世界最大級のデジタルコンテンツカンパニーゲッティイメージズが、生成 AI に関する消費者調査結果を公表
世界最大級のデジタルコンテンツカンパニーGetty Imagesは「生成 AI」に関する VisualGPS の調査結果(26 カ国、7500 人以上が対象)を発表した。フェイクニュースや加工された画像、AIによって生成されたコンテンツが急増する中、何が本当で何が嘘なのかを見分けることは、個人にとって困難になっている。今回は、消費者が「AI」に対して今、何を感じているのかを表したVisualGPSの調査結果をご紹介しながら、企業やブランドのビジュアル担当者が、生成AIを活用する際にどういった部分を意識するべきなのかについて、ゲッティイメージズのクリエイティブ専門チームCreative Insights マネージャー 遠藤由理が解説していく。
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■本物と AI 生成画像、6 割が「見分けつかない」。9 割が「AI 生成画像かどうか知りたい」
AI が生成した画像が出回るようになり、本物の画像と AI が生成した画像を見分けることに消費者は不安を感じるようになっている。そのため、消費者にとって「画像の透明性」は最も重要な関心事となっている。VisualGPS の調査結果によると 6 割の消費者が「本物の画像と、操作や加工が施された画像との違いを簡単に見分けることができない」と回答していて、生成 AI の技術が本物に近いものあると認識していることがわかった。その一方で、世界でも日本でも、消費者の 9 割近くが、「画像が AI によって生成されたものであるかどうかを知りたい」と回答しており、透明性に対する要求が高まっていることも明らかになった。
生成 AI 画像に対する VisualGPS の調査結果(抜粋)
■消費者の中で高まる「テクノロジー依存」への不安感
このように、「不透明さ」が顕著に見られるような生成 AI 技術を含む、未来のテクノロジーへの依存が高まる中、VisualGPS の調査結果によると、グローバルの消費者の半数近くが、世界が将来テクノロジーにどれだけ大きく依存するかについても不安を感じている事が読み取れる。さらに日本の消費者を見てみると、5 割が「テクノロジーの進化に圧倒されている」ことがわかっており、特に「AI」については、多数が「AI を利用しなければ社会についていけなくなる」と恐れている事が分かる。一方で、このような不安感にもかかわらず、消費者は、テクノロジーは自分たちの生活と幸福全般を豊かにする可能性を秘めているという信念を持ち続けていることも分かった。
■AI 技術活用による「生産性向上に期待」
AI 技術の大きな利点として「生産性の向上を約束してくれる」と期待している割合は、グローバルの調査では 82%、日本の調査では66%という結果が出ており、生成 AI に対する前向きな姿勢が現れていることもわかった。特に若い頃からテクノロジーに触れているZ 世代は、AI 技術に関して楽観的でポジティブです。生活の様々な側面を改善する可能性に期待している。
■生成 AI を活用したブランドマーケティングで気をつけるべきポイントは?
AI技術を含めた様々なテクノロジーへの不安と期待が交錯する消費者心理を理解いただけたでしょうか。ではここからは実際に生成AI画像をブランドマーケティングにどう活用するのが良いのかそのヒントをお伝えしたいと思います。まずAIが生成した画像を活用するには、被写体や業界の背景を熟慮する必要があります。VisualGPSの調査によると、AIは非生物の被写体、例えば建築物や風景の描写に優れており、これらはAI生成コンテンツに適した被写体と言えます。しかし、人物や動物に関しては、AIの関与よりも信頼性がより重要視される傾向があります。特に、医療・製薬、金融サービス、コンシューマー・プロダクツなどの特定の業界では、消費者からの潜在的な反感を避けるために、慎重なアプローチが求められます。また画像生成 AI ツールは、マーケティングへの応用にとどまらず、文字で伝えるのが難しい複雑な概念や抽象的な概念をビジュアル化したり、完全に架空のものを表現したりするための貴重なアセットとしても役立ちます。すなわり、複雑なものをより実用的なものにしてくれるのです。先述したように、AI 技術に関する世代間の理解や関心の違いも明らかになりました。企業やブランドは、ターゲット世代にあったアプローチも重要でしょう。例えば Z 世代の顧客とつながるためには、AI の可能性を最大限に可視化する必要がありながら、信憑性や、誤った情報を広めるような AI の社会的影響についても、より強く意識した方が良いでしょう。新しいテクノロジーが勢いを増し続ける中、企業やブランドは、日常生活において個人のウェルビーイングをサポートし導くためにテクノロジーがどのように利用できるかを可視化することで、自社の製品やサービスによって顧客に無理をさせることなく力を与えることが重要になるでしょう。さらに 最新のテクノロジーに関してビジュアル化する際のヒントになり得る方法を 2 点紹介します。
1 「AI」をビジュアル化する
「AI」をビジュアルとして表現する際には、これらのツールが最終的には人間のコントロール下にあり、社会がその目的や用途を決定する主体性を持つという考えを伝えることが不可欠です。これは、実際には AI アプリやデジタルツールを利用する個々人がどんな画像や映像を選択するかによって変わってきます。あえて、比喩的な表現で人間やアナログな道具を登場させ、AI 技術における人間の主体性を象徴することも有効的でしょう。
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2 カラー・パレット・シフト
2023 年、テクノロジーに関連するビジュアルのカラーパレットに大きな変化が起きています。従来は、映画「マトリックス」で描かれるような、ミステリアスで不確実性を表現する暗い色調が採用されていましたが、現在の一般的なトレンドは、より明るい第三のカラーパレットにシフトしています。マゼンタ、ティール、ライム、バイオレット、イエローオレンジなど鮮やかな色調で、「Web3」の影響を受けた技術進歩の新たな段階を示すものでしょう。 この変化は、不確実性が続くとはいえ、私たちの生活における AI の将来の役割について楽観的でポジティブであることを意味しています。
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今日、消費者はますます本物志向を強めており、レタッチされていないビジュアルが好まれるようになっています。AI が生成するコンテンツには利点もありますが、いつ、どこで活用するかは慎重に検討する必要があります。このアプローチは、本物の表現に対する消費者の期待に確実に沿うものであり、信憑性が高く評価される時代におけるブランドイメージの強化に貢献するでしょう。
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