下校時の危険箇所で警告音を鳴らすことで、 約3人に1人の飛び出し防止を実現。10月に増える“魔の7歳”の事故削減のため、イーデザイン損保が見守りデバイスを金沢大学と共同開発
イーデザイン損害保険株式会社(取締役社長 桑原 茂雄)は、通学路の危険箇所マップ「もしかもマップ」の取り組みの一環として、金沢大学 融合研究域融合科学系 森崎裕磨 助教と共同で『おまもりもし子実証実験』を実施しました。
10月は子供の交通事故、特に7歳の事故が多くなると言われています。(※1)その原因は夏休みを明けて1ヶ月たった児童の気の緩みや日没時間の早まりが原因である可能性が高いと金沢大学森崎助教は言及しています。
※1:警察庁「歩行中児童の交通事故の特徴等について」
参照( https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bunseki/kodomo/310328hokouchujidou.pdf )
イーデザイン損保は事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを共創することを目指しているという背景から、魔の7歳といわれる小学1年生の通学中の自動車事故の多さに着目し、事故削減を目指すサービス「もしかもマップ」を2022年4月より提供開始しています。さらに今回、10月に「魔の7歳」の事故が増えるという現象に対してアプローチすべく、子どもの飛び出しを抑制するような小型の見守りデバイス『おまもりもし子』を金沢大学と共同開発しました。その『おまもりもし子』の実証実験を、中野区立江原小学校1年生を対象に前半・後半の2回に分けて実施しました。
2023年9月7日(木)~9月20日(水)に実施した約30名が対象の実証実験前半では、子どもが駆け出した瞬間にデバイスから音を鳴らすことにより、児童の62.5%の飛び出し行動を抑制。
そして、9月25日(月) ~10月6日(金)の実証実験後半では、別の約30名を対象にGPS連動で事前に設定した危険エリアに入った場合に音で注意喚起を行い、事故防止への効果を検証。児童の約3人に1人以上はアラート音を聞くと安全のためにスピードを落とし、飛び出しを防ぐことができるという結果が出ました。
【 おまもりもし子実証実験 ・後半 結果サマリ】
■危険区域に入った際に、チャイム音+「まわりをよく見て歩こう」という音を流すことで、児童の飛び出し行動を防止できた。
■デバイスの音あり・なし期間でデータを比較すると、約3人に1人以上の飛び出し回数が減少。
■デバイスのアラートで児童から「気をつけて歩かなくちゃと思えた」などの声も。
■飛び出し防止には、親子で一緒に歩いて危険エリアを確認・意識づけさせるコミュニケーションも重要
<実証実験の概要>
■タイトル: おまもりもし子実証実験
■開催日程:前半:2023年9月7日(木)~9月20日(水)/後半:2023年9月25日(月)~10月6日(金)
■開催場所:中野区立江原小学校の通学路及び周辺路上
■参加者:中野区立江原小学校1年生 約60人(前半/後半で約30人ずつ実施)
■実施概要:
小学生に見守りデバイス「おまもりもし子」を携帯してもらい、音の刺激によって飛び出しが抑制されるかを検証しました。前半では加速度で児童が駆け出す瞬間を検知し、危険がある場合に「プップー(車のクラクション音)+止まって」という音を鳴らして、飛び出しの抑制効果を確認。後半はGPSとの連動により、事故発生のリスクがある特定エリアに入った際に、チャイム音と「まわりをよく見て歩こう」という音声を鳴らして、効果を実験しました。
<実証実験 前半結果>
■ プップー(車のクラクション音)+止まって!」というアラートで、児童の飛び出し行動に抑制効果が。デバイスの音あり・なし期間を比較すると、 62.5%の児童に飛び出し抑制効果があったことが判明。
音があり・なし期間の駆け出し回数をそれぞれ調べたところ、62.5%の児童が音ありの期間に駆け出し回数が減り、飛び出し行動の抑制へ効果があったと確認できました。
■児童の危険行動が特に多かったエリアは「交差点付近で信号がない道」。
交差点付近で信号のないような危険度が高い道ほど児童の駆け出し行動が多く、事故リスクが高いことが判明しました。交差点付近で信号がない道は、児童自らが危険行動を起こさない習慣づけや意識をしないと事故が起きかねないため、特に注意が必要です。
■デバイスのアラートで児童や保護者から「走る回数が減った」などの声も。
今回実際にデバイスを使った児童や保護者からは、「歩く時に気をつけるようになった」「音を鳴らさないように歩きたいと思い、走る回数が減った」という声があり、このデバイスが児童の” 飛び出し“という危険行動を減らす意識獲得に貢献したと思われます。
