映像2022.10.07

どちらから観る?「僕が愛したすべての君へ/君を愛したひとりの僕へ」試写レビュー

東京
WEBクリエイター
日本文化×デザインあれこれ
いのうえ
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『僕が愛したすべての君へ』場面①

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『僕が愛したすべての君へ』場面②

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『僕が愛したすべての君へ』場面③

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『僕が愛したすべての君へ』場面④

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『君を愛したひとりの僕へ』場面①

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『君を愛したひとりの僕へ』場面②

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『君を愛したひとりの僕へ』場面③

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『君を愛したひとりの僕へ』場面④

人生は選択の連続である。
朝食はパンにする?ご飯にする?

大なり小なり無数の選択を繰り返し、周囲との関係性や自己を創り上げている。 それぞれの選択の先にはあらゆる可能性が待っている。

「今日はパンにしよう。」

この世界のあなたはパンを選んだとしよう。
では、ご飯を選んだパターンも並行世界に存在しているとしたら…?
パンorご飯の選択ならどちらの世界も差異は小さいだろう。食べ終わる時間や食器が変わる程度か。

だが、大きな選択をすればそれだけ差異のある人生に分岐する。
誰と暮らす?誰と付き合う?進学先は?

「観る順番で結末が変わるラブストーリー」として話題となった本作。
乙野四方字原作の小説「僕が愛したすべての君へ」「君を愛したひとりの僕へ」が2022年10月7日(金)に2作同日公開。

あなたは、「僕愛」「君愛」どちらから観る?

主人公、暦の選択

主人公の暦(こよみ)は7歳で大きな選択を迫られる。
離婚する両親のどちらと暮らすか。

母を選べば高崎暦として「僕が愛したすべての君へ」の世界。
父を選べば日高暦として「君を愛したひとりの僕へ」の世界。

それぞれの世界で異なるヒロインと恋に落ちるわけだが、当然起こる出来事も全く違う。
ただ、主人公が暦である事には変わりなく、2つの、正確には2つ以上の並行世界と絡み合いながら結末へと向かう。

本作の大きな特徴は、パラレル・シフトという方法で、並行世界を行き来できる技術があり、暦の父はその研究所(虚質科学研究所)に勤めている。

もう少し補足すると、パラレル・シフトとは肉体を残し、意識だけが違う世界線の自分と入れ替わるものである。本人の意志とは関係なく、勝手にパラレル・シフトすることもある。
パンorご飯など小さな差異の世界ではパラレル・シフトしたことすら気づかないまま生活する事になるのだ。

「僕愛」「君愛」それぞれのヒロイン

高崎暦は高校生の頃、親が研究所で働いているという瀧川和音とクラスメイトになる。
学友としてライバルとして、そして恋人として関係を深めていく。

日高暦は小学生の頃、研究所の所長の娘、佐藤栞と出会う。
そして互いを意識し始めた頃、両親の再婚により二人が兄妹となる事を告げられる。
兄妹にならない運命を求めて、二人は並行世界へ逃げ込むのだが・・・。

二人のヒロインと並行世界。
パラレル・シフトで入れ替わりが起きた場合、並行世界すべての君を愛せるか?
たったひとりの恋人を救うために何ができる?

本作は、それぞれの世界で暦の性格が異なっている。声優初挑戦ながら両役を担当している宮沢氷魚の熱演にも注目してほしい。

「僕愛」「君愛」どっちから観る?

「僕愛」と「君愛」は単独としてもストーリーは成立するが、2作観ることを強く勧めたい。

ではどちらを先に観れば良いのか?

