今だから見習いたいデザイン~映画のお話~
映像とデザインは切っても切り離せない関係です。
けれど、意外なことに「デザイン」の勉強をしてから編集している人は思いのほか現場に少なく感じました。もちろん、デザイナーさんやイラストレーターさんが後から動画に興味を持ち始めるパターンなどもあるのですが、最初の就職先がテレビやCMの制作会社だったエディターさんなどに話を聞くと、現場で必要に駆られて後から学んだタイプの方が多く思えます。
私はデザインの仕事にはついていませんが、編集プロダクションでDTPをやる折、一から勉強しなおしました。その時に使った本が『ノンデザイナーズ・デザインブック』です。Robin Williams という方が、デザイナーではない人向けに書いた本で、編集者や著作者など関係するけれどデザイナーではない人にとっての最初の一歩としてもとても読みやすい本でした。
その後、AEをいじるようになって出会った動画畑の編集さんも、デザインの学び直しをする際にこの本を使っていることに気づきました。こんな風に書き込みながらラフに勉強できるのでおススメです。
今デザインについてきかれたら、この本と、『なるほどデザイン』(筒井 美希)をお勧めします。なるほどデザインも直感的&実例が多く勉強になります。あと最近だと、『けっきょく、よはく』(ingectar-e)もよかったです。ついつい情報をつめてしまいたくなるひとは是非確認してほしい一冊。
……とデザインベースの話をしましたが、「映像」の場合、連続性という特徴もあるので、静止画的なデザインの視点だけでは足りない部分が多いです。個人的にそこを補うのには、映画を見るに勝ることはないと思います。
ただ数見ても意味はないので、どこに着目すべきか……デザイン的な編集という観点で見るにあたっておススメしたいのが、『映画の瞬き―映像編集という仕事』という名著です。『地獄の黙示録』『イングリッシュ・ペイシェント』『ゴースト/ニューヨークの幻』『ゴッドファーザー PARTⅢ』……あげればきりのない名画の編集を手掛けた著者の経験が全部まるっとつまっています。
もう一つおススメしたいのが、『Filmmaker’s Eye -映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方-』という本です。インデペンデントの映画制作者が作った本で、ニューヨーク大の教授でもある著者が、基本の<画角>について語っています。
構図はデザインであり、その意図を知ることはとても重要だと思いました。解説に実際の映画のシーンがあるので、あわせてみるといいと思います。
上手な編集さんに勉強の仕方をきくと「真似ろ」と言われます。真似た作品を作れ、出せというのではなく、正しく丁寧に「分解」出来るかという話であるととらえています。デザインは法則性=ルールであり、「芸術は爆発だ」的なものではない――このとらえ方は多くのデザイナーさんが言うところです。映像編集もある種のルールがあるのだと最近分かってきました。
細部に宿る――細かいことが苦手な私ですが、大事にしなくてはならない「きも」・「丁寧さ」を今一度学び直しています。
あくまで得意なジャンル・自分の軸をベースに、どこまでやれるのか?確認しながら進みたいと本を紹介しながら、今回改めて考えるところ……。
次回は、個人的にお勧めな「映画でデザイン」の話をしようと思います。。