映像2021.09.21

広告と映画の関係

東京
映像編集&コピーライター
秘密のチュートリアル!
野辺五月

今回はコンテンツの広告のお話です。
コンテンツ=ドラマや映画には広告がつきものです。
テレビドラマの場合自局で宣伝できるため、だいぶコストは下がりますが、
映画ともなれば膨大な資金が「広告」のみにかかります。

関わっている人からすると普通に思えることだと思いますが、外からみると、ちょっとわかりにくい広告費。ハリウッドだろうと日本だろうと、広告費の割合はそこまで変わりはありません。

最近でいうと、ユニバーサルからの新作契約が決まったクリストファー・ノーラン(TENETの監督)は、自分の新作予算1億ドルに対して、条件として同等の宣伝費を要求しています。
……そう、映画の広告はお金がかかっているのです。
日本の例もいくつか知っていますが、製作費同等とはいわないまでもかなりの予算を広告に回します。なぜならば、広く認知してもらわないと映画館に人が入らない=収益が厳しいからです。
逆に映画館に人が入りさえすれば、ペイできるので、広告費をかけても問題ない判断になります。
私も最初に知ったときは、広告費が結構なお値段なことにびっくりしました。
ちなみに通常の製品や事業の場合、広告費は全体の予算の10%~といわれています。
だからこそ、この高いコストには意味があるのだと知り、映画広告は本当に責任重要なものだと思いました。もちろんこの中にはチラシ・映像・タイアップの他、イベントであるとか、試写であるとか……様々な要素が含まれています。
それを一手に引き受ける総合プロデューサーがいる会社……ここが「配給」会社です。※例外はありますが。
漠然といつか映画の広告をしてみたいなと思っていたのですが、配給が制作会社に頼み、宣伝が作られていく工程がほとんどだと知ってからは、専門性とその流れで制作を請ける工程の何に興味があるのか、どこの部分でなら自分のスキルが提供できるだろうかということに関心が移りました。※もちろん制作する監督やプロデューサー自体が動いて一次案を出し、広告展開をする場合もあります。(直接劇場にかけあって映画を流す=配給を通さない場合など)

映像コンテンツビジネスの中で制作する人には、(ゲームもですが)ドラマや映画のコンテンツの中身と、広告=予告編(ティザー)と両方のタイプの制作をする人がいると思います。時に予算や体制によっては両方請け負うこともあるでしょう。
ここで注意したいのは、ドラマ・映画はそれ自体がコンテンツ=ある種価格がつくもの、ですが、広告の存在は、その「価格がつく商品を売ることを促すもの」だということです。
つまり……ものが売れないとマイナスです。
そのわりに、上で述べたとおり、実は広告費はめちゃくちゃかかる費用であり、依頼主からすれば負担になります。
=必ず売るための保証はできないけれど、ただ格好いいや見てもらうだけでなく、扱う商品やコンテンツを「欲しいと思ってもらう必要」が重くのしかかるわけです。

ここ最近予告編関係の話を制作陣・プロデューサー・配給の方から聞く機会があったのですが、
・インパクト
・時期的な戦略
・層の絞り込み
この辺りを注意して作っていると同時に、最近はメディアがSNS含め増えているので、どうあわせてどこに頼んで作っていくかが重要なキーになっているようです。

映画について言えば、配給会社の中でも新しい形にフォーカスして動いている会社も少しずつ増えています。とはいえ、映画の場合映画館との関係性もあるため、急激には増えていませんし、またそういった意味で劇場に働きかける出口がないとならないため特化した形がマストです。

 

そもそも他の広告についてはかつてから総合プロデュースとして広告代理店の存在があります。ただ一方で需要が多様化したことや、コロナの中でオリンピック開幕式の問題などもあり、アレコレ既存ルートでの綻びも見えています。
テレビや新聞はじめ路面含め、既存広告媒体に対して強いこれまでの代理店はもちろん、新しく動画に特化した代理店も増えていますが、予算が大きくかかればかかるほど、「向かう方向性と売りを明確にするプランを立てる人・チーム」の存在が大きくなるように思えます。また広告を依頼する側、その内側に広告周りが分かる人が必要になるケースも増えているように思います。

2020・2021と人が外に出られないこともあり、動画広告は着実に増えていますが、本体の製品やコンテンツに対してどのくらいの重さ(コストをかけられるか)・どういう層に向けての情報や出口(媒体)をもっているか、計算できるか……より明確にできるチームや制作者だけが残っていく流れになるんじゃないかなぁと予測が立ちます。
予算感から作ることを考える……制作はスキルをあげることも大事ですが、全体を見通していく必要もでてくるので、一つ頭にいれておきたい考え方だと思います。

その為にディレクション・プロデュース・企画の話は必要になってくるのですが、まとめて体系的に教えられるかどうかというと中々難しいものも感じます。それよりもまずすぐにでもできることに「何が誰に向けてのモノなのか」「どういう需要があるのか」街の観察がきくなぁとコンペなどで感じる機会が増えてきました。

緊急事態明けてからでも十分だと思いますが、ある程度の規模の街へ出れば、その街を構成する人の種類(年齢・性別・服装からみるカテゴリ)がざっくり取れます。

看板・ポスターなど物理的な流行はもちろん、広告に必要なマーケティングとして、「どこのどういう類の人が動いているか」「どういう場所が混んでいるか」はとても重要です。
近場ででも構わないので秋の街巡り。
特に誰かと話したりする必要もない=迷惑かけずにできるスキルアップの一つ。
自分自身消費者として、どういうところで何に惹かれたか確認するために動いてみるのはいかがでしょうか。

プロフィール
映像編集&コピーライター
野辺五月
学生時代、研究の片手間、ひょんなことからシナリオライター(ゴースト)へ。 HP告知・雑誌掲載時の対応・外注管理などの制作進行?!も兼ね、ほそぼそと仕事をするうちに、潰れる現場。舞う仕事。消える責任者…… 諸々あって、気づけば、編プロ・広告会社・IT関連などを渡り歩くフリーランス(コピーライター)と化す。 2015年結婚式場の仕事をきっかけに、映像畑へ。プレミア・AE使い。基本はいつでもシナリオ構成!のひと。コロナで趣味の飲み歩きができず、近場の映画館へ入り浸り中。

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