その他2019.11.18

本をよく読む人は自己表現スキルが身につく訳

東京
SOCIO

 

特集記事『本をよく読む人は自己表現スキルが身につく訳』

 

経済協力開発機構(OECD)は2000年から3年ごとに15歳児を対象とし、OECD生徒の学習到達度調査(PISA)を実施している。2015 年の調査結果による世界ランキングにおいて、日本は読解力が8位、数学的リテラシーが5位、科学的リテラシーが2位という結果になった。
<出典:文部科学省 国立教育政策研究所 http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2015/03_result.pdf >

世界的に見ると、日本の平均的な学力は高く、平等な教育の成果が表れているのではないだろうか。しかし読解力の問題では、自由記述になると無回答が増える。この傾向から、さまざまなことを関連付けながら問題をとらえ、独自の思考を展開することが課題だといえる。日本の子供たちの特徴は、受け身的な姿勢だ。

本来、学ぶことは人生を楽しくするためのひとつの方法で、学びが多いほど未来の可能性が拡がる。人生の豊かさは学歴や偏差値と=(イコール)ではないからこそ、学びとの向き合い方が重要なのだ。受け身的な姿勢の人よりも、自分の考えを表現できる人の人生が充実することは間違いない。

そこで、自己を表現しつづけている3人の作家からどんな人や本から影響を受けたのか話を伺い、人生を豊かにする学びとはなにか、そのヒントを探る。


●公開日時:2019年11月15日(金)14:00 ウェブマガジンSOCIO
 
 
 
 

▼ 記事概要・作家紹介

1 子供の「自ら学ぶ姿勢」を引き出すためには

こころの原風景を詩として描写しつづけている深津朝雄さん(栃木県現代詩人会・会員)。彼が多大な影響を受けたという、国語教育のパイオニア・大村はま氏の功績を振り返り、他者から学び取ることの必要性を伺う。

深津朝雄(ふかづ・あさお)

栃木県現代詩人会・会員。
『石の蔵: 詩集』の著者。
【略歴】
1935
 栃木県生まれ。
著書 詩集「群鴉」第25回(1991)栃木県現代詩人会賞
所属 日本詩人クラブ会員 栃木県現代詩人会会員
   詩誌「夢限」編集同人
   総合文芸誌「青い花」同人
 

深津朝雄『石の蔵: 詩集』

 

 
 

2 西欧哲学をきっかけに、日本の民族性を探る

奄美大島に残る巫女文化をキーワードとし、独自に古事記の研究を続けている配山實さん(作家)。日本のルーツを未来につなぐ使命感に燃え、書き続けている。その思いに至るには、戦後の読書体験が大きな影響を与えたという。

配山實(はいやま・みのる)

作家。
『芭蕉と子規 : 子規啖呵に芭蕉驚愕』の著者。
【略歴】
1937
 奄美大島生まれ。
敗戦後の皇国史観アレルギーの最中に教育を受けた者の一人として西洋文化に心酔し、カント、ハイデカー等のドイツ哲学書を読み漁ったが、西洋文化の底の浅さに気付き、熱が冷めてしまった。その後は非白人国の中で逸早く先進国の仲間入りを果たした日本のルーツに関心を抱くようになり、記、紀、万葉との対面となった。奄美に残る巫女文化をキーワードに、記神話の深層、仏教以前の倭の文明文化の真髄に迫る研究を続けている。
 

配山實『芭蕉と子規 : 子規啖呵に芭蕉驚愕』

 
 
 
 
 

3 徹底的な自己分析、グローバルな行動力を身につけるためには

上田友彦さん(昭和女子大学名誉教授)は、「エスペラント」との出会いで世界が広がったという。中学生の教科書で知り、大学教員時代に理解を深めていった。文学と出会い、概念を血肉に変えていくそのプロセスとは。

上田友彦(うえだ・ともひこ)

昭和女子大学名誉教授。
『将棋への招待 Invito al Japana ŝako』の著者。
【略歴】
1936
 奈良県生まれ
1960
 大阪大学文学部卒
1960
 大阪府立図書館司書
1969
 国立図書館短期大学(現筑波大学に吸収合併)助手
1972
 兵庫県立図書館司書(武庫川女子大学非常勤講師兼務3年)
1984
 昭和女子大学図書館学課程(図書館司書資格取得コース)助教授、 教授 2003 同大学退職 名誉教授
1984
 エスペラント独習開始 日本エスペラント学会(現日本エスペラント 協会)会員
1995
 エスペラント将棋クラブ設立 会長 2013 日本エスペラント協会終身会員
2003
 公益社団法人日本将棋連盟公認将棋指導員5段
2006
 やまとこおりやま子ども将棋教室主宰 出生地の奈良県に戻る
2017
 『あるエスペランチストの夢 エスペラントで発信する「将棋」「図 書館」の世界』出版(文芸社 編集 発行)
現在 将棋5段、世界エスペラント協会将棋専門代表 エスペラント将棋クラブ会長
 

上田友彦『将棋への招待 Invito al Japana ŝako』

 

 

 

