情報を「届けたい」という 思いを軸に、見る人の人生が充実する 映像とサービスを目指して

東京
株式会社フリーモーション 代表取締役 山田治氏
今回訪問した株式会社フリーモーションは、BS11で放映されている「世界豪華客船紀行」をはじめ、企業の販促用や政府観光局のプロモーションビデオ等も手掛ける映像の企画・プロデュース会社です。さらに、テレビとインターネット、両方のメリットを融合させた新しいプラットフォーム「IPTV」の開発にも取り組み、映像を核とした「伝えること」を追求し続けています。今回は、設立者となる代表取締役の山田治氏にお話を伺いしました。

思いもよらなかった独立 そのきっかけは、提案した旅行番組の制作

フリーモーションを設立されたきっかけをお教えください。

以前はテレビ番組の制作会社に12、3年在籍していたのですが、その時に自身が提案した、とある番組の企画が、諸々の関係もありその会社では受けられないことになりました。ですが、どうしてもその企画をやって欲しいという話があり、「じゃあ私の方でその仕事をやろう」と決心し、在籍しながら半年ほどかけて会社を立ち上げました。

では、そのお話がなければ会社設立の予定はなかった?

そうですね、それまで独立しようとは考えていませんでしたから。 でも、これでは全然記事になりませんね(笑)。

設立のきっかけになった“とある企画”とは、「世界豪華客船紀行」ですか?

はい。この番組がなければ、独立もありませんでした。もしかするとまた違うビジネスで独立の機会があったかもしれませんが、たまたま来た話に乗ったわけです。

きっかけはどこにあるか分かりませんね。先ほど、テレビ番組の制作会社に在籍されていたとのお話がありましたが、他にはどういったキャリアをお持ちですか?

最初は旅行会社に勤めていたのですが、その後は、ガイドブックの出版社や、CS放送の旅行系チャンネルの放送事業者で仕事をしてきました。

常に「旅」が仕事と結びついていますね。

そうなんです。縁あって、今も旅番組を手掛けることが多いですね。

「旅」には子供の頃から興味がありましたか?

そうですね、志向が遊牧民なので(笑)。1ヶ所に居たくないタイプなんです。旅行会社に勤めていた頃にも、色々な所へ行きました。ヨーロッパとアメリカが多かったですね。

では、映像はお好きでしたか?

テレビを見るのが好きでした。旅番組やニュース系ですね。映像の道に進んだのは、「旅行の情報を送り手から見る人に対して届けるビジネスをしたい」と考えていたからです。ガイドブックを作っていた頃から、そんな気持ちが心の底にあったのだと思います。

見たことのないものを届けたい その発想から生まれた「世界豪華客船紀行」

世界豪華客船紀行

BS11で放映されている「世界豪華客船紀行」。貴重なクルーズ体験を見て楽しめる旅行番組

「世界豪華客船紀行」は著作権を半分お持ちですね。

元々、企画を持ち込んでいたこともあり、スポンサー等も付けて、著作権のシェアも条件に提案していました。タレントものの映像と違い2次利用もしやすいので、コンテンツのディストリビューションのひとつとして「届けること」がスムーズです。 このコンテンツはテレビ放送だけで終わらせず、違う形で提供できる方がいいと常々思っていました。ラインナップが溜まった時、DVD化や海外版の制作などへ展開しやすい素材なので、活用できる場面がいろいろあると考えています。

豪華客船に的を絞ったのは、どういった理由でしょうか?

旅行番組は、温泉ものやグルメものなどいろいろありますが、豪華客船の中身は見たことがない方が多いのでテレビ向きだと思いました。 旅行素材として船の中を紹介するだけでも「ああ、こういう世界なんだ」と思ってもらえる。そういった形で見せるのはテレビ番組としてアリだなと考えたのです。撮影に同行する機会もあり、来週はイタリア・スペインの地中海クールズの撮影にいってきます。

確かに雑誌等でカフェや美術館は紹介されていても、豪華客船は載っていませんね。

絶景や世界遺産に近い、レアなコンテンツですね。旅行会社からのニーズもありますし、番組として成立すると思いました。

既成概念にとらわれない「自由な」発想で挑みたい その思いを込めた社名

既成概念にとらわれない自由な姿勢と、理想のビジネスモデルから名付けた社名

既成概念にとらわれない自由な姿勢と、理想のビジネスモデルから名付けた社名

社名の「フリーモーション」の由来はなんですか?

