WEB・モバイル2016.03.23

チーム戦が好きな気持ちのいいメンバーが揃う 面白法人カヤック

Vol.125
面白法人カヤック 代表取締役 CEO 柳澤大輔(Daisuke Yanasawa)氏
確かな技術力とユニークな発想で次々と新しいクリエイティブを世に発信し続けている「面白法人カヤック」は、クリエイターとしては、常に目が離せない存在だ。そんなカヤックを1998年の創業以来、率いてきたのがCEOである柳澤大輔(やなさわだいすけ)氏。カヤックがクリエイティブ業界で存在感を持ち続けている理由とは? カヤックが求める人材とは?ヨコハマ展望オフィスを訪ね、気になる質問をぶつけてみた。
 

クライアントワークも自社サービスも 「ユーザーに楽しんでもらいたい」クリエイティブへの思いは同じ

現在のカヤックの会社としての規模は?

社員数はおよそ230名くらいです。そのうち1割が管理系の社員で、残りはWebプロデューサー、デザイナー、エンジニアです。

2015年も数々の広告賞を受賞されていますね。

広告賞をいただくと目立ちますが、実は受託のクライアントワークの比率はどんどん下がっているんですよ。今では3割を切っているんじゃないでしょうか。 そのクライアントワークでも、R&Dのような研究色が濃い仕事が多いですし、“バズる仕掛けを”と依頼されることも多いので、その度に新しいことを考える必要があります。

自社サービスの割合は増えているのでしょうか?

そうですね。しかし、お金の出どころがクライアントであるBtoBも、生活者である自社サービスのBtoCも、どちらもユーザーに楽しんでもらいたいという思いは一緒です。クリエイティブや技術力が主体となっていることも同じです。ただ、お金の出どころが違うと、仕事をするときには“違う人”になりますよね。

クライアントワークが向いている人、自社サービスが向いている人と、担当する仕事が違うのですか?

脳みそ的に、どちらが向いているか?と最終的に判断することはありますけど、せっかく両方を手掛けているカヤックに来たのだから、両方やってみないともったいない。まずは決めつけずに、両方やってみることを勧めています。

新規サービスから撤退しても、マイナスではない。 残った価値を活かし、次の開発へスピーディーにトライ。

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多くの自社サービスを生み出していますが、撤退事業も多いですね。

カヤックのHPで撤退事業を公開していますが、一覧をすべて見るには、10スクロールくらいしなければならないほどありますね(笑)。

これだけ次々と新サービスを生み出せる理由とは?

新たなサービスをスタートするときは、何のためにやるのか、意図をはっきりさせるようにしています。たとえ失敗して撤退することになったとしても、その時にどんな価値が残るのか、そこを明確にしつつ、予算もKPIも決めてスタートします。ダメなら撤退しますが、その結果はマイナスではなく、次に生み出すサービスのための1歩。失敗から残った価値を活かし、次の開発にすぐにトライするからこそ、次々と“面白いこと”を生み出す会社になれたのだと思います。

チーム戦の好きな気持ちの良いメンバーばかり 「つくる人」を増やすことで、会社も成長する

クリエイターを束ねるCEOとして、心がけていることは?

言葉というものを大切にしています。例えば、社員満足度の高い組織にしようと言うことと、社員のやる気が上がる組織にしようとでは微妙に表現が違う。そういった細かいことですが、どんな言葉を使うかで組織の文化が変わると思うのです。

柳澤さんから見て、カヤックの社員はどんな人が多いですか?

ひとりひとりが、みんな気持ちのいいメンバーばかりですよ。話していて気持ちの良い人柄です。ひとつのものをみんなでカタチにしていく仕事なので、チーム戦が好きなメンバーが揃っている。コミュニケーションをとるのが苦手、という人はあまりいませんね。 ブレストなどのミーティングで、好き勝手にアイデアを出し合って、突っ込み合いをしたり、笑い転げていたり、チーム戦を楽しんでいる様子を見ると、こちらも楽しくなってきます。

経営理念として「つくる人を増やす」ことを宣言していますが。

この言葉は「つくるという行為は、人を楽しませ、感動させる。」「つくる人が1人でも増えれば、社会はきっとよくなる。」「面白がって楽しくはたらく人を増やす」といった思いを込めた経営理念であると同時に、会社の成長戦略でもあります。クリエイター、つまり「つくる人」が主体となる会社ですから、つくる人が増えれば会社は成長する。2014年に上場したこともあり、経営者として、やはり数字的に成長していきたいと考えています。

課題をこなすだけでなく、楽しんで自ら「つくる人」に 集中し続けるストイックな姿勢も必要

カヤックでクリエイターとして働くには、どうしたらいいですか?

まずは気負わず採用試験を受けていただければと思います。 こうすれば受かる、というものがあるわけではないのですが、今働いているメンバーを見ていると、言われなくても楽しいから勝手につくっているという人が多いかもしれません。

では最後に、若いクリエイターにアドバイスをお願いします。

モノづくりは、集中し続けること、継続し続けることがとても大切です。また、そのためにストイックになることも必要。それは、仕事やクリエイティブに対する考え方だけでなく、食べ物や体型もクリエイターらしくしていくことも必要なのではないでしょうか。集中し続け、継続し続けるためには、そこまで気を配ることが重要なんだなとつくづく最近思います。ただこの年になったからわかることなんですけどね(笑)

取材日:2016年2月19日 ライター:植松織江

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Profile of 柳澤大輔

1974年香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。 1998年、学生時代の友人と共に面白法人カヤックを設立。鎌倉に本社を構え、鎌倉からオリジナリティのあるコンテンツをWebサイト、スマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム市場に発信する。主要事業のほかにもカヤックが運営する飲食店「DONBURI CAFE DINING bowls」の運営や2009年、ビンボーゆすりを科学したプロダクト「YUREX」の開発のプロデュースにたずさわる。100以上のクリエイティブディレクターをつとめる傍ら、2012年カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル、2010年東京インタラクティブ・アド・アワード、2009~2015年Yahoo!インターネットクリエイティブアワードなどWeb広告賞で審査員をつとめ、著書に「面白法人カヤック会社案内」(プレジデント社)、「アイデアは考えるな」(日経BP社)、などがある。ユニークな人事制度(サイコロ給、スマイル給)や、ワークスタイル(旅する支社)を発信し、「面白法人」というキャッチコピーの名のもと新しい会社のスタイルに挑戦中。2015年9月東証一部上場企業 株式会社TOWの社外取締役に就任。

面白法人カヤック:http://www.kayac.com/

 
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