自主制作と仕事
制作に関わる仕事をしていると、めちゃくちゃ仕事が忙しいときもありますが、今後を考えて別のアプローチ(ツールや組み立て方)にトライしたくなる時があると思います。
転職や、次のステップに向けて、仕事の中で何かしら新しいことにトライさせてもらえる環境にあればいいのですが、毎度そうもいきません。そんなときにポートフォリオの作成や、イベント・展示・発表会への参加などいろいろな形で「自主制作」に行き当たるケースは多いかと。
コツコツとテーマや、ツールを決めて発表するのもいいでしょう。チュートリアルを1から学び直すのも手です。あるいはチームで制作する何かに加わる手もあります。
例えば文学フリマや、デザフェスのように自分で制作から販売までするケースは昨今増えています。
その中から、「ポートフォリオ」として使えるものを選択するやり方も、実はあります。
12月といえば冬コミがあります。
取り上げられがちなのはコスプレと二次創作なのですが、実は冬コミには、一次創作物やレポートなんかも多くあります。食べ物系、写真系、知識系……さまざまな本がありますが、こういった発表の場で本を出す側になることもおススメです。
また実際にプロがPrやAeのプロジェクトファイルつきの同人誌を頒布していたり、デザインの本を「個人的に」発行したりしています。仕事にも役に立つなぁと思っている情報をまとめてくださっている人も多くいて、私も御世話になります。
同じく定期的に行われているプログラム関連など技術書の同人誌を作って頒布しあうマーケット「技術書同人誌博覧会(技書博)」もあります。こちらでは、例えば、生成AIの入門漫画本や、デスクトップアプリの開発本、ハッキング、セキュリティー、WEB技術本などさまざまな知見をまとめたり、工程を図説してくれている本があります。本屋やアマゾンの流通システムに載せる目的ではない、こういった冊子も最近では少部数から発行することが出来ます。これはコミケなどが発展した日本ならでは強みでもあり、コストもそこそこに様々な種類の印刷が可能でもあるのです。
自主製作って何ぞ?ポートフォリオにするとは?ということで、一つお勧めしたいのが、こちら。
エディティアルデザイナーのPOO松本氏の本。前にも一度ご紹介しているかもしれませんが、シリーズで出ている此方の作品群は、ちょっとでもデザインに関わることになった人には見てほしいものです。
ところで、映像では?というと、よく昔から言われるのが、「映像をバラすこと」。CMやMV気に入ったモーションなどを紐解いて、全く同じに仕立ててみるのです。著作権上表向きにはアップロードできませんが自主練習でやる分には構いません。特にモーションデザインなどは、フォントがわかりさえすれば、そっくりそのまま再現できることもあります。いい勉強になりますので「完コピ」お勧めです。
では他のポジションは? また他の勉強をさせてもらえる場所や機会はどうえればいいのか?
色々な意見があると思います。仕事で関わっているのならば、現場にお邪魔させてもらって~なんていう手もとれるかしれませんが、そうはいかないことも多く、仕事の案件は大きくなればなるほど「分業」です。スライドで別の仕事も知りたい、勉強したいとなると、プレイヤーとして潜り込む(副業バイトがOKならばこの手もとれます)という方法もあります。もう一つが、自主製作のチームに入ることです。
どうやって入るか?サークル活動的なものもありますし、コネや伝手もあります。が、一番いいのは得意なことで加わることです。先程の本の制作でもそうです。
人がいないパートを助ける、得意な部分を請け負うということで「制作チーム」に入ることは簡単になります。
ダメなら主催をする方法があります。ショートフィルムや、CMもどきは、必要な人材に声をかけて作ることが可能です。プロにお願いすることもできます。もちろん、最低限大きな枠組みを知る必要はあると思っていますので、自分が一つのポジションで働ききる力がないのであれば「スポンサー」兼プロデューサー・ディレクターになって、他に一人プロデューサー・ディレクターを立てるのがいいかもしれません。
もっと簡単な方法もあります。エキストラなどの絶対必要な人出として加わることです。
プロの現場になかなか加われない場合は、芸大や映像科の制作手伝いもありです。どうしてかというと、「ひとながれ」が分かるから。規模が小さい方が全体は見え、専門の大学の方が分業もある程度されているので分かりやすいと思います。もちろん映像系の専門などもありますが、どれでも構いません。チームでの制作活動は変な話一度でもやったことがないとなかなか厳しい&いいチーム制作を見られないのです。そういう意味でも部分でプロフェッショナルであり、現場を知っているのならば小さなチームを作って・ないしチームに入って制作はできます。
ポートフォリオにすることもですが、何か一つを極めていく人にとっては自分のパートが他のパートにどう見られ、何を必要されるかを知る機会になりますし(質問しやすい状況であることが多い&交流がしやすいので)、逆に次の技術として習得したいものや、ディレクションとしてのセンス・ルールも養われるのではないでしょうか。
というわけで、自主制作のすすめでした。
なお、私も久々に知人の誘いで、インディーズ映画の撮影に入っています。プロアマ混ざってではありますが、普段と違うパートで参加していることもあり、非常に刺激的。来年トライしたいことを考えながら、今年の集大成をもう一つ自分だけの制作でも作りたいと思う12月なのでした。