トップランナーになれる 可能性のあることに取り組みたい
- 東京
- アップフロンティア株式会社 代表取締役社長 花本浩氏
「WEBサイトにこなくてもユーザーとのコミュニケーションを 完結させるツール」――それが、ウィジェット。
ウィジェットに着目し、事業展開するに至った経緯などを教えてください。
当社を設立した2005年当時、サイト利用者を特定のWEBサイトに再訪問するよう働きかけるツールはメールくらいしか存在しませんでした。一方で、ブロードバンド環境が定着し常時接続が普及、パソコンの性能が上がり、画面の解像度も上がりつつある中、アメリカでウィジェットをコミュニケーションツールとして活用する動きが生まれていました。 私自身、通信を前提としたアプリケーションはWEBサイトと同じ機能を発揮できるのではと考えていたところで、デスクトップ上のミニアプリケーションを「WEBサイトにこなくてもユーザーとのコミュニケーションを完結させるツール」とする利用法に大きな可能性を見出しました。
先見の明、ですね。
少なくとも当時、そのような考えを持つ競合はいなかったようです。ウィジェットというものは実はかなりの歴史を持ち、パソコンの黎明期からデスクトップアクセサリとしてさまざまなものが存在しました。ブロードバンド環境を背景に、その利用法に新しい可能性を見出した点が新しかったと言えるでしょう。 会社を立ち上げるにあたっては、トップランナーになれる可能性のあることに取り組みたいと考えていましたから、このアイデアに賭けてみようと決断しました。
ウィジェットは、いわゆる最先端技術が必要なものなのでしょうか。
WEBの汎用技術を基本とし、制作、開発できるものです。差別化のポイントは、開発者の経験値に尽きると言えるでしょう。むしろ、技術的に難しくないことがウィジェットビジネスの特色とも言え、利用、運用の容易さが裾野を広げ、クライアントさんの安心感にもつながっています。
ウィジェット開発に大切なことは?
開発にはマーケティング担当(営業)、クリエイティブスタッフ、技術スタッフが基盤となってチームを組みます。ウィジェット開発でもっとも大切なのは、クライアントさんとのブレーンストーミングです。どんな機能を求めるか、それをどう生み出すかなどを徹底的に話し合い、もっともリーズナブルな形で実現していきます。 ウィジェット開発にアイデアはとても重要なので、クライアントさんとのブレーンストーミングに加え、社内のアイデア会議にも時間と手間をかけるよう心がけています。
ウィジェットに興味を持ち、 こんなことをしたいというモチベーションをお持ちであれば 案件の成功は保証されたようなものです。
この社歴で、これほど大手のクライアントさんをこれほど多く手がけていらっしゃることに驚きます。
こちらから営業することは、あまりありません。先方が当社HPをご覧になったり、他社実績に興味を持たれて問い合わせしてくださるケースが多いですね。 ここまでの事例を分析すると、クライアントさんおよびクライアントの担当者さんがウィジェットに興味を持ち、ウィジェットでこんなことをしたいというモチベーションをお持ちであれば案件の成功は保証されたようなものです。一流とか優良とか評価される企業は、その評価どおりネット戦略にも明確で、的を射た見識をお持ちなもの。当社実績に有名企業が多いのは、そのせいだと思います。
納品形態は?
ケースバイケースで、さまざまですね。案件請負の形態そのものが、ウィジェットを制作して納品して済むものからシステム開発全般、運用まで引き受けるものまで幅広いですから。運用を通してさまざまなフィードバックが得られるような案件を増やしていくのが、当面の目標です。
「ウィジェットタウン」(http://www.widgetown.com/)の運営も手がけられていますね。
裾野を広げるための啓蒙活動です。制作者、利用者両方に、ウィジェットに自由に触れる場を提供しています。大手サプライヤーがプラットフォームごとにウィジェットの配布サイトを立ち上げていますが、このような方針のものはまだない少ないようです。これはもう、文字通り儲け度外視の取り組みです。
インターネットに一般家電などつながった時、 インターフェイスに何が求められるのか。
クライアントに評価されるウィジェットを開発するために、必要なことは?
当社への期待は、以前のような「単純なノベルティ」としてのウィジェットではありません。ユーザーとの関係をいかに深めるかを考え、本来のサービスをいかに活性化するかにまで考えの及んだアイデアであり、工夫です。
会社と事業の今後について、どんな展望をお持ちですか。
当社のウィジェット事業はデスクトップツール提供から始まったものですが、今後はアプリケーションを通して消費者と企業や事業の橋渡しをするコミュニケーション構築事業に育つと期待しています。 これまで、インターネットにつながっているのはパソコン、あるいは携帯電話でしたが、今後は、そこに一般家電などさまざまなものが加わってくるでしょう。その時、インターフェイスに何が求められるのか。技術がすべてか、アトラクションが必要なのかなど多彩なアイデアが求められますが、それを機器メーカーがつくるという時代ではなくなるはず。そこに、当社のようなコミュニケーションツールサプライヤーの活躍の余地があると考えています。アプリケーション、あるいはミニアプリケーションでユーザーとのコミュニケーションを構築するサービスには、まだまだ大きな可能性を感じます。
技術や実績を積み重ねれば、ツールサプライどころかメディア構築も可能ですね。
そういう展望は、持っています。電車の中吊り広告をネットで見られるサービス「今日のナカツリ」なども、そういう方向性に立って、自分たちに何ができるかにチャレンジする取り組みと言えるでしょう。 ただ、これから先、新たに社会に受け入れられるメディアは、メディアとしての要因そのものがまったく新しいものであることも求められるでしょう。つまりは、多くの登録者を抱えたメディアが、バナー広告の収入で運営されるというビジネスモデルそのものがもう古いのかもしれないということです。私たちが手がける「メディア」は、そういう部分を徹底的に検証し、0から組み立て直したものになるはずです。
取材日:2009年11月
アップフロンティア株式会社
- 代表取締役社長:花本浩
- 事業内容:
- ウィジェットを軸としたメディア事業および販売促進支援事業
- インターネットを利用した各種プロモーション事業
- マーケティング・コンサルティング事業
- 設立:2005年12月20日
- 資本金:5,250万円(資本準備金5,250万円)
- 所在地:〒154-0004 東京都世田谷区太子堂1-12-39 堀商ビル6F
- TEL:03-5712-1631(代表)
- FAX:03-5712-1632
- URL:http://www.up-frontier.jp/
- 問い合わせメール:上記HP「問い合わせ」ボタンより