漢字廃止論
日本語は漢字、平仮名、そしてカタカナで成り立っています。 まず中国から渡ってきた文字をベースに漢字ができ、その後平仮名、カタカナが誕生しました。 そんな日本の文字文化ですが、「漢字廃止論」が度々発生していたのはご存知でしょうか。 今回は「漢字廃止論」と「日本新字」についてご紹介します。
欧米化を推し進める明治日本
文明開化を習った人は多いかと思いますが、明治時代は大きく変わろうとする時代でした。諸外国との交流が増える中で、日本の欧米化は特に顕著なものでした。 その中で、日本語の漢字を廃止して国語教育に英語を取り入れるという意見まで噴出しました。
日本語をもっとシンプルにするべきという考え方がベースになっていますが、廃止までする必要があるのでしょうか…。中には日本語は西洋に比べて劣っているという考えもあったそうです。 日本の文字に対する改革は実際に行われており、明治33年には発声した時に、伸ばす音は「ー」(音引き)を使って記載するようにお達しが出ました。 ・びょういん→びょーいん ・しょうがっこう→しょーがっこう なんだか締まりが無いですね。当時の国民からの評判も悪く8年で廃止されたそうです。 8年で終わったと捉えるか、8年も続いたと捉えるかは其々に委ねる事にします。
敗戦後も続く日本語改革
敗戦後も国字改革運動は続き、漢字に変わる新しい文字の提案がありました。 24文字のラテン・アルファベットをベースにした「日本新字」です。
ベースになる24字に四種類の横棒を付けて240字の正字と609字の変音を作りました。 漢字を廃止してアルファベットのようなシンプルな文字にするのかと思いきや、別のややこしい文字が出来たわけです。
日本新字という名称からも、「変わらなくては」「これまでにない日本を」という感覚が頭でっかちになっていたのかなと思います。 一方で、昭和の時代に入ってから「新しい文字を創り出す」という感性はとてもクリエイティブだと感じました。 参考文献 AB +(アルファベット・モア)/松田行正著