映像2020.07.23

「映画でデザイン」

都内 ときどき自粛延長
映像編集&シナリオ
秘密のチュートリアル!
野辺五月

今回は独断と偏見で選ぶ「映画でデザイン」のお話です。
フィルムっぽくやフィルムライクにという言い方をする人が結構いるのですが、その言葉がさしている質感と実際の映画の質感はだいぶ違います。
映画は種類が本当に多いので一言でまとめられない、というのが本当のところです。逆に言えば、それだけいろいろなデザインパターンを見られるということなのです。
私は広告畑が長いので、最初に映画×デザインといわれて浮かぶのはポスターと予告編です。この辺りはちょっと郊外のシネコンに出れば、何種類もいっぺんに見ることができ、かつすぐ入れ替わるので勉強しやすいです。
またネット上に予告編だけをまとめたサイトもあります(海外サイトですが)ある程度まとまった数を見ると、「あ、このパターンだ」という既視感を抱くデザインがあります。ドアップヒーロー複数人×センターの白(赤)字タイトル・メインキャラ背中×クールロゴ・バディものならば背中合わせ×下方に文字などなど……。また色味も系統があります。
 予告編もこのテイストと合わせて文字をひっぱってきたり、飾りやキャッチを入れたりしていることが多いです。(全く別物の場合もありますが)
 非常に勉強になりますが、そもそも私は映画が好きなので、いくつ見ても苦ではありません。たぶん「勉強」という意味でみるにせよ、好きなものや馴染んでいて長時間・量みて苦しくないものの方をおすすめします。
またこの監督は絶対に外さないという監督のテイストやシリーズの色というのも存在します。例えば、分かりやすい例でいうと、クリストファーノーランの青寄りの色味(SF風)・タランティーノの黄色味(ウェスタン風)など。ポスターやそのほかのものにも多めに反映されてるなぁと毎度眺めています。ヒーローものも会社による傾向はありますし、デザイン部分もパターンがあります。
個人的にお洒落だなぁと、いつか使うかもしれないネタリストに入れておくチラシ・ポスターのデザインというのもたくさんあります。
新しいのも古いのもアレコレです。例えば今見てもトレインスポッティングのポスターはオレンジ×モノクロの応用にききますし、007のOPシルエットはどのシリーズも格好いいですが、私はスカイフォールの青×赤の色味が好きで、いつか使えないか狙っています(笑)。ガイリッチー監督の作品もポスター含めこったものが多いですね。その他、近年ですと、『ジョーカー』や『キングスマン』は言うまでもないのですが、テイスト次第です。広告はあくまで「コンテンツ」「商品」「サービス」が主体なので、いかにテイストにあうか…… 大本のコンセプトに近ければ混ぜられるかなという程度です。
引き出しを多くするのにいろいろなタイプのデザインを見るのは大事だと思いますが、中身とのマリアージュを大事に研究すべしと思っています。
ただ、映画は部屋のセット一つとっても、やはり考えられてデザインされていますので、非常にさまざまなことが参考になります。
いろいろなテイスト・いろいろな国の、監督の作品をみることをおすすめしたいところ。インド映画はだいぶ人気が出てきましたが、北欧のホラーや、イタリアのドラマなどなど「ああ、なるほどな」という共通項を強烈な色としてもつものも少なくありません。
先日亡くなったエンニオ・モリコーネが音楽を提供した『鑑定士と顔のない依頼人』の絵の置き並べ方、『グランドイリュージョン』のポスターの色使いほか……いつかどこかでやってみたいなという表現のストック……自粛あけで映画館の席数は若干減っていますが、再び通ってストックを増やそうと思いながら、今回はここまでにしておきます。
皆さんもぜひ近場の映画館で、気になるデザインをさがしてみてください。

 

例えばこんな風にゲームの画面もデザインの宝庫。最近は映画&ゲームは同じUnrealで作られていたりするので、CG関連に興味がある人ならこちらもチェックしたいところです。

プロフィール
映像編集&シナリオ
野辺五月
学生時代、研究の片手間、ひょんなことからシナリオライター(ゴースト)へ。 HP告知・雑誌掲載時の対応・外注管理などの制作進行?!も兼ね、ほそぼそと仕事をするうちに、潰れる現場。舞う仕事。消える責任者…… 諸々あって、気づけば、編プロ・広告会社・IT関連などを渡り歩くフリーランスと化す。 2015年結婚式場の仕事をきっかけに、映像畑へ。プレミア・AE使い。基本はいつでもシナリオ構成!のひと。趣味は飲み歩き。

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