WEB・モバイル2010.05.20

「何をするか」ではなく 「どんな会社にするか」への興味

東京
株式会社コーボーホールディングス 代表取締役 古城剛氏
 
2003年設立、インターネット広告の分野で着実に成長しています。他社にはない強力で、誠実なマーケティングを得意とするコーボーホールディングスはまた、「教育体制№1をめざす」をビジョンに掲げ、社員の力を伸ばし、アウトプットを最大化するインフラとしての会社のあり方を常に探っています。 代表取締役社長の古城剛さんに、お話をうかがいました。

「自分が理想と感じる“場”(会社)をつくってみたい」という夢

2003年に会社設立。独立、起業の動機は?

会社を設立し、やってみたいことがありました。会社を“場”としてとらえ、人やチームを大きく成長させるインフラを構築したいと考えていました。

もう少し詳細に、ご説明願います。

私は、決して優秀な人間ではないと考えていました。よってビジネスで生き抜くために人一倍の努力が必要だと考えて仕事に取り組んできました。そして、そんな経験の中で、「人のがんばり」や「人のがんばり方」に深い興味をいだくようになりました。 周りを見渡して、どうしてこの人はこんなに優秀なのに、もっとがんばらないのだろう、がんばりにムラがあるのだろうと感じることが多く、いつしか、そういったことが環境要因に大きく左右していると気づき、人の成長のプロセスをしっかりと支えることができる会社とはどういうものだろうと考えるようになりました。同様に、社員や社員がつくるチームの能力を最大限に生かし、アウトプットをより良くする会社のあり方にも深い興味をいだくようになったのです。 簡潔に言えば、「自分が理想と感じる“場”をつくってみたい」という夢ですね。

古城さんにとっては、どんな事業をするか以上に、どんな会社にするかが大切だったわけですね。

インターネットの世界は、チャンスにあふれています。うぬぼれて聞こえるかもしれませんが、私の中に、成功するであろう事業に関するアイデアはいくつもありました。それを形にするだけなら、在籍していた会社でもできたと思います。 「何をするか」ではなく、「どんな会社にするか」への興味が膨らんだ結果、独立、起業することになりました。

ビジネスでの成功だけでなく、どんな会社であるべきかまで考え、設立された会社はそう多くないと思います。

ここまで説明した考えを、私は、「教育体制№1をめざす」と、会社のビジョンとして明示しています。

せっかく一緒に仕事するなら、「一緒にやって楽しかった」、 「この会社でいい経験ができた」と思ってもらいたいじゃないですか。

「教育体制№1をめざす」の、具体策は?

ビジョンの下に、「ティーチングとコーチング」、「職育と技育」の2つの体系を設けています。 「ティーチングとコーチング」分野では、たとえば始業すぐにトップスピードに入ることを狙って、始業の最初に社員が雑談する手法を採り入れています。

雑談、ですか?

朝一に、テンションが低い人が多くないですか? 私はいつもテンションは高止まり(笑)なので、朝一番から仕事にフル回転できますが、そうでない人はどうすればいいのかと考え、組織活性化のための手法として「グッド・アンド・ニュー」を参考に考案しました。最近あった“良かったこと”“新しい発見”を各自発表し、 最後に“ありがとう”で終わる雑談で、心と頭を暖めてから仕事に入るのです。 「ティーチングとコーチング」分野にはもうひとつ、週2回、年100回、社員が持ち回りで講師を務める勉強会である「レッスン100」というプログラムも稼働しています。

「職育と技育」とは?

社員が、プロとしていかに能力を伸ばすかを考えたプログラムです。まず大切にしているのは、社員個々に、「自分はこうしたい」、「こうありたい」を口にする機会を多く設けること。考えているだけではなく、口にすることに大きな意味があります。 その上で現状を数値化し分析、個人目標を設定してチェックシートで管理し、努力しています。

設立間もないインターネット企業で、ここまで社員の就労環境に心を砕いている会社は少ないと思います。

せっかく一緒に仕事するなら、「一緒にやって楽しかった」、「この会社でいい経験ができた」と思ってもらいたいと考えています。たぶんこれは、私が関西人のせいだと思いますが、サービス精神が無意識に前に出るのです(笑)。

たとえば、当社は時間軸に対する考え方と、 数字の重み付けを大切にしています。

失礼ながら、環境整備が優れていても、事業が伸びるとは限らないように思います。

もちろん、その通りです。そこを置き去りにするつもりはありません。自分たちのビジネスの軸足がどこにあるかは、ことあるごとに社員と確認し合っています。

軸足とは?

現状、当社の事業は売り上げの約70%がインターネット広告事業、約30%が通販事業。ここまでの成長を支えてきたが前者で、現在、次なる大きな事業の柱として成長しているのが後者です。

ここまでの成長を支えた、インターネット広告事業での、御社の強みは?

マーケティング力です。数字を精査して、しっかりとしたマーケティングをする。言葉にすればシンプルですが、シンプルなミッションを誠実に実行することで顧客の信頼を獲得しています。

言葉がシンプルであることこそ、実行が難しいということでしょうね。

たとえば、当社は時間軸に対する考え方と、数字の重み付けを大切にしています。 人のアイデアは、不確定要素です。それに委ねすぎると、会社のアウトプットは上がりません。私たちは仕事に取り組んだ際に、真っ先に、評価をくだせる数値をはじきだせるまでの最小単位を見きわめます。そして、その最小単位をPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善を連動させる手法)に乗せ、何度も何度も回します。競合他社さんが与えられた2週間で案をひとつ出す間に、当社内ではPDCAが2回転、3回転している。そこが当社の強みになっています。

今後の目標は?

来期は、今期の売り上げ倍増をめざしています。インターネットのベンチャー企業は、それくらいの目標を設ける必要があると思います。今期の成長の要は、今年で3年目になる通販事業になると考えています。

目標達成、そしてその先のさらなる成長。 どちらも、古城さんの中では確信に近づいているのでしょうね。

ビジョンのような、明確な言葉にはしませんでしたが、心の中で暖めた、理想の会社を表した言葉があります。それは、「とにかく、みんなが一生懸命」。最近、この会社はそうなっていると実感させられるできごとがありました。ですから、将来展望は、かなり明るく見えてきています。

取材日:2010年5月

株式会社コーボーホールディングス

  • 代表取締役:古城剛
  • 事業内容:
    • インターネット広告代理業
    • インターネットメディア事業
    • インターネットコンテンツ事業
    • システム開発受託事業
      • 設立:2003年5月1日
      • 資本金:1,000万円
      • 所在地:〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2丁目14番地 ノービィビル7階
      • Tel:03-3513-7630
      • Fax:03-3513-7631
      • URL:http://cobohd.co.jp
続きを読む
TOP