映像2021.03.08

ストーリーボードってなんだ?

自宅スタジオ
映像編集&シナリオ
秘密のチュートリアル!
野辺五月

映像を作るときにもとになる設計図、それがコンテであったり、シナリオであったりする……というのが前回のお話。
今回は少し踏み込んで、「ストーリーボードの勉強をしてみた編」です。

数年前のCGWorldで、『ストーリーボードのプロセスから学ぶ画作りの秘訣』というセミナーを見つけたのが、私とストーリーボードの出会いでした。
講師は栗田 唯さん。みんなから「唯さん」とよばれてる、おちゃめな先生で、海外有名スタジオでストーリーボードアーティストとして活躍してきた経歴の持ち主です。
見つける少し前に、私はAdobeMAXやCGWorldカンファレンスなどのイベントを通じ、シナリオ以外の映画の設計図に興味を持っていました。必要な絵を演出を、コンセプトをどう見せるのか。
そこで見つけた『ストーリーボード』というのは絵でみせるシナリオ……
私の当時必要としていた「コンテ」に近い概念でした。

そこでざっくりセッションを受けたのですが、その時はどこかピンとこないものがありました。ところが、この自粛期間中、家でアレコレ作業するにつれて、「勉強しなおすのにいいチャンスなのでは?」という気持ちになり、設計図の勉強に乗り出しました。
そして、本当に偶然も偶然なのですが、ウェブのセミナー(ウェビナー)で、2DAYS同じ栗田先生の授業を見つけたのです。
しかも今度は手を動かすやつです。
実は前回「ぴんとこないなぁ」と思った理由の一つが、座学だったから、その後実践までもっていけなかったからという部分にあります。自分の怠慢ではあるのですが、どうにも実地できず活かしきれずに終わってしまったストーリーボードの知識。
2020年映像で少しすれ違ったこともあり、また、逆にシナリオでうまく行った部分もあり、何とか「コンテ」的な先ぶれのもので間をつなぎたいという気持ちがありました。

そこで参加してみたのですが、
兎に角いい勉強になった2日間でした。
1Dayはストーリーボードの前の基礎の人間の書き方練習。

こんなかんじ
棒人間よりは進歩していますが、これをざっくりタイムトライアルで書きます。
30秒~2分でとなると、もう特徴のベースをとらえるだけでいっぱいいっぱい。
ただこれが、後々に聞いてくる基礎になるのです。
若干風邪気味でコロナなのではという不安もその時はあったのですが、とにかく目いっぱい描いてかいて、授業をうけてかいて……コンテの基礎、結果「よく見ること」「手を動かすこと」だと悟った日でした。
そして二日目……
いよいよストーリーボードの細かいところに手をだしていきます。
大事なのはまずは映画というか画面作りの勉強。
ということで、「フィルムスタディー」をまずおこないました。
既存の映画をサムネイルの大きさでコピーしていくのですが、見ながらかくけれど、なかなか……デザインの勉強ともカメラの勉強ともつかない『ざっくりとらえる』練習。
演出の幅を持たせるのに非常にいい勉強になりました。
この時は、ジブリが「フリー素材的に場面画像をつかっていいよ」ということで、公開してくれていたのでみんなでまずは構図をざっくりとらえる模写。→同じ構図で別のアイディアを出す勉強→実際に描くターンという流れに……。

 

描くの難しい&時間との闘い

千と千尋・魔女宅のワンショットです。元絵分かるでしょうか?

 

これ、コンテの勉強としては最高だなと思います。
絵の畑の方が多いらしく、参加者の意見や感想・発想には「なるほど、さすだなぁ」と思わされることも多かったのですが、「せねてアイディアは負けないぞ」というノリでざくざく出して、自分でできる精一杯でラフを作りました。

普段私はコンテを作る際、絵でなく、似たような画像を拾ってきて、こんなかんじという原型を作るのですが、場合によっては絵の方が早い……。
これを改めて感じました。

シナリオで伝えきる能力はもちろん必要で、現場によってはシナリオマストだと思います。反面、広告や短いOP動画は絵が命。ラフで流れ・動きを見せるほうがいいことも多々あります。
この辺りを、ある程度綺麗に仕上げてからみせて動く……という動きで作る方もいると思いますが、ディレクション的なポジションで誰かに頼むことも多い&時間をかけないで、しっかり合意だけはとりたいときに、「もうひと技」欲しい……。
常々そういう希望がありました。
ジェスチャードローイングの腕を磨きつつ、検索と素材も駆使しつつ……ラフで構図&シナリオにて説得という流れだけでも掴んでおきたい気持ちでの参加でしたが、いい経験になりました。
唯先生のクラスはちょくちょく応募がかかっているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。アニメーター志望など絵の関係の方はもちろん、フィルム・映像の視点での勉強も濃いです。私も少し続けるぞ!ということで、ストーリーボードの教科書をゲット。軽いフィルムスタディを続けたいと思っています。
好きな映画からがいい!とのことで、早速スターウォーズから?!
次回はシナリオと、広告のテキストのお話をしたいと思います。

プロフィール
映像編集&シナリオ
野辺五月
学生時代、研究の片手間、ひょんなことからシナリオライター(ゴースト)へ。 HP告知・雑誌掲載時の対応・外注管理などの制作進行?!も兼ね、ほそぼそと仕事をするうちに、潰れる現場。舞う仕事。消える責任者…… 諸々あって、気づけば、編プロ・広告会社・IT関連などを渡り歩くフリーランス(コピーライター)と化す。 2015年結婚式場の仕事をきっかけに、映像畑へ。プレミア・AE使い。基本はいつでもシナリオ構成!のひと。コロナで趣味の飲み歩きができず、近場の映画館へ入り浸り中。

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