声かけデバイスで62.5%の児童の飛び出し行動を抑制!イーデザイン損保が「事故のない世界」実現に向け金沢大学と共同研究
イーデザイン損害保険株式会社は、通学路の危険箇所マップ「もしかもマップ」の取り組みの一環として、金沢大学 融合研究域融合科学系 森崎裕磨 助教と共同で『おまもりもし子実証実験』を実施しました。
イーデザイン損保は、事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを共創することを目指しています。その取り組みの一環として、通学中の自動車事故を削減する「もしかもマップ」を2022年4月より開始しました。さらなるアプローチとして、ランドセルに付けられ、飛び出しを抑制するような小型のアラートデバイス『おまもりもし子』を開発。同社のミッションの一助になると考え、『おまもりもし子』の実証実験を行いました。
子どもの交通事故の増える10月(※1)に先駆け、秋の交通安全週間を前にした2023年9月7日(木)~9月20日(水)に実施した実証実験では、中野区立江原小学校1年生 約30名を対象に、児童が駆け出す瞬間を加速度から検知し、音によるアラートで駆け出しを抑制できるかを検証。その結果、デバイスからアラートを鳴らすと児童の62.5%の駆け出し回数に影響があったことが分かり、飛び出し行動の抑制が確認できています。9月25日(月)以降は、別の約30名を対象にGPS連動で事前に設定した危険エリアに入った場合に音で注意喚起を行い、事故防止への効果を検証しています。
【 おまもりもし子実証実験 結果サマリ】
■ プップー(車のクラクション音)+止まって!」というアラートが流れることで児童の飛び出し行動に
抑制効果があったことが明らかに。
■デバイスの音あり・なし期間を比較すると、 62.5%の児童に飛び出し抑制効果があったことが判明。
■児童の危険行動が特に多かったエリア:交差点付近で信号がない道。
■デバイスのアラートで児童や保護者から「走る回数が減った」などの声も。
実証実験の概要
■タイトル: おまもりもし子実証実験
■開催日程:前半:2023年9月7日(木)~9月20日(水)/後半:2023年9月25日(月)~10月6日(金)
■開催場所:中野区立江原小学校の通学路及び周辺路上
■参加者:中野区立江原小学校1年生 約60人(前半/後半で約30人ずつ実施)
■実施概要:
小学生に小型デバイス「おまもりもし子」を携帯してもらい、音の刺激によって飛び出しが抑制されるかを検証しました。前半では加速度で児童が駆け出す瞬間を検知し、危険がある場合に「プップー(車のクラクション音)+止まって」という音を鳴らして、飛び出しの抑制効果を確認。後半はGPSとの連動により、事故発生のリスクがある特定エリアに入った際に音を鳴らして、効果を実験しました。
実証実験結果
小学生約30人に小型デバイス「おまもりもし子」を携帯してもらって加速度検知を行い、児童の駆け出し行動の回数や発生場所、音が鳴った後の速度変化を調査。そのなかで駆け出し行動があった児童を対象に、音を鳴らさない期間と、「プップー(車のクラクション音)+止まって」という音を鳴らす期間を3日ずつ設けて比較し、集計結果から下記のことが分かりました。
■ デバイスの音あり・なし期間を比較すると、 62.5%の児童に飛び出し抑制効果があったことが明らかに
音があり・なし期間の駆け出し回数をそれぞれ調べたところ、62.5%の児童が音ありの期間に駆け出し回数が減ったことが判明しました。これにより飛び出し行動の抑制にも効果があったと確認できました。
■ 児童の危険挙動が特に多かったエリアは交差点付近で信号がない道
交差点付近で信号のないような危険度が高い道ほど児童の駆け出し行動が多く、事故リスクが高いことが判明しました。交差点付近で信号がない道は、児童自らが危険行動を起こさない習慣づけや意識をしないと事故が起きかねないため、特に注意が必要です。
■ デバイスのアラートで「走る回数が減った」などの声。児童の「飛び出し」への意識に変化も。
今回実際にデバイスを使った児童や保護者からは、「歩く時気をつけるようになった」「音を鳴らさないように歩きたいと思い、走る回数が減った」という声があり、このデバイスが児童の” 飛び出し“という危険行動を減らす意識獲得に貢献したと思われます。
実証実験の狙い/今後の展望
イーデザイン損保では、事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを共創することを目指しています。なかでも子どもの交通事故発生防止に貢献するにあたり、 「魔の7歳」と呼ばれる、歩行中の交通事故死傷者数において7歳児が突出して多い状況に着目。通学中の自動車事故を削減するプロジェクト「もしかもマップ」を、2022年4月より開始いたしました。「もしかもマップ」は、通学路を親子で歩いて確認し、危ないと感じた箇所をスマートフォンなどで簡単に登録できるだけでなく、全国の自治体や小学校と連携することで通学路の危険箇所の見える化を目指しています。
「もしかもマップ」で子どもの危険に対する日常的な意識向上を促進しつつ、事故の原因として最も多い衝動的な「飛び出し」にも対策を講じるべきと考え、今回「おまもりもし子」を開発。
飛び出しに関する事故の原因や解決策を、実証実験を通して解明することをねらいました。
今後は、「おまもりもし子」の実用化に向けて小型センサーを開発するなど機能改善を行いながら、飛び出しの多い箇所のデータを「もしかもマップ」に反映させたり、 「もしかもマップ」でユーザーが登録した危険箇所を「おまもりもし子」でアラートするなど、サービスを相互活用し、子どもの事故削減を推進してまいります。
また、当社の自動車保険「&e(アンディー)」を通し、運転者にも飛び出しに関するデータを提供して危険意識を高め、歩行者・車の両側面から事故を減らしていくことを目指します。
