当初の目標は 「宮城県内で面白いデザインをする10社に入ること」

まずは、御社の設立のきっかけを教えていただけますか。

私が勤めていた会社が整理されることになったんです。その時の会社の役員から声をかけられ、私が中心となっていたデザイン部門を新会社として立ち上げることになりました。それが『エクスマインド』の始まりです。当時はまだ20代半ばでしたので、周囲からは心配もされましたが、「よし、やろう」と心に決めました。

今野さんご自身はグラフィックデザイナーですね。

ええ、そうです。前職ではDTPデザイナーとして仕事をしていました。『エクスマインド』を立ち上げてからもデザイナーやディレクターとして現場で仕事をしていましたが、スタッフが増えたこともあり、現在は営業と経営に専念させてもらっています。

御社の事業内容を教えていただけますか。

弊社はデザイン制作会社として、デザインの「価値」を追求し、共感されるデザインとは何かを考え続けています。WEBサイトやスマートフォンサイトの制作、Flashやリッチコンテンツの制作、そしてDTP全般からイラスト、ロゴマークの制作などを行っています。現在は、ゲーム会社や地元テレビ局、国産車メーカーの販促デザインのお仕事などもさせていただいています。 私たちが大事にしているのは、製品やサービスに説得力を持たせるため、より効果的に伝わるデザインを提案すること。制作会社として客観的なボジションニングを意識するために「県内で面白いデザインをする会社、10社以内に認識してもらうこと」を目標にしています。

弊社のスタッフは 他の会社の3倍のスピートで成長できる

御社のスタッフは若手が多いですね。現在のスタッフ数と年齢を教えていただけますか。

現在は9名です。私ともう1人の役員2名を除いた7名のスタッフがデザイナーとして勤務しています。女性が多く、新卒採用を積極的に行っていますので、専門学校卒の若いデザイナーも多いです。年齢の平均は24～5歳でしょうか。

小規模の制作会社は慢性的にスタッフ不足で、即戦力となる経験者を優遇することが多いと思いますが、未経験の新卒採用を積極的に行っているというのは珍しいですね。

ええ、そうかもしれません。人材育成に力を入れているんです。新卒を採用するのは、純粋でクセのついていない人材をのびのびと成長させ、彼らの3年後に期待しているからです。採用は、特に面談を重視し、スタッフ全員の意見を聞いて行っています。一緒に仕事をするのはデザイナーの彼らですから、同じ仕事をする人間としての相性も無視できません。入社後は、具体的に目標を立ててもらうことからはじめます。どんなデザイナーになりたいのか、何の為に仕事をするのか、そういった本質的な部分をスタッフ全員で共有して、一定期間の目標やその成果なども全員で共有します。

そうですか。育成には、お金も時間もかかるので、簡単ではないと思いますが。

ええ、簡単ではありませんね。細かく目標を設定させて育てることは、すでにその業務に慣れた人間が行うよりも何倍も時間がかかります。ですが、先輩デザイナーにも育成マネジメントを学んでもらうことは、長い目でみたときに組織にとってのメリットが大きい。制作チームの中でしっかりと育成ができているために、比較的離職が少ないという結果に結びついていると思います。

人間の心理をふまえた デザイン論を提案したい

現在、力をいれているプロジェクトを教えていただけますか。

デザイン会社や広告代理店に向けて、人の心理を分析してデザインをすることをアウトライン化して提案したいと思っています。観る人の心に残るデザインの仕組みを構造化し、何をもって「良いデザイン」とされているのか、右脳的な理解を左脳的な理解に置き換えられるよう、心理学的にその理由が理解しやすいデザイン論のテキストを制作していきたいです。 これを使えば新人の育成にも効果があると見込んでいます。

そうですか。心理学に基づくデザイン論というのは、画期的でとても興味があります。

ありがとうございます。私と一緒にこの会社を立ち上げたもう1人の代表が心理学者であることから、デザインと心理学を紐づけて構造化できるのは、弊社独自のノウハウだと思っています。

プロのクオリティに自信を持ち 新規開拓で販路を拡大していく

御社の今後の目標を教えていただけますか。

まずは、「プロの集団」という自覚をさらに強くし、デザインのスキルをさらに高めていきます。デザイナーがどんな仕事がしたいのかを明確にし、彼らのモチベーションを上げる仕事、夢の持てる仕事を実現させるのが私の仕事だと思っています。弊社の仕事はコンペからご縁をいただくことがほとんどです。コンペで他社との比較される中であっても、自信を持って提案でき、私たちにしかできないデザインを追求していきます。

すべてのクライアントがいつも新規開拓というのは素晴らしいですね。

ありがとうございます。仕事の中でも常に目的をはっきりさせることが大事です。デザイナーに目的意識を持たせ、挑戦し、達成感を得られるような仕事を積み重ねる事が、会社としての底力を高めることになると考えています。

取材日：2014年12月10日