虐げられた人生から解放されたかったからです(一同笑)。 「フリー」は、まず「自由な」ということ。また、テレビ業界特有の新しそうで古い慣習がある中で、固定観念や既成概念に縛られずに違うスタイルで仕事をしたい、という意味があります。そして、クリス・アンダーソンの「フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略」という本があるのですが、「フリーミアム」というインターネットの無料のビジネスモデルについて感心して読み、そういったビジネスに憧れを感じていたことも理由のひとつです。情報を無料で提供してそれに価値を付けて何かできないか、というイメージがありました。 その「フリー」に加え、映像を意味する「モーション」という単語を合わせました。

2012年9月に設立されて2年近くなりますが、いかがですか? 現在手がけられている事業についてお教えください。

苦労しっぱなしです(笑)。今はテレビ局から請け負う番組制作がメインですが、新規事業として「IPTV」の事業を構築中でして、この事業を中心にできるよう取り組んでいます。 「コンテンツをつくること」と「流通させること」、その両方をやりたいですね。むしろ流通させることの方をやりたい、という気持ちが大きいです。

情報を「届けたい」というお気持ちが強いのですね。

そうですね。そのためにいろいろなツールを利用していきたいと思っています。

テレビとインターネットが融合したプラットフォーム「IPTV」で 見る人の人生を充実させたい

先ほど「IPTV事業」を広げていきたいとのお話がありましたが、詳しくお教えください。

テレビは、地上波・BS・CS合わせてチャンネルがたくさんありますが、映画・音楽・海外ドラマ・スポーツなど、資本がないと放送できないものばかりです。そうではなく、予算の少ない会社の情報発信やマニアックなアイドルなど、ニッチで嗜好性の高いコンテンツを発信したり、2020年の東京オリンピックで日本に来た外国人のために、本国の番組が見られるようにしたいという気持ちがあります。 またライブで有名講師の授業を見せるなどいろいろな所にニーズがありますので、「IPTV」のプラットフォームを構築することで、映像の新しい使い方を提案したいと思っています。

IPTV

テレビと同じ感覚で見られ、嗜好性の高い多様なニーズに応える「IPTV」

インターネットの良い点とテレビの良い点を合わせたプラットフォームなのですね。

そうですね。他にも具体的には、「老人ホームで見たい番組が無い」という声に対して、シニア向けのコンテンツを提供してもっと豊かに老後を過ごしたいただけるようにするなど、できることはたくさんあります。地上波やBS・CSではフォローできないニーズがまだまだありますので、放送したい事業者やコンテンツホルダーの方に「IPTV」で映像を提供していただくという考えです。

「IPTV」は特別な機材を付けずに普通のテレビで簡単に見られますから、インターネットが分からないお年寄りの方にも気軽に楽しめますね。

現在実験中で、間もなく始動できるのでは、という状況です。通常のネット配信ですと視聴人数が増えると動画が遅くなることもありますが、「IPTV」はそういったストレスなく、テレビと同じようにスムーズに見られます。

「IPTV」に加えて、手掛けたいことはありますか?

独創的なことをやりたいと思っています。自分でサービスや仕掛けを作ることをしたいですね。ドラマや映画などは映像そのものが商品になっていますが、情報番組やプロモーションビデオ・CMは商品や企業を知ってもらう「何かのための映像」です。その「何かのための映像」のフィールドで面白いことができればと思っています。たとえば、人材募集の映像を作れば学生と企業に繋ぐことができて社会貢献になりますから、一般企業に対して映像制作をアプローチする方法もあると思います。 「ネットと放送の融合」と言われていても、映像が活かされたビジネスはなかなか難しいですが、きっとこれから何かできるだろうと思っています。映像を使って、見る人の人生が充実するような新しいことを考えたいですね。

今後の事業展開に向けて、御社で働く人材にはどのようなことを求めていますか?

今のスタッフは船会社との繋がりや人の縁で集まっていて、立ち上げから今まで募集をしたことがないのですが、今後はインターネットの知識がある方で映像の仕事をやりたい人にも参加してほしいです。また、たとえば英語が出来るなど、何か得意技のある一芸に秀でた人の方がいいと思います。 テレビ業界にはネットのことを知らない人もいますが、映像だけでなくネットに関しても柔軟に知識を得ているような、両方のバランス感覚のある人がいいですね。

取材日:2014年6月19日

株式会社フリーモーション(英文 FreeMotion Inc.)

  • 代表取締役:山田治(やまだ おさむ)
  • 設立年月:2012年9月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:映像制作・IPTV事業
  • 所在地:東京都渋谷区宇田川町2-1 渋谷ホームズ917
  • URL:http://freemotion.co.jp
  • お問い合わせ先:上記HPの「お問い合わせ」より
続きを読む
TOP