原点は新卒で就職した地元のセレクトショップ 人との出会いを通して、ビジネスの嗅覚を開花
- 名古屋
- トリプルEジャパン株式会社 代表取締役 飯見 裕一郎 氏
勤めていた会社が倒産、独学で服を作って販売 地元のショップは出会いの宝庫
デザインの世界にはいつ頃から携わられたのですか?
20歳頃に、地元である岡崎市のセレクトショップに就職しましたが、数ヶ月で会社が潰れてしまいました。そこで社長にテナントを貸していただき、自分で作った服などを売っていました。
服飾デザインを専門的に学ばれたご経験がおありなのですか?
いいえ、特にデザインを学んだことはなかったのですが、服が好きだったのでどんなデザインがかっこいいのか、わかっていたと思います。
独学で服を作ってしまうなんてすごいですね。
いえいえ、全然大したことありませんよ。ただ気になると、何でもとことん調べます。納得いくまで情報収集して、満を持してアクションを起こすようにしています。
ショップ経営からデザイン制作へは、どのような経緯で移行されたのですか?
地元でショップを経営していると、来店したお客さんと懇意になって様々な話をする機会があります。同じように服のデザインをやりたいという仕事仲間に出会ったり、デザインを依頼したいというお客さんが現れたりして、自然とデザイン制作も手掛けるようになりました。 ちょうどデザイン制作が軌道に乗り始めた頃、洋服の店頭販売はインターネット販売の普及で陰りが見え始めたので撤退しました。
時間の有効活用が最大のメリット オフィスのインテリアも個人の評価を上げる材料
フリーランスでされていたのに、会社を立ち上げオフィスを構えたのはなぜですか?
効率と相談のしやすさ、それから大きなプロジェクトが達成できる点ですね。自分にはない知識や技術を持つメンバーとすぐ話し合えるメリットは大きいです。デザイナーやライターと打ち合わせをするとき、共通のオフィスがないと、とにかく時間がかかります。依頼を外注に出すたびに、いちいち外で打ち合わせをしていては、いくら時間があっても足りません。ちょっとしたやりとりも電話やメールでは、なかなかニュアンスが伝わらないこともありますが、その場で話し合えれば、手っ取り早い上、ミスコミュニケーションも減ります。 また大きなプロジェクトは、1人でやるには限界がありますが、人員を集めて、チームを立ち上げればダイナミックな仕事ができると思い「ジユウノハコ」を作りました。
「ジユウノハコ」では、雇用関係のないクリエイターの方ともオフィス共有されているということですが、オフィス賃料などのシステムは?
1人1人事業主なので、賃料や共益費を納めてもらってテナントの賃料を支払い、経費を賄って運営しています。新しく迎えるメンバーは、2~3か月の試用期間後、双方の合意の下、契約を結びます。賃料で稼ぐつもりはないので、実際経費とでプラマイゼロです。
「ジユウノハコ」は、誰でもお金を払えば自由に使えるシェアオフィスとは一線を画しているのですね?
はい、一応面接をしてお互いを理解し合えた方限定ですね。大切な機材や機密情報もありますので、誰だかわからない人が出入りするのはあまり好ましくないと思っています。
内装もおしゃれですね。インテリア一つ一つにもこだわりが感じられますね。
デザイン制作の会社なので、内装やインテリアにもこだわりました。設置している加湿器一つとってもデザイン性にこだわっているのは、メンバーが顧客と商談する際も、オフィスをみて個人の評価が上がれば、また次の仕事につながると思っているからです。
個々の「自由」を大切に
フリーランスのメンバーが集まった集団の特徴は?
司法書士や一級建築士を持つメンバーや台湾出身のメンバーなどさまざまな人がいます。オフィス内には、フリーランスだけではなく、リノベーションの会社やイベント会社もいます。 仕事において、「納期だけはしっかり守る。」それさえできれば、出勤も勤務時間も自由です。給与も出来高制の人がほとんどですが、固定給を希望する人には固定給で支払っています。 今の若い人たちは、自由な時間を大切にするので、そのスタンスを変えてはいけないと思っています。
ご自身も自由な時間を大切にされる方ですか?
最近は17時や18時になると、家に帰りたくなります。そういう姿勢をメンバーに見せることも大切だと思っています。 いまどきパソコンとネットワーク環境があれば、どこでも仕事はできますから。
御社には就業規則はありますか?
2か月に1回席替えをします。子どもの頃のワクワク感を取り戻せるのと、席替えがあることで自然と個々のデスクや書類が整理される利点があります。
みなさん自分の好きな仕事を自分の意志と責任でやっているせいか、普通の会社と空気が少し違うように感じます。
はい、みんな主体的ですね。ここではやらされている感を持って仕事をしている人は1人もいないと思います。
決められた仕事を指示されてやらされるより、自分たちに裁量のある仕事をどんな方法なら訴求効果があるのか話し合い、考えながらやりたいと考えています。
単にデザインを作るのではなく、お客さまと一緒に「育てるデザイン」として、コンサルティング要素を付加価値にしたデザインを提供されているということですが、そのために心掛けていらっしゃることは何ですか?
正直になることですね。成果(反響)が出なくても、それはそれで結果なので「次はどうするのか、どうすれば人を集められるのか、広告効果を発揮できるのか」を話し合い、次の一手を考えます。
社名の由来を教えてください。
社名に「トリプルEジャパン」と最後に「ジャパン」を付けたのは、海外を視野に入れているからです。海外でもこんな空間を作って、「トリプルE○○」にしたいと思っています。
着実に前進する秘訣は何ですか?
実行力のように思います。会社の悪口を言う人はたくさんいて、「だったら辞めればいいのに」と思いますが、みな辞めません。「日本は法人税が高い」という経営者はたくさんいますが、「だったら日本を出ればいいのに」と思いますが、みな簡単には行動を起こしません。 現在、私は海外進出の実行を前提として、模索中です。とことん調べた上で実行に移したいと思います。
子育て女性が活躍できる働き方をバックアップ
どんな方と一緒に働きたいと思いますか?
名古屋で頑張るフリーランスの方々ですね。日本の企業において、デザイナー・プログラマーはもっと適正な評価をされてもいいのではと感じることがあります。だからこそ、クリエイターとしての気概と才能を持った人たちと一緒に仕事がしたいと、スペースを作りました。個人の力でやっていきたいという野心ある方々にぜひ来てほしいですね。
今後の展望を聞かせてください。
2018年には名駅に新オフィスを開設予定です。今は30人ほどのメンバーで稼働していますが、100人ほど仲間を増やしたいです。女性的なセンスによるデザインの必要性も強く感じているので、女性が出産と同時に現場を離れてしまうことがないよう、オフィスの一角に託児所を設け、保育士を常駐させるつもりです。コアタイムを13~16時くらいにして打ち合わせなどをその時間内で行えば、女性の能力を有効に活用できると思います。
取材日: 2016年10月28日 ライター: 望月佑香
トリプルEジャパン株式会社
- 代表者名(よみがな): 飯見 裕一郎(いいみ ゆういちろう)
- 設立年月: 2013年8月
- 資本金: 169万円
- 事業内容: ホームページの企画・制作・運営 / システム構築・管理 / イベントの企画・運営 広告・紙媒体の企画・制作 / テレビCM・映像の企画・制作 / アプリ開発など
- 所在地: 〒461-0004 名古屋市東区葵1丁目7番1号 タジマビル2F
- URL: http://www.triple-e.jp/
- お問い合わせ先: 052-325-3648