▼ SOCIOについて

SOCIO(ソシオ)は、「あたらしい自分と社会をつくる」をコンセプトにしたウェブマガジンです。毎記事で1つのテーマを取り上げ、各界で活躍する作家が質問にお答えします。社会問題から人生のお悩みまで、さまざまな気になることを作家とともに考えていきます。SOCIOを通して、みなさまが未来について考える機会をお届けしたい。そんな想いで、発信してまいります。
公式HP: https://www.socio22.com/
Twitter: https://twitter.com/SOCIO_sns

「あたらしい自分と社会をつくる」ための3つのメッセージ
①多様性:多様性が求められる社会で、他人の主張を無視しない。
②気づき:その中にある気づきを育み、自分だけの行動指針を生み出す。
③営む:ひとり一人の決断の連鎖で、社会をアップデートする。
 

「あたらしい自分と社会をつくる」ための3つのメッセージ

 
 
 
 
 

▼ 運営会社について

株式会社22世紀アート

「みんなを幸せにする出版社」を企業理念に掲げ、「出版とは、今、社会が必要とする情報を発信すること」という思いのもと、誰もが「本」に触れ、「本」を生み出し、「本」を愛する人になる。そんな文化インフラを作るために、20名のスタッフにより運営されています。

代表者  : 向田翔一
所在地  : 〒105-0003 東京都港区西新橋1-5-12 佐野ビル6F
設立   : 2014年12月
事業内容 : 書籍・電子書籍制作及び出版
TEL   : 03-5941-9774
FAX   : 03-5941-9773
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第一章 妬みは自信に換えられる 教員を退職後、精力的に執筆活動をつづけている清水直史郎さん(小説家、白亜美術協会会員)はいう。 そもそも、「今の自分を変えたい」と思っていること自体、とてもよいことです。なぜなら、妬む気持ちに少なからず後ろめたさを感じていて、前向きな気持ちに変えようとしているからです前向きな気持ちがある人が次のステージに進むためには、比較癖をやめましょう。 「他人がどうか」ではなく、「どんな自分になりたいか」明確にしてみましょう。妬みの先に目標を設定すると、具体的にどんな行動をすればよいか考えられるようになります。 小さなことでも自分基準で行動していくと、「なぜあの人はすごいのか」気がつくでしょう。妬みではなく他人を認める気持ちに変わっていきます。妬みには2種類あると言われています。 ●良性妬み 自分自身をよくしたいと思う向上心 ●悪性妬み 相手を傷つけたいと思う悪意・敵意 この良性妬みを維持することはむずかしく、設定した目標が大きすぎると、途中で心が折れてしまうことがあります。たとえば、「仕事ができる人になりたい」という大きな目標を立てたとしたら、そのための小さな目標が必要です。 ●毎日同じ時間に起きて同じ時間に眠る ●メールはその日のうちに返す ●デスクの上をきれいに保つ 業務内容以前に、基本的なことだけでもたくさんあります。簡単に見えることでも、強い意志がなければ継続できません。小さなことを継続する力がついたとき、自分で自分を認められ、良性妬みが自信に変わるのではないでしょうか。 第二章 環境を変える行動力で人生が好転する 中谷庄一さん(高齢者問題研究家、大和銀行元社員)は、母親からのプレッシャーで自信が持てない高校時代を過ごしていたものの、大学入学を機に大きく変わったといいます。 高校3年生のとき、母親からの言葉に苦しめられました。「あんたが落ちたら私がアホやと思われる」。結局、第一志望の大学に落ちてしまい、「人生最大の失敗だ」と絶望的な気持ちになったことを強く覚えています。 その後別の大学に入学したのですが、とことん落ち込んだおかげで開き直りました。気持ちを切り替えて大学生活を送ろうと決意してからというもの、せっかく新しい環境になったのだから、自分の弱さと向き合ってみようと思ったのです。 たとえば、必要以上の授業を受け、とにかく勉強に励みました。そして、虚弱な身体を強くするために柔道部、人前で行動できるように合唱クラブに入部しました。 環境が変わると気持ちも変わります。中谷さんの場合、まずは新しい環境に所属してみたことがターニングポイントとなっています。環境を変えようと思ったとき、最初の一歩がなかなか出ないという人が多いです。 だれでも絶対に1つや2つ苦手なことや弱さがあるので、まずはできないことがある自分を認めてみましょう。「自分の現状を把握すること」、これが自分を変える行動の第一歩です。 人生で大きな失敗があっても、なんとかなるものです。そのときは深刻に考えるかもしれませんが、失敗は「なりたい自分になる」ためのエネルギーに変えられます。 新しいことにチャレンジすると、前よりも自分が好きになれるでしょう。歳をとった今も人前で歌うことをつづけていますし、歌でつながった仲間がたくさんいます。楽しい人生を送れています。 高校時代に母親の言葉にとらわれていた中谷さんはもういません。「母親がどう思うか」ではなく、「自分がどうしたいか」を考えるようになって人生が変わりました。 そう思えるようになったのは、環境の変化による影響が大きく、「できないけど、とりあえずやってみる」の精神が人生を変えたのです。 まとめ ●妬みは悪い気持ちではない。良性妬み(向上心の種)を育めば自信が持てる。 ●環境を変えてみることは自分を変える一つの手段。とりあえず所属してみるのもあり。 企画・執筆:佐藤志乃 企画・制作:一条恒熙
 
 

 

本記事に関するお問い合わせ:株式会社22世紀アート

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