<金沢大学 融合研究域融合科学系 森崎裕磨 助教コメント>
昨年イーデザイン損保さんと一緒に、魔の7歳を減らすという目的のもと「もしかもマップ」をサービス開始しました。親子で通学路の危険を確かめ合う機能を通して、子どもの危機意識や危険に対する想像力を育てることを狙いとしていましたが、 7歳の主な事故原因が飛び出しであるというデータも見直したうえで、子どもの本能的な行動は想像力だけでは制御できていない可能性があると議論になりました。そこで「駆け出し行動の抑制」といったアプローチを検討し、「おまもりもし子」を開発。本デバイスの実証実験では一定の加速度検知された瞬間に「プップー!止まって」といった音を設定したところ、子どもの加速が抑制されることが分かり、飛び出し行動に抑制効果があると判明しました。
検証結果を踏まえ、一緒にいるときにお子さんが飛び出した場合には「止まって!」など、具体的な行動がわかる声掛けができると良いと確認できました。ご家庭では、保護者の目が届かない登下校時の飛び出しを防ぐために、改めて通学路の危険箇所を親子で振り返っていただきたいです。
また子どもたちの危険行動が特に多かったエリアは交差点付近で信号がない道だと実験を通し再確認できました。
交差点付近で信号がない道そのものが危険なことはもちろんのこと、友達との会話が盛り上がったりなど他の要因が重なることで駆け出し行動が起きやすいため、登下校時は特に注意が必要です。
子どもの走る速度/止まってくれる音は個人差があると考えております。したがって、今後は音が鳴る加速度の閾値を自由に変更できたり、保護者・学校の先生の音声を登録できるようにするなど、学術研究の視点からも開発に携わっていきたいと考えております。
森崎裕磨
所属:金沢大学 融合研究域 融合科学系
職位:助教
学位:博士(工学)
専門:土木計画学
『おまもりもし子』概要
『おまもりもし子』は、通学時のランドセルに付けられるサイズの小型デバイスです。端末にインストールされた 「おまもりもし子」アプリを立ち上げると、加速度から飛び出しを検知した際にアラートが発生し、「プップー(車のクラクション音)+止まって」という音声で危険を知らせます。またGPS連動により、事前に設定した危険エリアに子どもが入った際はアラートを出し、注意喚起を行うことも可能です。
アラートが鳴った回数はアプリ上で確認でき、保護者や先生との振り返りにも活用できます。
「もしかもマップ」/「もしかもプロジェクト」について
もしかもマップでは身近にある危険な場所を見つけて、ユニークなキャラクター「もし子」でマップにピンを立てることができます。他の人のピンに対しても反応ができ、みんなの「声」がマップに集まっていくことで気がつかなかった危険な場所がマップに見えるようになっていきます。
「安全てんけん」機能では家の周りや通学路にある危険な場所を親子で実際に歩いて、大人と子どもそれぞれの視点でピンを立てることができ、親子でコミュニケーションをとりながら危険な場所を探すことで交通安全の意識向上に役立てます。
どういった場所が危ないかなど、ピンを立てる上での重要な視点を親子で学ぶことができる「ドリル」機能もお楽しみいただけます。
サービス開始より多くの方にご利用いただき、現在マップ上には58,527ピンが立っております。
※2023年9月25日時点のデータ
もしかもマップリンク:https://www.sdw.e-design.net/moshikamo/
またもしかもマップを活用して実施する「もしかも授業」や、7歳のお子さんを持つ親御さんと実施した「もしかも会議」など様々な方向から魔の7歳を減らす取り組みを実施しています。
もしかもプロジェクトリンク:https://www.sdw.e-design.net/moshikamo/project/
イーデザイン損害保険株式会社/事故のない世界を目指す自動車保険「&e」について
イーデザイン損保は、東京海上グループのダイレクト損保として「事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを、お客さまと共創する」をミッションに掲げ、事故削減につながるさまざまな取り組みを展開しています。
当社の展開する自動車保険「&e(アンディー)」では、車載のIoTセンサーとスマホアプリでお客さまの運転データを分析し、安全運転をサポートする仕組みや、集まったデータを活用し、&eのお客さまや自治体、企業と共創し、世の中から事故そのものをなくす取り組みを行っています。
https://www.e-design.net/ande/
共創事例①&eのデータを活用し、事故のない社会を共創するプロジェクト「Safe Drive With」
&eのお客さまの運転データを軸として、街や行政のデータ、企業のデータなどを組み合わせて事故のない社会をつくる取り組みです。今回実証実験を行った「もしかもプロジェクト」や、スマートな運転を広めて事故をなくす「Smart Drivers Project」をはじめ、様々なプロジェクトが事故のない社会の実現に向けた分析や研究に取り組んでいます。
https://www.e-design.net/ande/safeworld/safedrivewith/
共創事例②お客さまの安全運転が社会に還元される寄付プログラム「+まち(ぷらまち)」
&eのお客さまの事故率に応じて寄付金が上乗せされ、安全で快適な交通環境づくりに還元される仕組みです。2021年度の公募では大阪府枚方市の高校生が発案した「信号がない横断歩道」の一時停止を啓発する活動や、静岡県磐田市の学生向け自転車のヒヤリハットVR動画制作に対して寄付を行いました。
https://www.e-design.net/ande/safeworld/puramachi/
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