。私どもはリピータービジネスですから、何度も声を掛けていだたくことが基本で、そこにフォーカスしていかなくてはと思っています。そういった縁を大切にしています。印刷だけ・値段だけの勝負でなく、価値を認めてもらえるような行動をしていかなくてはと思っています。
紙の手触りとインクの匂い。時代は変わっても、印刷の良さを残し、伝えたいという思い
グリーンブリンティング(GP)認定マークを取得されていますが、以前から、環境に関心をお持ちだったのですか?
正直なところ、以前は無頓着な部分もありましたが、社会性を考えますと絶対に目を向けざるを得ないことだと思いました。私は杉並区の印刷工業組合の環境委員を務めていまして、それがきっかけでグリーンブリンティング(GP)認定マークを知り、取得しました。このマークを取得しているのは、全国で309工場(平成25年12月9日現在)です。 印刷にはいろいろな溶剤を使いますので、環境や働いている人達の健康をみんなで考えようと、取り組みました。大気汚染に繋がる揮発性のものは、ほとんど使っていません。使った場合はすぐにバケツの中に入れてフタをするといったことを徹底しています。
今後、手掛けていきたいことはありますか?
これからペーパーレスの時代になると言われていますが、やはり紙の風合いとインクの匂いを伝えていきたいですね。たまたま入った印刷業界ですけれど、長年いますと愛着も感じますし、昔から残っているいいものを残していきたいという思いがあります。たとえば、活字を使った活版印刷の機械を譲り受けて展示したいと思っています。活版印刷を知らない若い社員に「昔はこういう機械で印刷していたんだよ」と伝えたいですね。
取材日:2013年12月19日
企業名:株式会社オピカ
- 代表取締役:岡本明(おかもと あきら)
- 設立年月:1993年9月
- 資本金:1,000万円
- 事業内容:企画・制作・デザイン/キャラクターコンテンツの商品企画・制作/求人広告代理業/各種印刷・加工
- 所在地:東京都杉並区方南1丁目8番17号
- URL:http://www.oka-p.co.jp/
- お問い合わせ先:上記HPのお問い合わせフォームより