今、確実にあるのは 「仕事を楽しくする」が 事業の大きな柱であること
- 東京
- 有限会社サイバーローグ研究所 代表取締役 大橋悦夫氏
【サイバーローグ研究所実績】
自分の人生(Life)をHackする、つまり自分の人生を小気味良く回すためにカスタマイズしていこうよ、という活動です。
「シゴタノ」は、ほんとに毎日更新してますね。
でも、土日はお休みしてますから、そんなに負担にはならないです。それでいて、仕事の一環として大切な位置を占めています。毎日やっているおかげで、走り込みや筋トレのような効果がある。たとえば、ブログに書き込んだことからネタや事例を抜き出して書籍執筆に活かせるのはもちろん、仕事で長い文章を書くときでも比較的息切れせずに書けます。書籍編集者も、ブログを見て、どんなものが仕上がるかがわかるので安心感を持ってくれるみたいです。
「やらなきゃ」っていうプレッシャーはない?1日にどれくらいの時間を割いている?
プレッシャーは、ほとんどないですね。自分の意志でやっていることですから。逆に一旦止めてしまった後の、再開時のプレッシャーの方がきついと思います。書き込みの実作業は1時間くらいですが、ネタを考えているという意味では「常に」ですね。作業の時間帯はばらばら。基本的に午前中にアップしようとは考えているんですが、他の仕事の都合で午後になってしまうことも多い。最悪、その日の23時59分までにはアップしようと考えてます。23時には帰宅できるはずの飲み会が延びてしまって、帰宅途中の無線LANが使えるホテルのロビーに駆け込んでアップしたこともあります。たしか23時56分だったと思います(笑)。
企画書の書き方などをどんどん開陳していく「シゴタノ」は、いったいどんな目的で続けているんですか?
自分では明確に意識はしていないのですが、Life Hackというくくりで捉えていただいているようです。Hackerで有名になっちゃいましたが、Hackというのは元来プログラマー用語でプログラムを書き換えるとか、便利なツールを自分用に作るとかの意味を持っている。自分の人生(Life)をHackする、つまり「自分の人生を小気味良く回すためにカスタマイズしていこうよ」という動きが、海外で、去年ぐらいから盛んになっています。海外のブログを読むと「仕事を効率的にするにはこうしたらいいよね」というブログがたくさんあって、明らかに、そういったものに刺激を受けていますね。特定のソフトウェアに頼らなくても、誰かの編み出した方法をみんなで洗練させていくことで仕事の効率を上げられるし、そういうやり方を広めていきたいと思っています。
ここで大橋さんの経歴を整理してみる。1996年、上智大学外国語学部を卒業。英語が得意で言語学を学び、日本語教師になるために大学院へ行くことも考えていたが、結局ソフトウェア会社に就職。SE(システムエンジニア)となる。
社会人になる前年が、Winows95のリリースの年。パソコンとインターネットのブレイクが始まっている時期だったと思う。実は在学中からコンピュータに興味を持ち、プログラミングの勉強は独学で始めていた。コミュニケーションツールとしてのコンピュータへの興味が、卒業の段階で、ああいう決断をさせたのだと思います。
語学、SE、ライター、マーケティング、そしてブログ。 興味を持ったことは、とりあえずやってみる。
その後、フリーになり、SEとして仕事を請け負うかたわら、マニュアルライターや実用書ライターの経験も積む。この時期に有限会社サイバーローグ研究所を設立。2004年には膨らんだマーケティングへの興味を満たすためマーケティング会社の正社員となるが、結局ブログを深く研究することを決意し退社。現在に至る。
ブログへの興味は、2002年、XOOPS(ズープス)というCMS(コンテンツマネジメントシステム)に出会ったころに加速しました。こういうツールがあるなら、ブログはもっと身近なものになると感じたからです。マーケティング会社ではいろいろと面白い体験をさせていただいたのですが、結局ブログへの興味の方が大きくなってしまった。ありがたいことに、在籍中から「ブログのことなら大橋に相談」という感じで認めてもらってもいましたし、快く送り出していただいて、今もビジネスのお付き合いをさせてもらっています。
語学への興味がSEに移って、ライターもやり、ブログもやり、マーケティングにも興味を持った。精力的ですね。
ばらばらですよね(笑)。でも、過去に思いついたことや決めたことにあまりこだわらず、興味を持ったことはとりあえずやってみる、という姿勢は大切だと思います。うまくいかなくても、うまくいかなかったということが収穫になりますから。
実は、今の仕事のありようは、翻訳や語学教師を目指して大学に入ったことと根底で通じているのでは?
実はそうなんです。あれもこれも、Transferということでは変わらない。僕には、得意で好きなことがあって、近くにそれを苦手とする人がいるなら橋渡しをしたいという気持ちが強くある。「Connect」、「Communicate」、「Contribute」――つまり、繋げ、コミュニケーションし、貢献するという3つの「C」のキーワードが、僕の中でCyberのCとリンクしている。変換、橋渡し、通訳をやっているのだと自覚しています。ちなみにCyberは「コンピュータ」で、Logueは「言葉」。研究成果をベースに、人とコンピュータを言葉で橋渡しするインタープリター(通訳)でありたいという気持ちを、社名に込めています。
そういう視点は学生のころからあった?