<実証実験 後半結果>
小学生約30人に小型デバイス「おまもりもし子」を携帯してもらって加速度検知を行い、音が鳴る前後の駆け出し回数の変化を調査。マップ上で事前に設定した交差点付近の危険エリアに入った際に、音を鳴らさない期間とチャイム音+「まわりをよく見て歩こう」という音声を鳴らす期間を3日ずつ設けて比較し、集計結果から下記のことが分かりました。
■ デバイスのアラートにより、約3人に1人以上の飛び出しを防止。
危険エリアに入った際のアラート音があり・なし期間で、同一地点での加速行動をそれぞれ調べ比較したところ、約3人に1人以上の児童は音を聞いて、飛び出さなくなったことが確認できました(※p1グラフ参照)。また、効果があった児童を対象に、音あり・なしの加速回数を比較すると、70%の減少があったことが確認できています。
このことから、チャイムのような音で気を引き、「まわりをよく見て歩こう」といった具体的な行動を伝えることが気づきとなり、飛び出しを減らす効果が期待できます。
■ 児童たちは「気をつけて歩かなくちゃ」と安全意識が向上。交差点など飛び出し危険エリアに注意する姿勢も。
実際にデバイスを使った児童からは、「おまもりもし子が『まわりをよく見て歩こう』と言ってくれたおかげで、気をつけなくちゃと思えた 」という声が。交差点など、危険エリアに気づきを与える音声が、児童の” 飛び出し“という危険行動を減らす意識につながりました。
<金沢大学 融合研究域融合科学系 森崎裕磨 助教コメント>
昨年イーデザイン損保さんと一緒に「魔の7歳」の事故を減らすという目的のもと「もしかもマップ」をサービス開始しました。親子で通学路の危険を確かめ合う機能を通して、子どもの危機意識や危険に対する想像力を育てることを狙いとしていましたが、 7歳の主な事故原因が飛び出しであるというデータも見直したうえで、子どもの本能的な行動は想像力だけでは制御できていない可能性があると議論になりました。そこで「飛び出しの抑制」といったアプローチを検討し、「おまもりもし子」を開発。
今回の実証実験では(1)駆け出しを感知したときにアラートを鳴らすことで飛び出しが防げるか (2)事前に設定した交差点付近の危険エリアを通った際注意喚起のアラートを鳴らすことで飛び出しが防げるかの2つの観点から検証し、いずれも一定の効果があることを認めました。
また子どもたちの危険行動が特に多かったエリアは交差点付近で信号がない道だと再確認できました。交差点付近だけではなく、住宅街に多い碁盤の目をした形の道路や道幅が狭い道路も今回の実証実験付近のエリアでは危険が多いこともわかりました。こういった道は突然車が出てくることがあるので注意が必要です。
地域によって道路の特性は違います。だからこそ通学路のどこがなぜ危険なのか、親子間でコミュニケーションを取ることが大切です。その際「もしかもマップ」を使って、親子で通学路など家の周りの道を歩き、子どもの意識啓発ができると良いかと思います。
子どもの走る速度/止まってくれる音は個人差があると考えております。したがって、今後は音が鳴る加速度の閾値を自由に変更できたり、保護者・学校の先生の音声を登録できるようにするなど、学術研究の視点からも開発に携わっていきたいと考えております。
森崎裕磨
所属:金沢大学 融合研究域 融合科学系
職位:助教
学位:博士(工学)
専門:土木計画学
実証実験の狙い/今後の展望
イーデザイン損保では、事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを共創することを目指しています。なかでも子どもの交通事故発生防止に貢献するにあたり、 「魔の7歳」と呼ばれる、歩行中の交通事故死傷者数において7歳児が突出して多い状況(※2)に着目。通学中の自動車事故を削減するプロジェクト「もしかもマップ」を、2022年4月より開始いたしました。「もしかもマップ」は、通学路を親子で歩いて確認し、危ないと感じた箇所をスマートフォンなどで簡単に登録できるだけでなく、全国の自治体や小学校と連携することで通学路の危険箇所の見える化を目指しています。
「もしかもマップ」で子どもの危険に対する日常的な意識向上を促進しつつ、事故の原因として最も多い衝動的な「飛び出し」にも対策を講じるべきと考え、今回「おまもりもし子」を開発。飛び出しに関する事故の原因や解決策を、実証実験を通して解明することをねらいました。
児童の交通安全意識向上を強く願い、同社の掲げるミッションへ共感していただいた中野区立江原小学校にご協力いただき、今回の実証実験が実現しました。
