撮影基地IN中国 2023 その2
中国版ハリウッドとも言われる「横店影視城」、今回はその中でも一番大きく、たくさんの作品で使用されているロケ地『清明上河図』についてです。
こちらは、あまりの広さに、内部がカートでの移動となっておりました。
しかも人力でこぐものもあるにはありましたが、ほとんどが動力ありのものです。
「清明上河図」は、街並みのオープンスタジオで、一日一か所は撮影が入っているといわれている人気のセットです。
先月お伝えした『秦王朝』とは違い、こちらは元々が「清明上河図」という図巻(絵巻のようなもの)が元になっています。この図巻は、北宋の宮廷画家:張択端が描いたもので、故宮博物館に収納されているものです。
内容は、北宋の都・開封(かいほう)の人々の生活であり、実際の都の街並みが鮮明に描かれているのだそうです。
この横店の清明上河図エリアは、絵をもとに再現しているので、基本的に北宋(ほくそう)時代つまり960年~1127年の作品にむいているロケ地となります。が、中国は歴史モノもさることながら、歴史ファンタジーや仙境ファンタジーも多いので、かなりの量の作品に使われている模様。
特に絵でもクライマックスに当たる場所として取り上げられている特徴的な橋や、メインの町並みは、撮影ラッシュ時には、2~3のドラマを撮影が同時に入ることもあるそうで、当日は雨にもかかわらず待機組が押し寄せていました。
実際撮影をしているドラマもあり、一番びっくりしたのは、クレーンで雨を遮るような傘代わりの薄い幕を持ち上げて、下に疑似的な曇りを作りだし撮影続行していたことです。要は……屋根をクレーンで作ってたのですね。
キャストによっては後で時間をとるより無理やり環境を合わせた方が安上がりなのだと思いますが……すごいですね。聞いたところ、夜しか撮影時間が取れない場合、上からとんでもない量のライトをあてて、「疑似昼」を作りだして撮影している場合もわりとあるそうです。予算を考えるとぞっとするものがありますが、規模を見ると……納得でした。
近場にビルが見えないのも、この撮影スポットの特徴で、いざ撮影がはじまれば、見学者たちはロープの内側に入らないように範囲を限られますし、現代的なものがゼロの状態で撮れるのは非常に美味しい場所だと思います。
また横店の周りには、フードのデリバリーや衣裳の店、メイクの専門店なども多数あります。デリバリーのうち一つ、実際に使われているお店のものを昼はいただきましたが、味もボリュームも申し分なく……というよりも、非常に美味で、プラスチックの容器もしっかりしていてびっくりしました。
エキストラはもちろん、ドラマの用意に先に入っている美術班もいて、既に建て込みしている様子もみられました。
個人的に期待しているドラマの続編のバンが止まっていたり、そのセットの為に、建物の主に柱や邸宅の屋号の部分を組み替えることが多いようなのですが、その様子がリアルタイムで目撃出来てとても勉強になりました。
撮影に使われた小道具は意外と置いていかれることが多いようで、そこかしこそのままにされた野菜売りの野菜や布屋の布なども見受けられ、文化の差も感じました。
正門付近にはレンタル衣裳店もあるため、撮影も可能だそうです。またショーなどのイベントやアトラクションもあるため、家族連れもくる観光地の側面もあるとのことですが、外国人が中に入るのは少なくとも訪れた時期はまだ難しい部分もあり、ツアーに感謝しました。チケットの種類により入れる場所も限られる他、当日の撮影との兼ね合いで、完全に封鎖される地域も多いとのことです。外国撮影班におけるロケは少しずつ増えているとの情報があるため、そちらもちょっと確認していきたいところではありますが、中国内部に関係者がいない場合は厳しいだろう予想がつく一日でした。
次は衣裳やメイクについて、また更に奥のロケ地についてお届けできればと思います。