映画ソムリエ/東 紗友美の”もう試写った!” 第8回『女子高生に殺されたい』
『女子高生に殺されたい』
▶人間の心の難しさに触れる、心理を勉強したい人におすすめ度:100
ぶっとび設定の映画で現実逃避!いつもと違った感情に染まりたい人にオススメ!
超斬新な物語が爆誕してしまいました。この新しさはなんでしょう。
主人公が圧倒的に気持ち悪いんです…。
しかし、比例するかのごとく圧倒的な人間的魅力も兼ね備えていて…。
その人物への興味だけで引き込まれてしまう映画が生まれてしまいました。
これは、ちょっとした事件なのかもしれません。
【STORY】女子高生に殺されたいが為に高校教師になった男。人気教師として日常を送りながらも理想的な殺され方の実現のため9年間も密かに綿密に、完璧な計画を練ってきた。彼の理想の条件は二つ「完全犯罪であること」と「全力で殺されること」。明るく平和な学園内で、静かに着実に計画は進んでいく。
主演を演じるのは、田中圭。一見するとイイ人の先生役がハマっている。
そして「性の劇薬」「アルプススタンドのはしの方」の城定秀夫が監督と脚本を務め、脚本では古屋兎丸の原作を映画的に大胆にアレンジしたそうです。
JKに殺されたくてたまらないという男の背景で際立つ、高校生たちのみずみずしい青春模様。
一生のうちの限られた10代の刹那的な時間、並行して描かれる、先生のトンデモ計画犯罪。
美しさと狂気。この振れ幅がなんといっても魅力です。自分は何を観ているのか、観させられているのか。
真っ白なキャンバスに、毒々しいピンク色の絵の具を撒き散らしたような映画になっていた。
先生が己の欲望のためにアプローチしていく4人の女子高生。
真帆(南沙良)、あおい(河合優実)、京子(莉子)、愛佳(茅島みずき)もタイプの異なる美少女図鑑のようで映画的であり漫画的でもあった。
そして、特筆すべきは殺されたくて仕方のない東山先生から醸し出されるまさかの鮮度。
彼、どの高校生よりもイキイキしているんですよ…。第2の青春、送っちゃってるんですよ…。
そんな斬新な姿、面白くないわけないじゃないですか…。
正直書くべき感情では無いのかもしれない。
自分殺害計画を熱烈に成し遂げようとしている人なんて無論応援したいとは決して言えないけれど。
圧倒的な願望を持った人間には吸引力があるし、簡単には説明できないような人間の二面性に人はどうしても惹かれてしまうのです。
この物語は問いかけます。
皆何故、今日という日を頑張って生きるのか?
いずれ、良い死を望んでいるから。そう答える人もいると思います。
理想の死に方をするために生きる”今日”ならば、彼にとってこの世界で生きるとは、どういうことだったのだろう。
センセーショナルなタイトルに注目されがちな作品ですが、人間の心理を勉強したい人にもハマると思います。私はこの作品を、語りたくて仕方ない。
『女子高生に殺されたい』4月1日(金)全国ロードショー
出演:田中圭 / 南沙良 河合優実 莉子 茅島みずき 細田佳央太 加藤菜津 久保乃々花 キンタカオ / 大島優子
原作:古屋兎丸「女子高生に殺されたい」(新潮社バンチコミックス)
監督・脚本:城定秀夫 音楽:世武裕子 製作:鳥羽乾二郎 エグゼクティブプロデューサー:福家康孝 企画・プロデュース:谷戸 豊 プロデューサー:柴原祐一 ラインプロデューサー:濱松洋一 撮影:相馬大輔 照明:佐藤浩太 録音:竹内久史 美術:黒羽陽子 美術プロデューサー:津留啓亮 ヘアメイク:内城千栄子 衣装:加藤みゆき 編集:相良直一郎 音響効果:井上奈津子 キャスティング:細川久美子 助監督:土岐洋介 制作担当:天野佑亮 宣伝プロデューサー:福田大輔 制作プロダクション:ダブ 企画・配給:日活
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