コミカルを極めた本格派『大名倒産』
豪華キャストで楽しい時代劇!
数年前からこのパターンが増えたような気がしていて、飽きるかと思うとこれが楽しいものだからついつい見てしまうのです。
というわけで、新しい時代劇コメディが、映画『大名倒産』。
軽い気持ちで観ることの出来る作品ですが、時代劇ならではのキャスト&シチュエーションにどっぷり浸かれる作品。時間はそこそこあるはずなのに、あっという間に終わってしまいました。
誰でも観られる、楽しいエンタメです。
お話はというと、なんと直木賞作家で、『鉄道員(ぽっぽや)』『壬生義士伝』など映像化でも素晴らしいヒットを繰り出す最高の原作者:浅田次郎による上・下巻の物語です。
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【あらすじ】
260年の泰平の間に、積もり積もった借金はなんと25万両!
丹生山松平家12代当主は、次男三男を飛び越えて庶子の
四男・小四郎に後を継がせて隠居すると……言い出した。
いきなりプリンス×借金100億円?!
何も知らずに大名家の家督を継いでしまった小四郎
なんとか倒産を防ごうと必死の「経営再建」に乗り出すが。
返済できないと、切腹?という中で、一体どうなるのか?
笑いと涙がてんこ盛りの豪華エンターテインメント!!
(文藝春秋BOOKSおよび映画『大名倒産』公式サイト・ストーリーより抜粋)
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エンドロールまで目が離せない!斬新なキャスティング
主演、神木隆之介を始め、一癖ある先代大名に佐藤浩市、育ての父母に小日向文世・宮﨑あおい……ヒロインは明るいちゃきちゃきの杉咲花。浅野忠信や松山ケンイチ他、そうくるか?という役どころもあり、エンドロールまで一時も目が離せませんでした。
特に主人公の兄2人を演じる桜田通、松山ケンイチなど上手いはうまいのですが、この人と言えばこういう役に、というパターンではない斬新な部分があって、キャスティングの妙を感じました。
明らかな食わせ者や悪役の演技も良いのですが、それに加えて小芝居を打つ必要のあるサブが良い味をだしており、この辺を“話の筋”から外れないようにまとめる編集が光っていました。(台詞がないので、ここは演出・監督の指示だと思いますが、何度か見てチェックしたくなるような部分が多くありました)
ちなみに、一瞬ややこしいのですが、映画を見ているうちに分かってくる相関関係図がこちら。
画面を際立たせるカラフルな色遣い
キャストの豪華さ&脚本のコミカルさとは別に、今回注目したいのは色味です。
コミカルに刻んだカットに対して、ちょっと過剰なくらいカラフルな色味がついており、画面をとても際立たせていました。
良し悪しは、好みの部分も大きくなりそうだと思いますが、コメディということで随分と振り切った色合いにしているような気がします。具体的に言うと、ベースのカラーからして黄色味が強く、衣装も全般的にカラフルなのです。
更になんとなくコミックテイストでもあります。
これまでも『超高速!参勤交代』や、『引っ越し大名!』など、この種のコミカルな映画は大分増えていました。(『のぼうの城』は、どちらかいうと本格時代劇風に色を抑えてつくっていますが、前者2つはどちらも脚本・原作家が同じということで「いい意味でコメディ寄り」だと思います。)
パターンができてファンが増えた分本来なら飽きてしまう部分もあるのですが、ここにきて視覚から攻めたのかもしれないと思う部分もありました。派手な色味は苦手、という方もいるでしょうが、これはこれとして見ごたえがあるので大きなスクリーンで楽しんでいただきたいと思います。
ぜひ劇場へどうぞ。
映画『大名倒産』6月23日(金)全国公開
原作:浅田次郎「大名倒産」(文春文庫刊)
主演:神木隆之介
出演:杉咲花 松山ケンイチ
小日向文世 / 小手伸也 桜田通 / 宮﨑あおい
キムラ緑子 梶原善 / 勝村政信 石橋蓮司
髙田延彦 藤間爽子 カトウシンスケ 秋谷郁甫 ヒコロヒー
浅野忠信 / 佐藤浩市
監督:前田哲
脚本:丑尾健太郎、稲葉一広
音楽:大友良英
主題歌:GReeeeN「WONDERFUL」(ユニバーサル ミュージック)
プロデューサー:石塚慶生、西麻美
製作:『大名倒産』製作委員会
配給:松竹
公式サイト:movies.shochiku.co.jp/daimyo-tosan/
公式Twitter:@daimyo_tosan
© 2023映画『大名倒産』製作委員会