金箔を用いるGold-Knot製作風景

新型コロナウイルス感染拡大で多くの業種、工房や店舗が厳しい状況に直面する中、金沢の新しい伝統工芸品である金箔ジュエリーGold-Knot（ゴールド・ノット）が、店舗の休業を余儀なくされ、国内の出展や海外の販路もストップし、厳しい局面を迎えています。そんな中、一人の熱烈なファンがクラウドファンディングサイト CAMPFIRE　でブランドを応援するためのプロジェクトを立ち上げました。ファンの熱い思いと作品の魅力が相乗効果を生み出し、プロジェクト立ち上げから３週間あまりで目標金額に到達、締切に向けてさらに応援の輪が広がりを見せています。

金箔ジュエリー「Gold-Knot」（ゴールド・ノット）は、金箔の国内生産シェア98％以上を誇る金沢の伝統的工芸品「金沢箔」を独自の技術でヨーロッパに伝わる「タティングレース」に貼り、仕上げています。金沢で活躍するデザイナー木和田里美が「伝統工芸を普段の暮らしの中で身に着ける」とのコンセプトでジュエリー・アクセサリーブランドを立ち上げました。木和田自身、肌が弱いこともあり、安心して身に着けられる素材を探す中で、地元金沢の伝統的工芸品でもあり、金属アレルギーリスクの低い金箔を用いることに至りました。糸は全国的にも名高い繊維産地・石川県小松市産の絹糸を用いています。手で編んだレースに金箔を貼る技術は、石川県工業試験場の協力も得て、はがれにくい貼り方を研究し、その技法は特許を取得しています。

軽量できらびやかなGold-Knotネックレスの一部

16世紀のヨーロッパが発祥とされるタティングレースの技法で編んだレースモチーフに金箔を融合したことで、１点が数グラムと軽量で着け心地も良く、肌に美しくなじむ上品なアクセサリーとして注目を集めています。全国の百貨店で期間限定ショップや催事に出展するほか、2019年春には、金沢市の中心部で金沢21世紀美術館にも近い長町武家屋敷跡周辺にアトリエ兼店舗を構えて展開します。さらには、海外での評価も高く、2019年からはニューヨーク「アート＆デザイン美術館（Museum of Arts and Design）」、ロサンゼルス「ゲティ美術館（J. Paul Getty Museum）」、パリのギャラリーでも展示販売されるなど世界のデザインやファッションの専門家からも注目され始めています。

パリで行われたGold-Knotのワークショップ。写真左がデザイナー木和田里美

しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、金沢の店舗は休業要請の対象となり、予定されていた百貨店での催事も中止、海外の美術館やギャラリーもすべて休館となりました。こうした局面を目にしたGold-Knotのファンの一人、荒川誠さん（東京都在住、金沢市出身）が危機を乗り越えられるようにと、クラウドファンディングサイト CAMPFIRE　でプロジェクトを立ち上げました。荒川さんは「ファンの方や常連さんがいる中で、私が代表で応援するなんておこがましい限りですが、どうしても応援したいと言う気持ちが抑えきれず、クラウドファンディングを立ち上げさせていただきました」と話しています。

金沢市の中心部にあるGold-Knotアトリエ兼ショップ

地元金沢出身のファンがコロナ禍で新たな伝統工芸品を応援する動きについては、山野之義金沢市長もフェイスブックやツイッター、ブログで取り上げ、「Gold-Knotがこれからの金沢文化をけん引していってくれる、そんな可能性を示唆してくれるものと言えるのではないだろうか」と期待の声を寄せています。

クラウドファンディングでは、応援したい方は3000円～38,000円までのコースを選択でき、7月末の締め切り後に返礼品と次回店舗またはネットショップ利用時の10％オフクーポン、デザイナーからのメッセージが送られる仕組みとなっています。

金沢の金箔ジュエリー「Gold-Knot」を＃応援させて　クラウドファンディング：https://camp-fire.jp/projects/view/284608