日本で唯一、 歴史をテーマとした専門書店 幅広い層の歴史ファンに喜んでもらいたい

東京
株式会社時代屋グループ 女将 大前美鈴氏
 
どうやら今、戦国時代ブームらしいです。“歴女”と呼ばれる女性ファンを中心に、関連商品もかなり売れているとのこと。そんなトピックスのひとつとして、テレビなどでもかなり話題になり、とり上げられていた「歴史時代書房 時代屋」(以下、時代屋)。 足を運んでみればわかります。書籍の品揃え、他では手に入らない関連グッズ数々は、はっきり言って歴史ファン、戦国時代ファンにはたまらないものです。 まるで現在のブームを見越したかのような日本唯一のコンセプトに、感心しきりの気持ちを胸に、取材してまいりました。本店にあたる1号店/神田小川町店の、副店長にあたる、「女将」の大前美鈴さんが質問に答えてくださいました。

幅広い歴史ファンにさまざまな楽しみを提供する、 歴史時代書房「時代屋」。

このユニークなコンセプトのお店は、どんな風に生まれたのでしょう。

時代屋グループは、古本店事業を展開するブックマートグループを親会社としています。そのブックマートグループの社内で、時代小説の取り扱いに関する事業計画が話し合われたのが時代屋グループ創業の発端です。 池波正太郎や司馬遼太郎、藤沢周平といった作家の時代小説には、根強い人気があります。どの店舗でも常に好調な売れ行きを示しているのですが、一方ではファンが本を手放さない傾向があるのか、常に仕入れ不足の状態でした。 ならば時代小説は古本にこだわった事業展開である必要はないだろうという意見と、人気の時代小説に特化した店舗構想とがひとつになり、生まれたのが日本で唯一の歴史をテーマとした専門書店「時代屋」です。2006年のことでした。

ブックマートグループとしては、初めて新刊を取り扱う事業という側面もあるのですね。

そうです。ただでさえ競争の激しい書店事業ですから、新刊取り扱いで後発となる当社の新事業には、何か大きな特徴がなければならない。そこで、生まれたのが「時代屋」のコンセプトでした。 時代小説や歴史関連書籍のみならず、雑貨やオリジナルグッズも取り扱うこととし、幅広い層の歴史ファンに喜んでもらう店舗づくりをめざしました。

このお店も、1階はあきらかに書店ですが2階フロアは歴史好きにはたまらないグッズでいっぱいですね。

ゼロからの出発ですから、品揃えにはかなり苦労しました(笑)。歴史物の雑貨や小物をつくるメーカー、問屋さんの発掘を地道に進めて今に至っています。 現在では、オリジナルグッズの開発も進んでいて、人気武将を2頭身にアレンジした、 「ミニブシくん」グッズが人気商品になっています。

「戦国時代ブーム」で女性ファンが増えたというより、 潜在ファンが表に出てきている。

今、女性の間に「戦国時代ブーム」があると言われます。それは、こちらのお店でも感じますか?

あきらかに感じます。いわゆる、“歴女”ですね。当店にも、たくさんいらっしゃいます。以前から女性の間に新撰組ファンは多くいらっしゃいましたが、最近のブームは戦国時代を扱ったゲームソフト『戦国BASARA』に端を発しているようですね。

女性にとって歴史や戦国時代というものは、ブームにならないと興味を持てないものだったんですかな。

そんなことはないと思います。私自身も以前からの上杉家のファンですし(笑)、密かに真田幸村に憧れていたり、春日山城がかっこいいと思っている女性はいたはずです。潜在的なファンが、ブームの報道によって、“歴女”という看板が生まれたことによって、表に出てきているのだと思います。

時代屋は、そのブームを当て込んで生まれたわけではないですよね。

もちろん。ブームの方が後ですから(笑)。ただ、店舗内で戦国物の比率は明らかに上がっています。本来は、池波正太郎作品などの舞台となる江戸時代を中心とした演出だったのですが、その点はニーズに即して柔軟に対応しています。

ということは、現在、来店者のメインは歴女の皆さんなのですか。

いえ、女性客のほとんどは週末にいらっしゃいます。平日は、既存の男性歴史ファンが多いですね。平日と週末では、店の雰囲気はかなり変ります。この2年ほど、そんな状況がつづいています。

外国からの旅行者と見えるお客さんも、いらっしゃいますね。

かなりコンスタントに拝見します。秋葉原を訪れた観光客が参加するツアーのお客様にも当店をご紹介いただいているようで、かなり知名度が上がっているようです。

これまで以上に“発信”し、 これまでにない付加価値をお届けしたい。

現在、書籍と非書籍商品の売り上げの割合は?

現在は、半々になっています。オープン1年で、それくらいの数値に達しました。正直、この店舗企画がそれほど早く定着するとは思わなかったので、嬉しい驚きでした。

今後の、ビジョン、目標は?

これまで以上に、“発信”していきたいですね。単に本を売る、グッズを売るだけでは時代屋の存在意義はありません。歴史ファンの皆さんに向かって情報を発信し、これまでにない付加価値もお届けしたい。 たとえば、SNSのミクシィに時代屋のコミュニティがあり、かなりの人気を博しているのですが、この店舗を会場に不定期ですがオフ会を開催しています。 また、店舗内では米沢市や白石市など、武将ゆかりの土地からいただいた、観光用ポスターやパンフレットなどもございますが、各地と協力して、現在の歴史・武将ブームを盛り上げていければ、と考えてのものです。新進の歴史作家さんのサイン会なども、積極的に開催しています。

育成と言っては変かもしれませんが、市井に暮らす多くの歴史ファンにさまざまな楽しみを提供することには大きな意義があると思います。

そう思います。歴史は決して研究者や専門家だけのものではないですから。入り口は何でもいいので、歴史を好きになる人がひとりでも増えれば嬉しいです。

取材日:2009年5月

株式会社時代屋グループ

  • 代表取締役:掛谷大介
  • 業務内容:
    • 新刊書店の運営とチェーン展開
    • 音楽CD・映画DVD・ゲームの販売
    • 文房具・玩具・雑貨の販売
    • 雑誌等の出版広告
    • WEBサービスとネット販売
    • イベントの企画と運営
    • 飲食店の運営と食材販売
  • 創業:2006年2月
  • 資本金:3000万円
  • 所在地:〒101-0052 東京都千代田区神田小川町2-3-12 神田小川町ビル3F
  • TEL:03-3294-5460
  • FAX:03-3294-5462
  • URL:http://www.jidai-ya.com/
  • 問い合わせメール:上記HP「問い合わせ」ボタンより
  • 店舗展開:
    • 神田小川町店
    • 新百合丘オーパ店
    • お台場店
    • 川崎 ラ チッタデッラ店
    • レイクタウン店
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