グラフィック2014.01.08

美しいデザインよりも 心に残る感動デザインを模索しつづける

仙台
株式会社感動コーポレーション 代表取締役 小野寺豊氏
 
仙台の地に会社を興して24年。地方都市で邁進を続ける企画制作会社感動コーポレーションが目指すのは、人の心に残るデザイン。人を楽しませたいという志から生まれるのは、インパクトのある新鮮なデザインの数々だ。感じて動く仕掛けをつづける代表の小野寺氏にお話を伺った。

人が何かを感じて動く、そんなデザインを創造したい。 「感動」とはCAN DOと書きます。

感動コーポレーションという屋号はインパクトがありますね。

ありがとうございます。クライアントの心を動かし、見た方の心を動かしたいという弊社の理念が込められています。相田みつをさんの『感動とは、感じて動くと書くんだなあ』という詩文から、感じただけでも動かなければ感動しない、共有もできないということに気づかされ、社員が喜びを感じて自ら動ける会社であり、クライアントの繁栄に貢献でき、さらに取引先にも喜んでお付き合いいただける会社にしようと考えました。英語でCAN(できる)とDO(やる)でCANDOコーポレーションにしたものひとつのこだわりです。

創業されたときのことを教えていただけますか?

デザイン事務所や印刷会社に勤めた後、平成元年に独立しました。その当初は実家のある石巻市で個人事務所を設立しましたが、すぐに知人と共同で会社を立ち上げました。その会社が今の感動コーポレーションの礎になっています。一時期は社員が25名ほどいましたが、今はその3分の1以下の7名ほどです。

独立する社員にクライアントを譲るというのは本当ですか?

そうなんです。私にとっては当たり前のことですが、悲しいかな広告業界でタブーですよね。独立する社員がいるとクライアントも売り上げも減るので、新規開拓しなきゃいけないですが、会社のために働いてくれた社員なので、そのくらいしましょう、という感じです。うちの場合、社員のことはいい意味で放任しています。営業は私と他に一人いますが、クライアントとの打ち合わせ、見積書や請求書発行など一連の作業は全てデザイナーに任せています。自分の仕事をいくらと見積もるのか、それで受注できるのか、考えながら基本的なことは全てやってもらいます。若いうちからそれを叩き込んでいるので独立しやすいのかもしれませんね。社員には社内でも独立した立場で仕事をしてもらっています。独立して退社されると会社としては痛手ですが、しょせん私も独立した人間ですからね。社員が独り立ちするときにはやはり応援したい。ここで学んだことを活かしてもらいたいと思うのです。

「感動」の社名に由来する人を動かす仕事とは、具体的にどんなことでしょう?

見た事のないもの、そしてインパクトのあるものでしょうか。私もデザイナー出身ですが、「美しいデザインは求めていない。」と社員に言っています。いいデザインが何なのか、それは人によって違いますからね。いかに印象的なものをつくるか、見た人の心と体を動かせるデザインであるかということを自問自答できる人材を育てたいと思っています。

人材を育成するために学んだ経営学。 理念を明文化することによって生まれた一体感。

小野寺さんの名刺

小野寺さんの名刺

小野寺さんの名刺もインパクトがありますね。

うちの名刺はふつうの名刺ではなくて、綴じのある8p名刺と16p名刺を使っています。珍しいですよね。画像付きで会社概要やこれまでの制作実績などを載せていますので、珍しい名刺の会社として覚えていただくこともあります。単価は高いですが(笑)、社名を覚えていただくために進んでやっていることです。

御社は理念、ビジョン、行動理念などを明文化されていますね。

経営や育成のことなど全く考えず「会社や組織に縛られず楽しくデザインしてみたい。変わったもの面白いものを創造してお客様に楽しんでもらいたい。報酬はそれなりにもらえれば…」と始めた会社ですが、平成9年に組織変更し株式会社化する際に会社の理念が必要だと感じるようになりました。経営の事を勉強しはじめてからですね。全て明文化されているので、以前のように「気合いで」「やる気で」とかの精神論に迷い込まなくなりました(笑)。スタッフにも会社の事業領域を理解した上で能動的に働いてもらっています。

震災後、東北の価値と存在感が変わった。 ブランドマネージャーとして支援していきたいですね。

仙台の事業者にとって震災前後で大きく状況がかわったのではないですか?

そうですね。震災の年にはやはり赤字に転落しました。私の地元でもある石巻のクライアントからのお仕事がなくなったことも理由のひとつでしょう。今、仙台をはじめとした被災地では復興関連の仕事がいくらでもあるような状態が続いています。これから5年10年は変わらないかもしれませんね。広告や印刷、ソフト業界は震災前から下降路線でしたが、震災以後はさらに苦しくなっていますね。

なるほど。これからの東北でどんな取り組みをされますか?

東北で本格的な事業を手がけたいと思っています。表層的なパッケージのブランディングではなく、経営コンサルティングや理念やビジョンなど体系的にとらえたブランドマネジメントのお手伝いができれば。今、東北は震災前とは違った価値や新たな存在感をもつようになっていると思います。対象は商品であったり、組織であったりと多様ですが、東北の会社として初の(社)ブランド・マネージャー認定協会公認ブランドマネージャートレーナーとして東北をサポートさせていただきたいですね。

仙台のクリエイターに対してどんな期待をされていますか?

今のデザイナーは何でも自分で作れます。Macを駆使してね。だからこそ私たちのような地方都市の小さな会社に所属するデザイナーは、チャンレジすることに貪欲であって欲しいと思っています。誰もやったことのないことに挑戦しつづけることで、磨かれていくのは事実ですからね。見た事あるようなデザインではなく、革新的なものにチャレンジして欲しいと思っています。

新しい取り組みをし続ける「挑戦」が 「感動」につながる、と思っています。

現在進行中の新しいプロジェクトについて教えていただけますか?

今動いているのは、高校生向けのフリーペーパーの発行ですね。すでに東海エリア(東京・関西・東海・九州)で進行しているプロジェクトですが、東北エリア管轄の契約を結び、まさに動きはじめているところです。これまで未成年向けのフリーペーパーがなかったのは、お金のない未成年相手にクライアントがつかなかったからですが、今は高校生でもターゲットになるビジネスがありクライアントになる。高校生向けのエンターテイメント記事や高校生読者モデルを掲載するなど誌面構成も彼らの琴線に触れるようなものを模索しているところです。 もうひとつは、名刺をデータ化する商品の扱いを始めました。面倒な名刺管理を一括してデータ化することを承っています。

高校生向けのフリーペーパー

高校生向けのフリーペーパー

名刺管理「Sansan」

名刺管理「Sansan」

 

新しい取り組みの中で先陣をきって動かれているのは、ご子息だとお聞きしましたが。

息子が入社して5年になりますが、いろいろなことにチャレンジさせています。失敗も含めてやってみなければ解らないことがありますからね。息子も他のフタッフと同じように放任です。クライアントにご満足いただく事が私たちの仕事ですので、それが達成できていれば私は何も言いません。会社としても、この場所で、決して大きな会社にするのではなく、小さくても強い会社を目指して少しずつ成長していければと思っています。

株式会社感動コーポレーション

  • 代表者名:小野寺豊(おのでらゆたか)
  • 設立年月:平成元年4月
  • 事業内容:広告媒体・印刷物等の企画編集制作、販促計画、CI計画立案、シンボルマークロゴタイプ制作
  • 所在地:宮城県仙台市青葉区一番町2-2-8 IKIビル5階
  • TEL:022-215-3177
  • FAX:022-215-3188
  • URL:http://www.wecando.co.jp/
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