WEB・モバイル2007.08.20

アイデアは以前から持っていたので 今こそ勝負の時と考え、会社を立ち上げた

東京
株式会社RSS広告社 代表取締役社長 田中弦氏
 
好きなブログを登録しておくと、書き込みが更新されるたびに知らせてくれるRSS。その、とても便利なインターネットツールを、広告媒体と考えた人がいる。それが、RSS広告社の田中弦社長だ。希望する人にリアルタイムに「更新のお知らせ」を送るRSSフィードに、記事の内容と連動したコンテンツ連動型広告を乗せるシステムを独自開発。これまでのメルマガ等に比べれば飛躍的に「ほしい人にほしい情報を」送ることができるようになった。田中社長は、RSSの普及とともに今後ますます伸びそうな広告ビジネスの現状と未来を語ってくださった。

書き込みない内容の判別と、連動広告の選択、 配信を瞬時に行うのがRSS広告。

最初に、RSSを広告媒体と考えた着想とそれをビジネスにしようと考えた動機などを聞かせてください。

まず、「とにかく起業したい」(笑)という動機がありました。そして、どうせやるなら大きなうねりに乗って大成長する可能性のあるビジネスがいいと思った。それで目をつけたのが、「マイクロソフト社のインタネットエクスプローラー7(IE7)にRSSが標準装備される」という見通しでした。RSSフィードがネット広告の手法になるという技術的なアイデアは以前から持っていたので、今こそ勝負の時と考え、会社を立ち上げたわけです。

RSS広告のメリットは?

コンテンツの内容に連動して広告を配信できることです。たとえばあるブロガーが「宝塚の●●さんが引退興行をする」という書き込みをする。そのブログの更新を待っていた人に届くお知らせに、「●●さん引退興行チケット販売のお知らせ」が乗っていれば、購買行動につながりやすいですね。書き込み内容の判別と、連動広告の選択、配信を瞬時に行うのがRSS広告の概要です。

コミュニケーション(情報更新の伝達)ツールは、広告媒体になりうる。つまりはそういう着想だった。

RSSフィードのユーザーはブロガーだけではありません。通信社などが読者に情報配信のために、一般企業がPR活動のためにも使っています。ただ、それらのRSSフィードユーザーの誰一人として、それが収益を生むシステムであるとは思っていなかった。その啓蒙活動が、そのまま当社の媒体確保活動にもつながるわけですが、「RSSフィードで収益をあげられますよ」と説明すると「ホントですか」と驚きの反応が返ってきます。

RSSで広告ビジネスを展開するのは、RSS広告社だけ?

日本発ですと、当社だけです。米国に先行する同業他社が2社あり、日本にも進出していますので、合計3社ですね。が、コンテンツに連動して広告配信する仕組みを持っているのは当社だけです。

RSSフィード内にある情報をコンテンツ連動型広告の コンテンツ解析対象文書にしようという新発想。

更新されたコンテンツの中身と広告が連動しているのが、従来のメルマガなどと違う点なのですね。

メルマガは月一や週一の定期配信ですね。それに比べてRSS広告は書き込みに連動したリアルタイム配信です。しかも、乗ってくる広告は、ユーザー(読者)がもともと読みたいと思っていたコンテンツに連動している。また、メルマガは、配信を希望する人が配信側に個人情報の登録をしなければなりませんが、RSS広告にはそれが一切不要です。広告を送る側にとっても受け取る側にとっても、様々なハードルがとても低いのが特徴です。

そのシステムを、独自開発した。

そうです。RSSフィード内にある情報をコンテンツ連動型広告のコンテンツ解析対象文書としてしまおうという着想そのものが当社の特長ですから、システム開発には大きな力を注ぎました。特に日本語は英語に比べて、キーワードを抽出して内容を判断する「文書解析」が難しい言語なので、解析プログラム作りにはかなりの労力を割いています。

開発は、一筋縄ではなかったでしょうね。

まさに試行錯誤でした。もちろん今もその途上です。技術的にもノウハウ的にも例がないことばかりなので、たとえば「ユーザーが不快感を持たない広告スペースはどれくらい?」ということなどから、すべて手探りで考え、開発しています。

特に、時事性の強い商品などに対して RSS広告は目覚しい効果を見せる。

ところで、広告主さんからの評判は?

「効果が高い」という評価はいただけています。正直、この手法にマッチする広告主さん、商品とそうでないものは、かなり明確に分かれます。特に時事性の強い商品などは、それに連動したコンテンツのRSSフィードに乗ると目覚しい効果を見せます。

他にない手法とシステムで、躍進しているのでしょうね。

大きな見込み違いがありました。それは、IE7の普及が噂どおりのスピードで進まないのです。つまり、RSSの普及が当初予測に追いついていない。これには、困り果てています(笑)。会社設立からここまでの2年半、IE7の普及に希望を託しながら、かなりの我慢をし続けている状況。ただ、いよいよこの2007年7~9月期に、IE7の自動更新が開始されるという広報が発表され、やっと当社の時代が到来するのではと期待しているところです。

RSS広告のメリットに賛同した広告主さんなどに支えられて、耐えてきた2年半だったということですね。でも、決して無駄な2年半だったわけではないと思いますが。

そうですね。これまでの時間を使ってシステムの熟成が進みましたし、様々なノウハウも蓄積できました。一度ブレイクすれば急激に伸びるはずですし、急激に忙しくなる。創業当初からそうなっていたら、システムの安定性の確保には、正直自信はなかったです。お客様やユーザーさんにかなり迷惑をかけたかもしれないことを考えると、むしろ良い熟成期間をいただけたのかもしれません。

取材日:2007年8月14日

株式会社RSS広告社

  • 代表取締役社長:田中弦
  • 資本金:1億1900万円
  • 事業内容:RSS広告配信
  • 設立:2005年4月
  • 所在地:〒107-0052 東京都港区赤坂2-17-22 赤坂ツインタワー本館10F
  • TEL:03-5572-6211
  • FAX:03-5572-6219
  • E-mail:info@rssad.jp
  • URL:http://www.rssad.jp/
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