『展望塔のラプンツェル』が「本の雑誌が選ぶ2019年度ベスト10」の第1位に選ばれました!
「その子は死ぬために生まれてきたんじゃない」
弱者に光をあてる書き下ろし長編ミステリー
多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊など、児童相談所は休む暇もない。児相に勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問する。石井家の次男壮太が虐待されていると通報が入るが、どうやら五歳児の彼は、家を出てふらふらと徘徊しているらしい。この荒んだ地域に寄り添って暮らす、フィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け、面倒を見ることにする。
居場所も逃げ場もない子供たち。彼らの幸せはいったいどこにあるのだろうか――。
【書籍詳細】
著者:宇佐美まこと
発売:光文社
発売日:2019年9月19日
体裁:四六判ハードカバー
定価:本体1,700円+税
【著者・宇佐美まことさんのコメント】
『展望塔のラプンツェル』に出てくるのは暴力、貧困、児童虐待、不妊と重いものばかりだ。こんな過酷な状況からの脱却は、困難極まりないと誰もが思うに違いない。だがそれをなし遂げるのは、ほんのちょっとした気づきと想像力なのである。赤の他人の気持ちが偶然につながって、思いもよらない形で救いが生まれる。そんなささやかな物語を私は書きたかった。この度、「本の雑誌が選ぶ2019年度ベスト10 第1位」に、この物語を選んでいただいたことを光栄に思うと同時に、こうした奇跡はどこででも起こりえると感じていただければ幸いである。
【著者プロフィール】
宇佐美まこと(うさみ まこと)
1957年愛媛県生まれ。2006年「るんびにの子供」で第1回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞受賞、同作品を含む『るんびにの子供』で作家デビュー。2017年『愚者の毒』で、第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉受賞。ほかの著作に『角の生えた帽子』『熟れた月』『骨を弔う』『いきぢごく』などがある。
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