映像2022.07.22

プロデューサーって何?

東京都某所
映像ディレクター
秘密のチュートリアル!
野辺五月

仕事柄、プロデューサーという方によくお会いします。
プロデューサーと一言でくくっても、様々な仕事・分野があり、(ディレクターもなのですが)もしかしたら一番説明がしづらい職業なのではないかと思います。

最近になって、役割別の働き方改革のトピックの中で、プロデューサーについて語られるようなことも増えたようですが、『プロデューサー』って何なのでしょうか?
現場それぞれではなく、全体的に見た「プロデューサー像」を今一度、ざっくり整理してみたいと思います。

まず第一に、身もふたもない話ですが、【プロデューサー】という仕事は、業界によって違います。
また会社やプロジェクトの規模によって、本当に千差万別です。

実際プロデューサー業に近いようなお仕事をしたこともありますし、反対にプロデューサーと組んでディレクターとしての仕事や、ライティング・編集などの仕事をしたこともあります。
結果として、都度違いすぎるので「どこからどこまでの範囲をやる人か」「どの決定権をもっているのか」を探るところから始めることが増えました。

そこかしこに定義があるので、ざっくり一般的にどう思われているのか確認するため、Wikipediaを調べました。

* * * *
プロデューサー(英語: Producer、略称PまたはPD)とは、映画やテレビ番組・ラジオ番組・ドラマ・アニメなどの映像作品、ポスターや看板などの広告作品、音楽作品、コンピュータゲーム作品制作/製作、アイドルなど、制作活動の予算調達や管理、スタッフの人事などをつかさどり、制作全体を統括する職務、その現場の責任者を指す[1]。ディレクターよりも広範囲な管理指揮権を有し、制作物の商業的な成否について責任をもつ。  (Wikipediaより)

* * * *
まあ嘘ではないのですが、これで十分とは言えません。Wikiですら下に実態という項目もあり、テレビ・映画・音楽・ゲーム・イベントなど場合によってのプロデューサーの役割と責任範囲がかかれていました。

便利なこと、響きがよいことから「プロデューサー」という肩書きの人間は実際にとても多いです。
クリエイターの交流会はもちろん、異業種交流会でもよく見かけます。が、実質何をしているのか、が分からないことも多く、最近はブランディングの為に敢えて書いている方も含めて「うさんくさい」という見方も聞きます。

プロデューサーとは何か?
私もまだ未だに分からないでいます。
ただ最近、プロデューサーという肩書の方には大きく分けて2パターンあるように思えてきました。


1つはプロジェクトの総責任者として、「ガワ」を全部抑え、制作の基本指針を打ち出して、実現に向けて企画を現実化するためのリーダー
もう1つはプロジェクトが現実的に動くためのお金周りを受け持つ人

ちなみにテレビやラジオのプロダクションや放送局のプロデューサーは、制作出身が多く、実際ディレクター兼務が多いです。
この場合は1つ目に重きがあり、更に選定だけでなく実行までする為、てんてこいまいです。その分、お金周りは別の人――クライアントや、出資者集団がやったりします。
更に厳密にいうと、出資を抱える場合の方が力が強い為、
1つ目の中には、現場責任者として「ガワ=最低限のパッケージ」はおさえますが、決定権は低い場合も多く含まれます。
また、プロデューサーは「企画の立ち上げや予算集め、配役やスタッフの決定に関与する仕事」といわれることもありますが、1つ目の場合、資金集めや立ち上げにはあまり関与しないパターンが多いです。(※あくまで個人的に遭遇したパターン&周辺できいての話ではありますが)

2つ目ですが、これは、直接にプロデューサーないし、その会社に責務が生じるパターンが多いため、売れないときは赤字……自腹を切ってうごく形も多いです。
また、実際の現場はディレクターに任せるパターンと、ディレクターと二人三脚のパターンがあります。

プロデューサーがいないと成立しない現場や仕事は多く、【責任の所在】としてのプロデューサーをたてて欲しいと言われる企画もあります。こういった場で求められているのは、大抵、「エグゼクティブプロデューサー」という肩書として資金繰り含めて動いている方です。(ケース2のを持っている前提の方です)
2のケースで、実態は「ディレクター」(ディレクターとしての仕事はバリバリこなしてくれるけれど、責任の所在は実はクライアント側がプロデューサー)というパターンはほとんど見受けられません。

プロデューサー職の方がよく、結局「お金を持ってくる人が強い」という話をしますが、このお金を持ってくる人は「エグゼクティブプロデューサー」という肩書が多いようです。

現場P(現場プロデューサー)や、制作P(制作プロデューサー)という呼ばれ方の場合は、お金周りやスポンサー周り・広報活動ではなく、実際にクリエイティブを何かする側のトップという言い方が多いです。
(ちなみに広報のトップで、広報をプロデュースするプロデューサーもいますがこの場合もl費用面まで含めての場合と、中身の企画→実現を促すところまでの場合があります)

プロデューサーの仕事は、基本的に予算が少ないほど兼任になり、大きいほど専門になります。
それゆえ映画のプロデューサーなどでは、大きな予算がつけばラインプロデューサーが1~4人ほどついて、例えばロケのみの交渉を専門に行うなど仕事は細分化します。
このことも一言で「プロデューサー」といってしまえる肩書を分かりにくくしているのかもしれません。

会社で「プロデューサー職」についている方の中でも、パターンがあって、自由度・決定権がどのくらい委ねられているかによって大分違う働きをしています。
今後、ある側面では、仕事が職能に重きを置くことになるといわれていますが、この辺の何が得意で何をする人なのかがはっきりしない(ケースバイケースな)役割は、ある意味で不利になるなぁと最近思います。
けれど上記したように、大きな現場ではますます重みを増していく仕事でもあるため、悩ましいところです。

ディレクターもなのですが、個人で1~10をやればディレクター・プロデューサーというと、そこもまたムズカシイものがあります。関わる人数により動きは違ってくるからです。
どの規模の何をどう動かすのか(概念的な枠組みは同じなのですが)なかなかわかりにくい側面もあるもの。一言でいっても多様なパターンを持つ職業は、自分でなるのもですが、関わるときも「暗黙の了解」でいると、範囲が違うため、仕事上事故が多いように思います。
プロデューサーという肩書きをみたら、不安がったり怪しんだりする必要はないと思いますが、何が得意で何を目的としている方なのか……前提をしって、お互いに気持ちの良い仕事をしたいと改めて思うところです。
少なくとも「一人のプロデューサーの話を聞いて仕事をプロデューサーの仕事を理解しよう」というのには無理があるということを覚えておくといいのではないかなというところで、今回の記事は締めたいと思います。

プロフィール
映像ディレクター
野辺五月
学生時代、研究の片手間、ひょんなことからシナリオライター(ゴースト)へ。 HP告知・雑誌掲載時の対応・外注管理などの制作進行?!も兼ね、ほそぼそと仕事をするうちに、潰れる現場。舞う仕事。消える責任者…… 諸々あって、気づけば、編プロ・広告会社・IT関連などを渡り歩くフリーランス(コピーライター/ディレクター)と化す。 2015年結婚式場の仕事をきっかけに、映像畑へ。プレミア・AE使い。基本はいつでもシナリオ構成!2022年は現場主義へ立ち返り、演出・構成をメインに活動。 「作るために作る」ではなく「伝えるために作る」が目標。早く趣味の飲み歩きができるようになって欲しいと祈る日々。

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