私は「僕愛」→「君愛」の順で観賞。
素直な感想としては「君愛」の後にまた「僕愛」を観たくなった。
「君愛」があるからこそ、「僕愛」の幸せに深みが増す。
許されるならそれぞれを堪能した後、両方並べて同時に観たい。

そして只のラブストーリーでは決してなく、並行世界に別の人生があるかも、という妄想に駆られる。 どの世界の自分も、どの自分と関わってくれた人たちも幸せであって欲しい、なんて浸りたくなる作品だ。

『「君愛」は切ない終わり方』と紹介されているものの、どちらも幸せな終わり方と捉える事もできる。
観る順番や恋愛観で感じ方が変わるので、感想を言い合うと更に物語が広がるかもしれない。

そしてこの2作はなんと、監督と制作スタジオが異なる。
「僕愛」は「閃光のナイトレイド」「劇場版Infini-T Force/ガッチャマン さらば友よ」の松本淳監督、制作はタツノコスタジオ内で立ち上げられたBAKKEN RECORD。

「君愛」は「バクマン。」「のだめカンタービレ」のカサヰケンイチ監督、制作はトムス・エンタテイメント。

松本監督の「僕愛」は、和音の成長や壮年期の描写が繊細だし、カサヰ監督の「君愛」は切なさの最後にあたたかさが滲んでいる。思春期の恋愛の甘酸っぱさや、二人だけの世界も眩しい。

昭和通り交差点など実在の場所がモデルとして登場しており、私たちの世界ともリンクを感じる。

また、並行世界という性質上、2作に同じシーンが繰り返し登場する。
どのように連携を取っていたのか制作の裏側まで気になってくる。
2つの制作陣が作り上げた並行世界の観察者となって欲しい。

『僕が愛したすべての君へ』 (略称:『僕愛』)

 2022年10⽉7⽇(⾦)全国公開

キャスト:宮沢氷⿂ 橋本 愛 / 蒔⽥彩珠 ⽥村睦⼼ 浜⽥賢⼆ 園崎未恵 ⻄村知道 平野⽂ / ⽔野美紀 余 貴美⼦ ⻄岡德⾺
原作:⼄野四⽅字「僕が愛したすべての君へ」(ハヤカワ⽂庫刊)
主題歌:「雲を恋う」須⽥景凪(WARNER MUSIC JAPAN / unBORDE)
監督:松本 淳
脚本:坂⼝理⼦
⾳楽:⼤間々昂
キャラクター原案:shimano
アニメーション制作:BAKKEN RECORD
製作:「僕愛」「君愛」製作委員会
製作幹事:電通
配給:東映
公式HP:https://bokuaikimiai.jp
公式Twitter:@bokuai_movie

【あらすじ】
両親が離婚し、⺟親と暮らす⾼校⽣の⾼崎 暦(たかさき こよみ)。ある⽇、クラスメイトの瀧川和⾳(たきがわ かずね)に声をかけられる。 85番⽬の並⾏世界から移動してきたという彼⼥は、その世界で2⼈が恋⼈同⼠であると告げる・・・。

『君を愛したひとりの僕へ』 (略称:『君愛』)

 2022年10⽉7⽇(⾦)全国公開

 

キャスト:宮沢氷⿂ 蒔⽥彩珠 / 橋本 愛 ⽥村睦⼼ 浜⽥賢⼆ 園崎未恵 ⻄村知道 / ⽔野美紀 余 貴美⼦ ⻄岡德⾺
原作:⼄野四⽅字「君を愛したひとりの僕へ」(ハヤカワ⽂庫刊)
主題歌:「紫苑」Saucy Dog(A-Sketch)
監督:カサヰケンイチ
脚本:坂⼝理⼦
⾳楽:⼤間々昂
キャラクター原案:shimano
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
製作:「僕愛」「君愛」製作委員会
製作幹事:電通
配給:東映
公式HP:https://bokuaikimiai.jp
公式Twitter:@kimiai_movie

【あらすじ】
両親が離婚し、⽗親と暮らす⼩学⽣の⽇⾼ 暦(ひだか こよみ)。ある⽇、⽗の勤務先で佐藤 栞(さとう しおり)という少⼥と出会う。 お互いに恋⼼を抱くようになる暦と栞だったが、親同⼠が再婚することを知らされる。 ふたりは兄妹にならない運命が約束された並⾏世界への駆け落ちを決断するが・・・。

プロフィール
WEBクリエイター
いのうえ
WEBクリエイター(デザイン/コーディング) サイトリニューアル、デザインの他、企業系大規模サイト、ECサイトの制作・運営などに携わる。fellowsでのセミナー講師経験もあり。 ここでは個人的に情報収集・発信している日本文化とデザインについて紹介しています。

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