北海道にクリエイターが活躍できる環境を作りたい!
- 札幌
- 株式会社 エクスデザイン(EX-DESIGN) 代表取締役社長 谷本智之氏
バンド活動で行った音楽配信の取材がきっかけで知った デザイン業界の仕事
学生時代のエピソードを聞かせてください。
夢はCGクリエイターで、大学に入学しCGを学ぼうと期待していましたが、イメージが異なり、「辞めたい」と両親に相談しましたが承諾してもらえず、バンドの道に走るようになりました。バンドの認知度を上げるため、人と違った事をしようとホームページを作り、ホームページ上に音源を載せて音楽配信したことで広告業界の人の目にとまり、取材を受けたりしました。 バンドは、卒業から半年後に解散してしまいましたが、取材を受けたり、人に伝える楽しさを実感した事が、デザイン業界に入る大きなきっかけになりました。
デザイン業界に入って、起業から現在までについて聞かせてください。
この世界に飛び込んだばかりの頃に勤めていた制作プロダクションの社長から、厳しく育てていただきました。業務の幅は広く営業からスチール撮影、レイアウト、CM撮影まで。時には、川の中に入っての撮影も。(笑)ありとあらゆる事をこなすのは、大変ではありましたが、様々な知識と経験を身につける事が出来ました。 その後、フリーに転身し活動していましたが、知人の紹介で、札幌に支社を立ち上げるにあたり支店長を探していた東京の企業に就職しました。そこでは、新卒が、社員の8割を占め、経験者がフォローアップしながら業務をこなしていました。若手が次々辞めていく状況に違和感を持ち、クリエイターが働きやすく長く続けられる会社がないのであれば自分で立ち上げるしかないと考えて、2008年にエクスデザインを設立しました。 しかし、スタートした直後にリーマンショックが起きて、大変な危機に直面しました。リーマンショックの影響で仕事が少ない中でも、なんとかデザイン業で体制を立て直しましたが限界を感じていた2011年にゲームのホームページ制作の依頼を頂き、その仕事を評価して頂いた事が、ゲームやイラスト事業への拡大のきっかけとなり現在に至ります。
イベントや観光大使などキャラクターを使って地方を活性化
主に力を入れている事業を教えてください。
特に、ゲーム関係全般やイベントのイラスト、キャラクターを使ったコミュニケーションのカタチの提案にも力を入れています。企業からの依頼も多々あり、商品のPRキャラクターや特に若い方に注目をしてもらうための企業キャラクター、また街のイベントキャラクターなども手がけています。 また、イベントや観光大使への起用など、キャラクターを使って地方を活性化することを提案できないかと考えています。
キャラクターを作る上で意識していることはありますか。
特にありません。こちらが意識するというよりクライアントのニーズやターゲットによって答えを探っていく作業になります。デザインと同じで絶対的な答えがあるわけではないので、これまでの経験値をもとに手探りでやっているところもあります。 キャラクターを作る上で、難しい点は、目のハイライトの入れ方一つによって印象が違いますし、細部までこだわって気を使って作らないとキャラクターが活きてこない点です。 私自身は、デザインやディレクションについて、勉強はしましたが、ちゃんとしたイラストは描けません。(笑)だからこそ、イラストレーターを尊敬しているところが多くあります。日本のイラストレーターは、非常に優秀な方が揃っていますし、今の若手の方達は、見てきたものがハイクオリティーなので将来的にもレベルがどんどん上がるだろうと期待しています。
会社として組織として世の中に与える影響
会社を立ち上げた当初と今のご自身の考えに変化はありますか。
立ち上げ当初は、会社を経営するというより仲間を集めるというチーム感覚でした。最近やっと会社のためにメディアに出たり、自ら発信する意識が強くなりました。チームから一歩出て、社長業を実感しています。
今後の展望を教えてください。
イラスト以外の事業も拡大していきたいと考えています。 イベントで配るようなノベルティーグッズ制作も製造から販売までトータルで提供ができるようになりました。一部ですが、コスメの事業も展開しています。 たまたま、人の紹介でコスメ商品に出会いましたが、もっとそういった出会いが多くなると良いなと思っています。今後は、下請け的でなく、生みだす側にも変化していきます。
デザインをしている時代から、自然や環境、体にいいもの、例えば、水などを売りたいとずっと思っていました。人にとって、絶対に必要で、みんなが喜びを感じるものに携わりたいと思っていたからです。
御社の強みは、なんですか?
信頼出来る作家がいるところです。ユーザーが喜ぶものしかつくらない、手抜きをしないがモットーです。だからこそ信頼に繋がると思います。
海外から、問い合わせはありますか。
アジア圏が熱く、特に中国、台湾企業に勢いを感じています。最近は、中国からゲーム関連の問い合わせも多いです。すでに、日本市場に参入していて、今年の東京ゲームショーでもその勢いを感じました。
地元、北海道にクリエイターが活躍できる環境を
東京から仕事を受ける事が多いのですか。
基本的には、クライアントは東京の企業です。北海道内からの発注は、ほとんどありません。 また、北海道の若手クリエイターは東京に出て行っても続かず戻ってきてしまうケースが多く見受けられます。 目標としては、東京の仕事をもっと北海道に持ってきて、北海道にいながらレベルの高い仕事をできる環境を作ること。良い環境が生まれることで、北海道のクリエイティブ業界を拡大していければ理想的です。
会社を経営してきた中で苦労した事はなんですか。
人材の育成です。社内外のクリエイターがチームで制作する弊社では、社員だけでなく登録のイラストレーターの方にも、投資していますし、コミュニケーションにも重点を置いています。社会的な経験を積ませ、育てるための時間もかけています。イラストレーターは、描きたいジャンルで仕事を選り好みする傾向が多々あり、その結果仕事がない、ニーズがないということになってしまいがちです。そうならないように、モチベーションを上げたり、支援のためのセミナーを開催したこともあります。実際、選り好みで仕事をしていると絵や仕事の幅が広がらない上、将来的に活躍できないと思います。売れっ子ほど、オーバーワークになるほど、様々な仕事を能動的に取りに行きますし、幅を広げて努力してきた方のほうがクライアントからの信頼も厚く、ずっと仕事が途絶えないものです。
最後にクリエイターを目指す方へメッセージをお願いします。
基礎や下積みの時代を大切にして欲しいです。後から、苦労することになるので、「面倒くさい」「やりたくない」と思う下積みの時代ほど仕事をしていく上で後々大切だと感じました。イラストといってもジャンルが幅広いので、ジャンルを極める一方で、偏らずにいろいろなジャンルを広げてして欲しいと思います。両極端なことなので難しいかもしれないですが、マンガ家を目指して駄目でも、イラストで稼げる可能性もあります。可能性を自分で判断すべきではないし、やりたいことを広げることで道が見えてくるものだと思います。目標に近づく道はいくつもあること。まさに、自分自身がそうだったので。今の学生の方は、卒業後、すぐにこの業界に入れないと夢を断たれて絶望したように考えてしまう方が多いですが、バイトや他の仕事をしながらでも、いくつになっても復帰することは可能です。好きでやり続けていれば何度でもチャンスはあると伝えたいです。
取材日:2015年11月4日 ライター:富澤友里香
株式会社 エクスデザイン(EX-DESIGN)
- 代表者:代表取締役社長 谷本智之
- 設立年月:2008年11月
- 事業内容: イラストレーション事業/デザイン事業/コスメ事業
- 所在地:北海道札幌市中央区南4条西10丁目1005-1 フクヤマビル 3F
- URL:https:www.exdesign.co.jp