WEB・モバイル2014.06.25

キャラクター性重視で採用 適役を見極め、信頼し、 人を楽しませる「ものづくり」を追求

名古屋
有限会社キュームグラフィック 代表取締役 井上健一氏
名古屋・大須の繁華街を見下ろすビルの8階にオフィスを構える有限会社キュームグラフィック。 人を満足させることと、ものづくりを楽しむことをモットーに、広告デザインや企画、Webデザインなどを手掛けています。 「社員はキャラで選びました」という大らかな採用方式で、独自の会社運営を図る、代表取締役の井上健一氏にお話を伺いました。

「人を雇う」ということ

井上さんの職歴を教えてください。

美大卒業後、バブルの名残がある中、デザイン会社に就職しました。「マックがある」というのが、僕の就職したい会社の条件でした。当時は、印刷も全部アナログでやっているような時代だから、そんな会社はほとんどなかったんです。

希望通りの会社に就職できたわけですね。

はい。そこの社長は先見の目があって、何をやるにも早かったと思います。僕は、通常のアナログの仕事に加えて、海外版でしたがマックも触らせてもらえたんです。覚える機会をいただけたのがありがたい。通常のルーチンの仕事に、1個新しいことを加えていくという、気持ちに余裕がある会社に入れたのがすごく良かったですね。

フリーランスのデザイナーとして独立した経緯は?

30歳までに独立しようと思っていたんです。それを目標に、最初に制作会社に入って、印刷会社、広告代理店、そして、30歳で独立したんです。これでサラリーマン人生ともおさらばだと思っていました(笑)。 当初は仕事にアテもなく、手始めに営業の電話をしたんです。電話帳見て、上から(笑)。アポがとれて、10社回ったら、7社から依頼がきたんですよ。だいぶナマイキだったと思うんですけどね。とりあえず「なんでもできます」と言っていましたね。

キュームグラフィックを支えるメンバーの皆さん

キュームグラフィックを支えるメンバーの皆さん

今のような社員を抱える会社になるとは?

まったく思ってなかったですね。3年フリーをやりまして、一人だったんです。社員採用第一号は、お客様の息子さんでした。知り合いもいない中、東京からやって来て、コピーライターを目指していたのに、向いていないからって僕がデザインをやらせたんですね(笑)。その子の人生から何から、全部変えてっちゃったんです。それが本人的には楽しくなったみたいで、スキルが上がって、むちゃくちゃ成長してきたんですよ。これ、おもしろいなと思って。そこで、一人もう一人と採用していったんです。

社員ひとり一人への思いも強くなりますね。

実はうち、立ち上げ当時に採用したメンバーは、全員未経験だったんです。それも異業種。ひきこもりのオタクとか、海外放浪してたヤツとか。全部キャラクターで採用をきめちゃった(笑)。人って、生きる上で“役”を演じていかなきゃいけない。みんなそれぞれ“役”を持っているはずで、それに気づかせてあげるのも、組織の上の人の役割かなと。まとめるのは大変ですよ。仕事中も私服だったり、社会のルールから逸脱しているじゃないですか。でも、僕らの職種ってそもそもそういうポジションなんですよ。社会人として基本的なことは入ってから身に付けていけばいいし。適当で良かったりとか、軽くなきゃいけないんですよね。

「自分が楽しむ」ことから「人を楽しませること」へ

井上さんの「ものづくり」の原点は?

僕の出身は、薪でお風呂を焚くような田舎でした。当時はそれがすごい嫌で、かっこいいことに魅かれたんですね。映画とかファッションとか音楽への興味を持ちながら、絵を描くことも好きでした。小学生の頃、6人くらいでマンガを作っていたんですが、メンバーに建築士の息子がいて、そこの事務所にコピー機があるから夜中に忍び込むんです。自分たちの分だけコソコソと刷っていましたね。続けるうちに、製本に満足がいかなくなって、最終的には地元の印刷会社にかけあって製本をお願いしたんです。

急務・求夢(キューム)珈琲

「人と会って、どうでもいい話を続けているのが好き」と語る井上代表。
そこから生まれた営業ツールも数多い。
写真は、そのひとつであるノベルティの
「急務・求夢(キューム)珈琲」

楽しむ気持ちが原点ですね。

そうですね。基本は自分たちが楽しむ。ずっとやっていると、しんどい時もあるんですよ。でも、継続していくと止まらなくなったり、人と違うことをやっていることに優越感があったりとかね。続けるうちに、進路相談で「漫画家になりたいんです」と先生に言ったら、美大のデザイン科をすすめてくれました。

今の仕事にも通じているのでしょうか。

最初は自分が楽しむために動いていたんですが、人を楽しませることを広告で学ばせてもらいました。デザインは、人が求めていることを提示するものだったりするんで、変に自分を出さなくてもいい。デザイナーには、自意識よりも、なにがキレイかっていう美意識を持っていてもらいたいです。

求ム!芸人さん!

今後はさらに事業を拡大される予定ですか?

今日言ってたことが、明日変わっちゃう可能性がありますからねぇ(笑)。でも、今、おもしろいと思っているのは、フィリピンにあるデザイン会社と提携して仕事を進めていることですね。日本の下請けとしてではなくて、得意分野でコラボレーションできればなと。いずれ、海外へも大きく展開する可能性もあるかもしれない。それを予想しながらやれるといいかな。この話をすると、海外に行きたがるスタッフも多いんですよ。

今後、希望される人材を教えてください。

「芸人さん」です。芸人さんって、「なんでもできますよ! 俺、得意っすよ!」って言うんですって。出来なくても出来るって言って前に行かないとチャンスにならないから。「やります!やります!」って言えるような、そういうヤツが欲しい! 走りながらものを考える発想ですね。年齢? う~ん、おもしろければいいですよ(笑)。

取材日:2014年6月

有限会社キュームグラフィック

  • 代表者:井上 健一
  • 設立:2000年3月
  • 法人改組:2004年9月
  • 事業内容:広告・デザイン全般の企画・制作、Web企画・制作、デザインコンサルティング、ブランディング構築など
  • 所在地:愛知県名古屋市中区大須三丁目2番15号 栄南KTビル8階
  • TEL:052-242-9090
  • FAX:052-242-9092
  • URL:http://www.kyu-mu.co.jp/
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