今思うとそうだったのかもしれません。大学の3~4年時に言語学を学びました。その過程で、異なる言語間に共通する「メタ言語」という考え方に関心を持つようになりました。それは仕事にも、文化圏にもあります。僕は今、世の中に存在する様々な「メタ言語」を追いかけていて、追いかける作業そのものにも面白さを見出しているのだと思います。
業務改善勉強会、自己啓発―― 「Connect」、「Communicate」、「Contribute」の活動が 様々な形に結実し始めている。
クライアントの業務プロセス改善勉強会の運営も手がけているそうですね。コンサルタント業務?
自分ではSEのコミュニケーションサポートの一環だと思っているのですが、ある部分コンサルタントに近いのかもしれません。必要なシステムを完成させたクライアントとの間に、次のテーマを見出してお付き合いしている中から生まれたものです。たとえば、その会社では営業や総務、経理など、セクション間でのコミュニケーションが不十分で何かと無駄や重複が発生していることがわかった。そこで、各セクションのヘッドに集まってもらって話し合い、一緒に課題を見つけ、解決のための役割分担を決め、次回、成果について報告しあうという試みを開始したのです。もちろん業務改善活動として目新しいことではないのですが、外部の血が入ることで緊張感が高まる効果が評価されているようです。
「シゴタノ!」の内容は、いわゆる自己啓発にも繋がるように見えますが?
そうですね。でも、理論としての自己啓発ではなく、実践を前提にした自己啓発でありたい。いわゆる自己啓発に、胡散臭さがあるとしたらそこだと思う。手帳を上手に使うノウハウを知っているとか、役に立つ本を読んだということを自慢するのではなく、実践して役に立つところまで体験しないと意味がない。自己啓発+実践、そこにのみ興味を持っています。
具体的なことも考えている?
今年度中には、オフラインで何かやりたいと考えています。イメージしているのは、5、6人規模の少人数の勉強会を企画して、そこにファシリテーター(進行支援役)として参加すること。それぞれの課題を持ち寄って、どうやったらいいかを相互にアドバイスしあえて、解決のヒントを持って帰れるような、“しゃべる・得られる”なセミナーにしたいと思っています。
大手が絶対に入ってこられないような 本当のニッチを模索する日々。
会社を大きくしていくことには、興味はない?
現在、非常勤のスタッフが2名いますが、基本的には個人事務所です。今の自分のアドバンテージのひとつは、ひとりでいることの機動力だと思っているので、しばらくは、この体制で行けるところまで行ってみようと思います。
今後のビジョンは?
会社を立ち上げて2~3年の間は会社員時代に倣って経営計画書を作ったり、行動計画を策定したりしていました。でも、結局、ひとりでやるなら、思った瞬間にやればいいという結論に辿りつきました。ベーシックな、「これだけは譲れない」ということだけ決めて、あとはやってはひっこめを繰り返し、方向性を探り、発見しながらやっていこうと思っています。今、確実にあるのは、「仕事を楽しくする」が事業の大きな柱であること。だからまず、僕自身が「この人は楽しく仕事をしている」と見られたいですね。
サイバーローグ研究所はどんな会社?と問われたら?
なるべく、既知の「ラベル」でくくられないようにしたい(笑)。動きづらくなるから。ひとつだけ言えるのは、言葉とコンピュータとマーケティングの接点にいたい、ということですね。真ん中には行かない。どんな事業でも、大手が本腰を入れて参入したら小さな会社は淘汰されます。僕のやっていることにも、そういう側面は確実にある。だから、常に模索が必要です。でも、未開拓のマーケットで、大手が入ってくるまで頑張ろうと思っているわけでもない。実は、今回このような形で改めて質問されるまであまり深く考えていなかったのですが、大手が絶対に入ってこられないような本当のニッチを見つけるか、自分で作り出すかしたいのだと思います、最終的には。
大手企業と競うつもりはない。むしろ機動力を活かして大手が絶対手を出せない領域に進出したり、自分でそういう領域を作ってやろうと考えている。そのために、まず自分が「仕事を楽しくする」。そしてそれを多くの人に伝え、広めることが仕事になる。もしかしたら数年後、多くのスタッフを抱える成長企業になっているかもしれない。そうならなかったとしても、大橋さんは、まず自分が楽しく、そしていろんな人に「いてくれてよかった」と感謝される、誰にも真似のできない仕事をしていることだけは確かだと思う。
取材日:2006年2月6日
有限会社サイバーローグ研究所
- 代表取締役:大橋悦夫
- 業務内容:
- WEBサイト構築
- WEBサイト運営・保守
- ブログ・メルマガの執筆
- 書籍執筆
- 業務プロセス改善勉強会の企画・運営
- 業務システムの企画・開発
- 設立:2001年11月7日
- 資本金:300万円
- 本社所在地:東京都港区三田2-17-16-1302
- TEL:050-1261-5129
- FAX:050-1261-5129
- URL:http://cyblog.co.jp/
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- 代表E-mail:contact@cyblog.co.jp