今後は来年度以降の「おまもりもし子」実用化に向けて、小型センサーを開発するなど機能改善を行いながら、飛び出しの多い箇所のデータを「もしかもマップ」に反映させたり、 「もしかもマップ」でユーザーが登録した危険箇所を「おまもりもし子」でアラートするなど、サービスを相互活用し、子どもの事故削減を推進してまいります。
また、当社の自動車保険「&e(アンディー)」を通し、運転者にも飛び出しに関するデータを提供して危険意識を高め、歩行者・車の両側面から事故を減らしていくことを目指します。
※2:公益財団法人 交通事故分析センター「交通事故統計年報 令和2年」参照 https://www.itarda.or.jp/
『おまもりもし子』概要
『おまもりもし子』は、通学時のランドセルに付けられるサイズの小型デバイスです。端末にインストールされた 「おまもりもし子」アプリを立ち上げると、加速度から飛び出しを検知した際にアラートが発生し、「プップー(車のクラクション音)+止まって」という音声で危険を知らせます。またGPS連動により、事前に設定した危険エリアに子どもが入った際はアラートを出し、注意喚起を行うことも可能です。
アラートが鳴った回数はアプリ上で確認でき、保護者や先生との振り返りにも活用できます。
「もしかもマップ」/「もしかもプロジェクト」について
もしかもマップでは身近にある危険な場所を見つけて、ユニークなキャラクター「もし子」でマップにピンを立てることができます。他の人のピンに対しても反応ができ、みんなの「声」がマップに集まっていくことで気がつかなかった危険な場所がマップに見えるようになっていきます。
「安全てんけん」機能では家の周りや通学路にある危険な場所を親子で実際に歩いて、大人と子どもそれぞれの視点でピンを立てることができ、親子でコミュニケーションをとりながら危険な場所を探すことで交通安全の意識向上に役立てます。
どういった場所が危ないかなど、ピンを立てる上での重要な視点を親子で学ぶことができる「ドリル」機能もお楽しみいただけます。
サービス開始より多くの方にご利用いただき、2023年10月17日現在、マップ上には58,540ピンが立っております。
もしかもマップリンク:https://www.sdw.e-design.net/moshikamo/
またもしかもマップを活用して実施する「もしかも授業」や、7歳のお子さんを持つ親御さんと実施した
「もしかも会議」など様々な方向から魔の7歳を減らす取り組みを実施しています。
もしかもプロジェクトリンク:https://www.sdw.e-design.net/moshikamo/project/
イーデザイン損害保険株式会社/事故のない世界を目指す自動車保険「&e」について
当社は、東京海上グループのダイレクト損保として「事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを、お客さまと共創する」をミッションに掲げ、事故削減につながるさまざまな取り組みを展開しています。
当社の展開する自動車保険「&e(アンディー)」では、車載のIoTセンサーとスマホアプリでお客さまの運転データを分析し、安全運転をサポートする仕組みや、集まったデータを活用し、&eのお客さまや自治体、企業と共創し、世の中から事故そのものをなくす取り組みを行っています。
https://www.e-design.net/ande/
共創事例①&eのデータを活用し、事故のない社会を共創するプロジェクト「Safe Drive With」
&eのお客さまの運転データを軸として、街や行政のデータ、企業のデータなどを組み合わせて事故のない社会をつくる取り組みです。今回実証実験を行った「もしかもプロジェクト」や、スマートな運転を広めて事故をなくす「Smart Drivers Project」をはじめ、様々なプロジェクトが事故のない社会の実現に向けた分析や研究に取り組んでいます。
https://www.e-design.net/ande/safeworld/safedrivewith/
共創事例②お客さまの安全運転が社会に還元される寄付プログラム「+まち(ぷらまち)」
&eのお客さまの事故率に応じて寄付金が上乗せされ、安全で快適な交通環境づくりに還元される仕組みです。2021年度の公募では大阪府枚方市の高校生が発案した「信号がない横断歩道」の一時停止を啓発する活動や、静岡県磐田市の学生向け自転車のヒヤリハットVR動画制作に対して寄付を行いました。
https://www.e-design.net/ande/safeworld/puramachi/
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