InterBEEで現場確認?!
11月13日(水)~15(金)にInterBEEがありました。 会期3日間の登録来場者総数は33,853名と大盛況だったようですが、去年とはちょっと違う雰囲気を感じました。というのも、個人の来場者と学生はいましたが、昨年に比べるとちょっと少なく感じました。相対的な比率として企業マン営業マンが多く思えます。
それは内容からも明らかで、企業の展示会なので当たり前といえば当たり前ですが、今年は個人ユースの機材やシステムよりも大規模向けのものが多くありました。
今回私は中日に行きましたが、目当てのブース以外も一通り「どういう流行りか」「何に注目が集まっているのか」をみることを目的にしていました。注目したいのは、少し前に比べて、VR関連のもりあがりが落ち着いたことです。まだまだもりあがってはいるのでしょうが、前回のように、特別な感じではなく、いい意味で定着し、幾つかあるトピックの一つになっていました。
機材では、最新のものがいろいろ……Blackmagicdesign からでた「17Kのシネマカメラ」や、富士フイルム初の映像制作用カメラ「FUJIFILM GFX ETERNA」など注目されるものがあり、人が群がっていました。
他「指だけで全身を動かして触感を得る」というマウス型デバイスを使用したシステムや、中規模以下のグリーンバックのバーチャルプロダクションなど、ちょっとした、けれど今後使われていきそうな気の利いたものも……。
さて個人的な目当てですが、一つはAdobeブースの講演(「Firefly Videoモデル & Premiere Pro 生成拡張 について」)大方は知っているつもりでしたが、プロンプトの具体的な書き方や、イメージを生成した後にその画像を自動で動画にする生成という、二重構造など、「言われてみれば」が既に行われており、実例を含めて非常に興味深いものでした。
Adobeの対応として、おすすめできるなとおもうのは、基本的に著作権がクリアであること……とはいえ色々不安もあるので、個人的に納品ベースには使いませんが、実際、ラフ作業・デモリールを作るような作業には十分使えると思います。入れ替えやすいように、作っておけば後の作業が大分楽になります。また、演出を色々試せるのがとても魅力的だと思いました。追加でChatGPT含めて、指示を作る際のプロンプトは、まだAdobe Fireflyに最適化されていないとのことなので、工夫する必要があるのも興味深く、早速いじってみようと思います。
特にやってみたいと思ったのは抽象的な表現で、色々な映像の背景素材になるようなものを作れること、また撮影が大変な煙などのディティールを作れるのは便利そうです。(参考にどうぞ:https://www.inter-bee.com/ja/forvisitors/conference/session/?conference_id=2723)
次の狙いは、3ホールの奥でやっていた「InterBEE CINEMA企画」。
現場のプロが集結し、15時から2時間で短編映画を作る実演をしており、横のステージで専門家がそちらと中継を繋ぎながら説明をしてくれるというながれでした。
移動して、今まさに行われているプロの撮影現場を見るのもよし、戻って細かい説明を聞くもよし……なかなかみごたえのあるショーです。メンバーもかなり豪華で、普段お話を伺えないような人ばかり。生憎制作は忙しい時期なので、スタッフ側の人間はあまりいないかもしれませんが、個人的には制作に入ることもあるので、機材の使い方以上に全体の流れや、この規模の動き方がみられてとても勉強になりました。機材は初日は薄く、二日目はある程度什器やレールもこみで、バジェットもそこそこのようでしたが、演技や、その前後の打ち合わせ、カメラ・照明との兼ね合いを確認しつつ動く監督とスタッフのコミュニケーションで信頼をうかがわせるものでした。これだけでも、本当に行く価値があったと思います。
他、毎年みている、InterBEEのINTER BEE IGNITION×DCEXPO……。ここでは、去年一昨年もっとその前からの「開発」の続きがみられたり、まだこれから出てくる新しいシステム(試用のもの)が見られたり中では異質なものが多くありました。中でも注目したのは、映像やCMの「顔」だけを、取り込んで入れ替える「客参加型」にさせるシステムで、試せるのは武士やDJブースのひとびと。全員を同じ顔にすることも可能です。宣伝として「自分事」にするよう促すこともできますので、きっと今後活用されていくと思います。
もう一つ明治大学大学院 先端数理科学研究科の「Edible Lenticular Cuisine:レンズ形状のゼリーを活用した多視点からの見た目が変化する料理の提案」が面白かったです。フレンチレストラン「élan vital」との共同研究ということで、技術を活用した料理表現の開拓もしており、一部味見もできました。
https://x.com/tkgalpha/status/1855515502308913494
本当に説明がなかなかむずかしいのですが、この手の「最先端」「実験」を見る機会こそ展示会の醍醐味だと思います。その他鼓動のするクッションなども「実用」がみえるけれどちょっと不思議で今後のビジネス展開に期待が募ります。
他個人的な興味では、KODAKの新製品。8mmフィルムカメラ「KODAK Super8 Camera」がきになりました。昔ぎりぎりラストで8mm映画を撮影していたので、懐かしいやらフォルムがオシャレで「流行るだろうな」と思わせられることもあり、注目しています。
後は、premiereに欲しい機能をトークするフラッシュバックジャパンブース「俺たちPOM」は毎度のことながら面白く、あふたー屋さん( @afuta_ya)、「買ってよかったプラグインランキング」は最高に役に立ちます。こちらは記事にもまとめられているので是非(https://flashbackj.com/afuta_ya-plugins-top-5)見てみて下さい。
現場のみで見られる情報がたくさんあるのも展示会のよさ、未参加の方で、何かしらの業界に関係ある方こそ来訪をお勧めします。
もう一つのイベントクリエイティブカンファレンスについてもまとめようとおもったのですが、ここまでに。
オフラインイベントが増えてきたのは嬉しいことですが、回り方をひさびさすぎて忘れてしまったので、ProNewsの「歩き方」(https://jp.pronews.com/special/interbee2024)が役にたったことも最後に足しておしまいにします。