映像2020.10.23

テロップのお話

都内某所
映像編集&シナリオ
秘密のチュートリアル!
野辺五月

映像・動画の制作で文字関係というと、まず出てくるのがテロップです。
テロップの作り方や工夫については先人たちが山ほど語っているので私は敢えて中身について、少しお話できればなぁと思います。
といいますのも……私の場合、肩書から分かるとおり、もともとがシナリオや構成でして……もっといえば、メインの仕事は長い間コピーライティングをベースとした「宣伝文句」「説明文句」。よって、売り文句を「短くまとめる」ということにわりと得意な方だと思います。

コンテがあったり、構成台本にテキストがあればいいのですが、昨今「編集にお任せ」にされるケースも少なくありません。
「本当は、ここが一番大事なんだが」と、広告コピーをやっている人間としては思うのですが、映像ならではの「速度」含めた「可視性」の問題もあり、はたまた伝えたいメッセージを声(ナレーション)で入れるか文字(テロップ)で入れるかもあり……総合的に考える必要があります。
編集する側も、この辺り「突っ込まねばポイント」だと思います。

・入れるはいいけど、その速度じゃ読めないよ?
・文字小さくなりすぎる!
・声も聴く前提のコンテンツだと、かぶってるのでシツコイ!

etc

この辺りは、むしろエディターさんの方が気づきやすいポイント……。
今回は個人的に気を付ける部分をざっくりまとめます。

【媒体×環境】

その映像をどこで見るか……
携帯なのか、街中のデジタルサイネージなのか、テレビなのか?大きさはどうなのか?

テレビの場合は割とフォーマットが確定しているので安心ですが、後々の使いまわしもこみでどういう媒体で、どういう環境下で見るのか。
テロップについては、ここが重要だと思っています。

ちなみに、環境というのは「屋外」とか「室内」とか……
気を付けるポイントは「光」の入り方と、「雑音」の多さです。

光は、見やすさに関わるポイント。
場合によってはコントラストが強くないと読みづらくなるので注意しています。雑音は、外の場合・中の場合含めですが、テロップなしのナレーションだけだと分からないことが多いので、多い場所では、なるべくテロップの拾い読みで中身がわかるようにする必要があります。

また携帯で見ることが多いと予測つく場合、テロップの大きさは少し大きめにしています。
ただし、高級感を出したい時は、映画を意識して少しだけフォントもお洒落に。大抵そういう場合は、可視性よりイメージが優先されるので、文字は飾りであり、後々気になった人が見られるようにする・中身はその分ちゃんと考えて作り、ナレ―ションそのままにしないなど、工夫しています。(お見せ出来る例が少なくてすみません。今回のメインの写真のテキストテロップ、カフェバーでのストーリー性あるPVのためシネマっぽく字幕風になっています。他にも↓いろいろなタイプ)

 

ターゲットを考えて、見られる環境を考えて、そのうえで作ることが重要になってくるため、ここは本来ならば企画・ディレクター・構成の仕事です。大きな現場では専門の人が請け負っています。
全部自分でという現場もツールの敷居が下がり増えてはいますが、場合によっては得意な人に任せた方がいいです。その場合にも編集側から積極的に注意したいのが上のポイントなのです。
何故なら……地味に結局フォーマットにつながるから……というのもあります。最終のアウトプットの形式はどのみち知らないといけない情報ですが、後々の流用を、最初から決められているときと、後付けで追加されるときがあります。「やっぱりインスタにも乗せたいな」のような要望です。あるいは「予告はツイッターなんだ」とか「Facebookにもあげたい」とか。最初から考えたほうが楽です。……そう、特にテロップについては、場合によって見切れてしまうので、ただ形を変えただけでどうにかなるともかぎらないからです。
そういう意味でも、最終のアウトプット=媒体×環境はとても重要です。

 

【大事なフォント】

次に気を付けたいフォント。

フリーフォントか、有料フォントかという問題もあります。最近はAdobeフォントのように、サブスクリプション形式のフォントライブラリもありますが、それぞれのフォントにより規約は違います。
テロップを可愛くしたい!=可愛いフォントを手に入れよう!というのが一番簡単なのですが、フォントは、映像・印刷で使う際の規約が違うものも多くあります。またフリーフォントにも条件つきのものもあります。
此処のあたりは何らかのデザイナーの仕事をしていた方にとっては「いうまでもないこと」だと思いますが、仕事上絶対知らないといけないことなのに知らないでしている人も多いというのが私の所感です。
まずルールを守る……これが大事。後々変えるのも、買うのも大変なのです……。
そして二つ目、あまり多くのフォントを使わないことです。
これは単純に見やすさやデザイン周りの統一感のため。使うとき、どのソフトでいれるかも重要になります。
特に「文字を動かす可能性のあるなし」「効果をいれるかどうか」。
単純にいってしまえば、Premiereでいれるのか、アフターエフェクトのテキスト使うのか。あるいは、Photoshopのファイルをどっちかに入れ込むのか……はたまたC4Dか。他にも選択肢はいろいろあると思いますが、よくあるオーダー「いい感じにいれといて」の真意によっては、後で入れ直しになるので注意が必要です。

具体的に言いますと、例えば「文字を粉砕したい……!!」となると、やれるソフトが限られますので、先にそれで作らねばなわけです。
逆に、単純なテロップ入れの場合、別ソフト立ち上げてリンクか書き出しでつなげて~……はかえってややこしいです。
最終形態を知っておくのはテロップを入れる際大事だと思います。(簡単な場合ラフでうっておいてやり直せばいいんですが、手間っちゃ手間なので)

なおその他の実際の具体的なテロップづくりテクニックについては、いろんな方のHowtoがありますが、個人的なおススメは【ナカドウガ】さんです。

特にこの【動画編集者必見】見やすいテロップの作り方11の条件【完全版】は大事な情報だと思いますので、ぜひご確認ください。

【テロップ内容について】

読むのか・聞くのか……メインがどちらかで比重は変わります。

ナレーションなどが入っていて、補足や味付け程度のテロップならば、極力少なく。音がなくても見て分かるようにしたい場合は、しっかりと。
しっかりとというのは、文字数のことではありません。
絵・映像が説明していること・矢印などで補足できることは言葉にしないのも大事です。
テロップの内容の作り方は「キャッチコピーの作り方」に似ていると思っています。コピーは、インパクトを残す方向のものもあれば、分かりやすさを与えるものもありますが、目標は「買ってもらう」であったり「興味を引くであったり」して、あくまで視点はお客さんの側にあります。

「これを伝えたいんだよね」よりも「伝え方」と「見せ方」、
映像で伝えられる情報は思いのほか多いので、引き算が大事だなぁということで……
他のテロップのあるものから学ぶよりもまず第一に『伝え方が9割』『キャッチコピーの極意』あたりをさらりと通読しておくことをお勧めします。これとデザインの問題とを掛け算すれば、おのずと、少なくとも広告テロップについては、何か見えることもあるかなと思いますので是非チェックしてみてください。

プロフィール
映像編集&シナリオ
野辺五月
学生時代、研究の片手間、ひょんなことからシナリオライター(ゴースト)へ。 HP告知・雑誌掲載時の対応・外注管理などの制作進行?!も兼ね、ほそぼそと仕事をするうちに、潰れる現場。舞う仕事。消える責任者…… 諸々あって、気づけば、編プロ・広告会社・IT関連などを渡り歩くフリーランスと化す。 2015年結婚式場の仕事をきっかけに、映像畑へ。プレミア・AE使い。基本はいつでもシナリオ構成!のひと。趣味は飲み歩き。

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