映像の中身を決める段取り
映像を始めるぞ、仕事をするぞというなると、どうにも「ツール」や「素材」に気持ちが生きがち。ですが、アウトプットの【最終形態】を知ることこそが大事だと思っています。
というわけで、今回は、その最終形態を指示する書類の形式や特性・指示系統について、少しお話したいです。
ちなみに今回のメインビジュアルはその最たるチェックポイント「コンセプト」の検索結果になっています。(Google引用)ここを決めるのは誰か?編集はどこからの可能性があるのか含めて言及します。
まず、映像の仕事で、【編集】が本来行うべき業務は演出でもコンセプト決めでもなく、その意図を組んで並べる=【編集】です。
両方一緒に頼まれることもあると思いますが、一旦その手前の工程も、細かく役割を区切ってみます。
以下、広告代理店と通す場合のルーチン/メーカーさんと直接のやり取りをそれぞれみてみます。
中身……コンセプトを決める=プランナー(クライアント)
売り物をどうしたい・どうみせたい・誰に見せたいをきめるのは、所有してる側の話です。そこの相談は広告戦略にあたるので、代理店やコンサルにあたるか、同じ編集でも、「コンセプトメーカー」からはじまるタイプ……いわゆるコストのかかる編集に持ち込むべきです。
そこから落としこんで詳細を作りますが、この際に、大事なのは誰をたてるか・何を立てるかです。誰=タレントやキャラクター……これも本来的に決めるのはメーカーの広報か、広告代理店です。ない場合はコンセプトだてから始まる「企画」の仕事……これを制作として引き受けることもありますが、なあなあで受けるとろくでもないことになるのが実感としてあります。
結果を出すために広告を引き受ける以上、やっぱりちゃんと「合意を取るべき事項」です。
それら項目を更に細かく専門で見ると、
テキスト(キャッチ)……コピーライター(クライアント)
テキスト(シーン)……構成作家(クライアント)
キャッチや不随するストーリーが既出な場合、編集に投げられることもありますが、基本はこういう流れです。
Mainビジュアル……アートディレクター(クライアント)
一番見せたい絵や、構図・シーンについて図示するものです。
同じく、デザインのルール=トンマナも、専属のデザイナーがいる場合映像手前でそのデザインルールを確認するべきです。この辺りはきちんとしたメーカー・ブランドでは日常的に行われているため、かえって大手にいた人ほど気づかないルーチンだなと思います。
これらが無事確認・確定した後で出来る「設計図」があります。
これが、絵コンテや字コンテ(シナリオ)に更に細かく落とし込まれて実際の制作に流れます。
この手前の段階で「企画書」があり、これはもっとざっくりとした形で、ここから一気に「全部作ってね」という流れの仕事と分かれます。
どれが正解とはいいません。
ただ、大きな現場ほど細やかに分担がされており、専門家がそれぞれの知識を集大成にして作っている傾向はあります。そういった場で一部分の専門家として入るのか、全体をざっくりできるようにして、入るのか……求められる分野はレベルはそれぞれちがいます。
どこまでを求められているのか、自分は何が得意なのか。
内部と外部・代理店と制作会社・メーカーの担当・内部制作者で違います。
同じ編集・制作・ディレクターでも、求められるものも違えば、役割も違います。
どの部分を自分が請け負い、どの部分がクライアントなのか、あるいは別の担当者なのか。
残念ながら「なあなあ」で走ってしまうプロジェクトやプロダクトも多いのは事実です。
そしてさらに最終的に大事なのはやっぱりアウトプットだと私は思います。
どの部分に貢献しようかしまいが、パートタイムジョブでいられる仕事ならば、機械や若手や内部で出来る人間にとって代われます。
それでも頼まれるには、一歩踏み込んで「専門ならでは」のことであったり、「確実に結果を出す計画力」であったりするのです。もちろん、後者は整える場合、最低限の素材や用意が必要ですので、それがないものについては、引き受けないで断る勇気も大事だと思います。編集が一番尽力すべきは編集の役目。それ以外についても引き受けるならどの範囲・どこに責任を持つのかをちゃんときめたいところです。
では、手前からというとどうなるのか、次回はもうちょっと踏み込んで、「シナリオ」「絵コンテ」から引き受ける際のお話と、その基本的な部分についてちょっと触れていきたいと思います。
気になる方は、どうぞお楽しみに!