WEB・モバイル2008.05.20

社内スローガンは 「作業は思考のプロセスだ」 作業を通してしか、次の思考は生まれない

東京
株式会社ドゥ・ハウス 常務取締役 高栖祐介氏
 
1980年にクチコミネットワーキングという独自の手法で事業を立ち上げた、マーケティングサービス会社/株式会社ドゥ・ハウス。インターネットでの展開以前から、生活フィールド、流通フィールドに対するクチコミプロモーションと定性情報リサーチというマスマーケティングでカバーできない領域を開拓し、現在はデジタル&ネットワークをフル活用したマーケティングシステムの開発・実施にまで事業を発展させています。目指すは、新時代のマーケティングを支える「多目的ネットワーキング」。ネットワークマーケティングの老舗ともいえる実績を誇る同社の常務取締役/高栖祐介さんが、インタビューに応えてくれました。

「ネットワーキングとリスティングは違う」 アウトプットの精度で他社を圧倒する。

クチコミ(口コミ)のプロモーションやマーケティングはWeb時代の新手法と思いこんでいましたが、御社は1980年代からそれに取り組んでいる。

当社の前身はシンクタンクで、「これからはシンクではなく、ドゥだろう」ということでこの分野に進出しました。社名も、そこに由来します。まずはアナログのネットワークによるマーケティングを手がけ、次いでクチコミのプロモーションも考案。もちろん世はマスマーケティングの時代で、そのようなことを考えた会社は他にはなかったはずです。かなり、時代を先取りしていましたね。

以来ずっと、ネットワーキングが得意な会社でありつづけている?

そうですね。当社の事業基盤は、そこにあります。社歴は30年に及ぼうとしていますが、今後も、軸足がそこにあることは変わらないはずです。

現在、ブログなどを利用してクチコミやネットワークを事業とする会社も増えていると思います。競合のある中での、御社の特徴はどんなところに?

地道な作業を厭わないところでしょうか。たとえば、私たちは、「ネットワーキングとリスティングは違う」と考えています。Webを使い、人を集めて数を誇るだけなら、それはかなりたやすい。でもそれだけでは、本当のネットワーキングとはいえません。集団の内情を理解し、活動を活性化して、アウトプットに高い精度が期待できるネットワークに育てるには、かなり地道な作業を要するのです。

地道な作業とは、具体的には?

会員ブロガーの書き込みやトラックバックは、毎日、全部、当社社員が目を通します。例えば当社の「モラタメ.net」の会員は約8万人で、うち約2万人がブロガーですが、我ながらすごい作業を真面目にやっていると思う(笑)。そこから生まれた精緻な選別が、ネットワークの質を生み出しています。

素人目にも、すごいとわかりますね(笑)。

その部分は、業界一と自負します。社内スローガンは、「作業は思考のプロセスだ」。データをまとめたり、仕わけの作業を通してしか、次の思考、つまりアイデアは生まれない。体力的にはきついですが(笑)、社員全員が信じて疑わない原理です。

(1)モラタメ.net®、(2)店頭テレビ®、(3)EC(Eコマース) 3つの柱となる、ユニークなビジネス。

現在の、主な事業を教えてください。

現在、当社が3本の柱と考えているビジネスは、(1)モラタメ.net®、(2)店頭テレビ®、(3)EC(Eコマース)。特にモラタメは、今かなり大きくブレイクしています。

「モラタメ.net®」とは?

「もらう」と「ためす」から来た言葉です。当社の運営する「モラタメ.net®」で商品情報を公開し、抽選やコンテストで商品を無償提供する、よくある懸賞サイトのような流れがひとつ。もうひとつ、先着順で有償提供する流れを加えたのが「モラタメ.net®」の特徴です。消費者は本当に使ってみたいなら、有償でも商品を手に入れたいと願うもの。無料提供のほうも、Webに入って詳しい情報を理解しなければならない仕組みにし、いわゆる懸賞マニア以外の方の参加も促しています。

なるほど、あえてハードルを設けて、ネットワークのクオリティを引き上げているのですね。

ブロガーの選別もしていますから、クチコミが文字通り「ざわざわ」と盛り上がり、検索サイトでの検索結果に対象商品の情報が上位ランクしていきます。そのような明らかな効果が、クライアントさんにたいへん評価されています。

「店頭テレビ®」とは?

書いて字の通りです(笑)。「店頭テレビ」で商標登録も済んでいる。当社としては初の、自社開発機器を扱ったビジネス。別の角度からいえば、これまでの人のネットワークから店舗のネットワークに乗り出したともいえる。今は某ドラッグストアチェーンさんとの提携で、大規模チェーンの店舗内の売り場に設置場所を確保。具体的なビジネスは、レンタルや買い取り、コンテンツ制作のありなし等、バリエーションがありますが、基本的にはメーカーさんに告知の場を提供する媒体ビジネスに育てようと考えています。

先鞭をつけるのに生きがいを感じるのは、 当社の社風のようなものです。

「EC」とは?

これも、意味は文字通りですが、社内では「3万人市場」というキーワードで呼ばれています。

どういう意味ですか?

米や味噌は、「3億人市場」と呼ばれます。つまり、全国民が潜在ターゲット。20代女性をターゲットにすると、それが「3000万人市場」になる。一方、この10年ほど脚光をあびている1to1のマーケティングでは、1000人規模がターゲットになる。そう考えると、3000万人と数千人の間が抜けてはいないかと気付いたわけです。未だ開拓されていない、中規模市場--それが「3万人市場」なのです。

具体的には、どのようなビジネス?

3万人規模の市場を、私たちが育てます。メーカーさんから商品を提供していただき、Webを使ったブランディングを当社が当社のコストで進める。その成果をたとえば1年後に、買い上げるなり、提携するなりの形で新たな契約を創出します。

やはり、着眼点が、ユニークですね。

皆さんご存知のように、さまざまな分野でさまざまな商品が、毎日のように生まれては消えていっているのが現代です。ただ、消えていった理由を探ると、流通がうまくいかなかったからとか、宣伝プロモーションの費用がたりなかったからとか、とても残念な理由で消えているものがとても多い。なかには、驚くような優れた商品も埋もれているのです。そのような商品をピックアップし、ブランドとして育てることができれば、メーカーさんにとっての幸福であると同時に、消費者にとっても利益のあることと思います。 そのような活動には、当社のネットワーキングの力が大いに生かせると思うのです。

今後の目標は?

常に時代の先を行っていたいですね。他社のやらないことに先鞭をつけるのに生きがいを感じるのは、当社の社風のようなものですから。加えて、これまで少々おざなりだった先行者としての務めも果たしたいと考えています。当社には、新しい分野を開拓して、開拓しっぱなし(笑)の部分がありました。今後は、新しい企画を新しい分野として成立させ、プラットフォームを整備し、後発他社さんも参入しやすい環境を作ることにも力を入れていく予定です。

取材日:2008年5月23日

株式会社ドゥ・ハウス

  • 代表:稲垣佳伸
  • 資本金:621,000,000円
  • 事業内容:
    • マーケティングサービス事業
    • 生活フィールド、流通フィールドに対するクチコミプロモーションと定性情報リサーチ
    • デジタル&ネットワークをフル活用したマーケティングシステムの開発・実施
    • 新時代のマーケティングを支える「多目的ネットワーキング」
  • 設立:1980年7月7日
  • 所在地:〒105-0004 東京都港区新橋6-20-2
  • TEL:03-5472-7901
  • FAX:03-5472-7916
  • URL:http://www.dohouse.co.jp/
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