国産のお絵描きAI と展望について
前回 Midjourney及び、Stable Diffusionを紹介しましたが、何とあの後米国の美術品評会で1位になって物議を醸したり(しかも提出したのはボードゲームメーカーのCEOで、議論になることもある程度分かってて提出しているとのこと)既にいろいろなところに影響しています。
さて、では国内はどうかというのが今回のお話。
まず先日、何と「Artificial Images Midjourney / Stable DiffusionによるAIアートコレクション」という書籍がでたりしています。MidjourneyとStable Diffusionを使って生成した画像を、イラストレーターがリファインして作った画集で、背景とイラスト両方を852話さんが担当し、更に生成に使ったプロバイダ(呪文)も掲載しているそうです。
更に著作権関連の話を載せるなど、今後のシーンを考えさせる一冊になっています。
また、Twitterでは、Rootport(@rootport)氏の『サイバーパンク桃太郎』が話題になりました。文字通りサイバーパンク版の『桃太郎』なのですが、絵・背景は全てAI生成、工夫と難しかったところなどもコメントで後から垣間見られるので、新しい試みだと思いました。
AIでマンガを制作するという挑戦に対し、マンガ原作者Rootport氏の演出・シナリオの面白さが光ります。こんなポジティブな部分もあるのだ!という意味でも、AIの台頭に不安を覚える漫画家さんやイラストレーターさんには是非みていただきたい作品です。
(出典:https://twitter.com/rootport/status/1557233170348617728)
他にも、国内動向としては、AIイラスト生成「mimic」が8月にリリースしました。
このイラスト生成は、「絵の個性を反映したイラストを生成する」という特徴がありました。が、わずか1日でストップします。ただまあベータ版なので改善前提ではあり、運営会社のラディウス・ファイブは、使用者・有識者からの意見・質問を受け、その回答や対応策をまとめた「mimicβ版に関するお知らせ」(出典:https://twitter.com/illustmimic/status/1569986787547975682)を今後の展開として発表しました。
焦点は不正利用。著作権を保持していないイラストをアップロードしたり、mimic上で公開されているイラストを利用範囲を逸脱して利用する行為です。
ここについて、アカウントの事前調査の他、学習に利用された元データの公開を必須にする、透かしをいれるなどを検討しているということで、慎重に境界を敷きなおすスタートとなりそうです。
こういった慎重さは権利を守る観点からは大事なところです。
ただ、同時に、新しいサービスが開発されることも今後日本企業にとって意味のあることとなってくると思います。全くゼロにするのではなく、この技術をどう応用し、どう改善、実装につなげていくのか、続報が望まれます。
協力クリエイターへの誹謗中傷など別の問題もあり、物議を醸すのは仕方ないとしても、節度を守って「議論の範囲」で意見をだしていくべきだと感じました。
追記すれば、改正プロバイダ責任制限法という法律が10月には施行されます。
今後ツールの不正行為はもちろん、こういったツール周りのご意見ご感想と誹謗中傷の境界線のことも、よりしっかりと問われていくようになる気がします。
よいことだけをかけということではありませんが、批判・批評をする際に只の悪口になっていないかの部分にも気を付けたいと思いながら、今回の記事を閉めたいと思います。
※サムネイルのイラストは筆者がMidjourneyにて自力生成した作品です。
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