新型コロナウイルスの影響でゲームのプレイ時間は増加傾向 依存症対策条例が施行された香川県の状況は?
弊社が先日発表した「モバイルゲームアプリの総プレイ時間 3月の平日平均5,335万時間 土日祝日平均6,152万時間 ~2月末からの自粛でゲームプレイ総時間が4~5%増加~」 (https://www.gameage.jp/release/report/index_016.html)のように、新型コロナウイルス(COVID-19)による自粛の影響でスマートフォンゲームのプレイ時間の増加が見られました。
株式会社ゲームエイジ総研(代表取締役社長:光井誠一)は、国内唯一の「ゲームビジネスに特化したマーケティングリサーチ&コンサルティングファーム」として様々な分析を行って参りました。昨今、世界中で話題となっているVRやeスポーツといった、いわゆるゲームの枠にとどまらない新たな“エンタテイメント”の隆盛により、旧来のゲーム市場は過渡期を迎えています。そのため、改めて現在の“ゲーマーとは?”をテーマに、ゲーマーのライフスタイルを掘り下げる分析を、継続して実施していきます。
■新型コロナウイルスの影響による外出自粛でゲームする機会や時間が増えている
弊社が先日発表した「モバイルゲームアプリの総プレイ時間 3月の平日平均5,335万時間 土日祝日平均6,152万時間 ~2月末からの自粛でゲームプレイ総時間が4~5%増加~」 ( https://www.gameage.jp/release/report/index_016.html )のように、新型コロナウイルス(COVID-19)による自粛の影響でスマートフォンゲームのプレイ時間の増加が見られました。
弊社が提供する135万人のモバイルログを活用した次世代型マーケティングデータサービス「iGage(アイゲージ)」を使って、2月から4月までのアプリゲームのプレイ時間を週単位で見てみました。
全国的な学校の休校が始まった3月7日以降で、プレイ時間は増加し、一旦落ち着きが見られるものの、3月30日週から、再度増加傾向にありました。【グラフ①】
世の中の動きを見ると、WHOとビデオゲーム業界の企業18社が「みんな離れてゲームをしよう」(#PlayApartTogether)という啓発キャンペーンを行なうなど、自粛下でも楽しめるエンターテインメントとしてゲームを活用する動きがある一方で、安心ネットづくり推進協議会による「子供のネット利用を考えるWebシンポジウム」が開催されたり、NHKのクローズアップ現代+では「外出自粛の陰で…ゲーム依存は大丈夫?」という特集が組まれるなど、自粛によるネットやゲームの長時間化を懸念する傾向も見られます。
そのような中、香川県では2020年4月1日より、18歳未満を対象にインターネットとゲームの利用時間を規制する「ネット・ゲーム依存症対策条例」が施行されました。そこで、ゲームプレイ時間のデータとともに、その実態を見てみたいと思います。
■「ネット・ゲーム依存症対策条例」が施行された香川県の状況は?
弊社の「iGage(アイゲージ)」を使って、全国の10代のゲームプレイ時間と、香川県の10代に絞ったゲームプレイ時間を比較してみました。【グラフ②】
全国の10代のデータを見ると、なだらかな上昇傾向にあることがわかります。一方で、香川県に絞ったデータを見てみると、学校が休校になった3月7日前後からプレイ時間が増加し、条例が施行された4月1日には一旦プレイ時間が減少。その後緊急事態宣言の発令にあわせて増加傾向になっていることがわかりました。しかし、増加・減少はあるものの、全国の10代と比較して香川県の10代のゲームプレイ時間が多いわけではなく、同程度であることがわかります。
■一律に時間を規制するのではなく、親と子が意識を持つことが重要
そこで実際の状況やゲームに対する考えを把握するため、高校生以下の子供を持つ香川県在住者の方へインタビューを行ないました。
まず、自粛期間中のゲームのプレイ時間について聞いたところ、「自粛期間中はゲームプレイの時間は増えました。時間設定を1日3時間にしていましたが毎日時間いっぱいやっています。」(30代男性、小学生高学年)など、自粛で自宅にいることにより、ゲームのプレイ時間が伸びたというコメントが見られました。
また、遊び方の変化について聞いたところ、「特にゲームタイトル等には変化はないが、友達と通信しながらのゲームをする時間が増えたのでは?」(40代男性、高校生)というコメントや、「我が家ではほとんど子供がゲームをプレイすることはありませんでしたが、コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出制限がある中で親が休みの土日祝日のみ、親子でプレイする機会が増えました。」(30代男性、小学校低学年)というコメントなど、ゲームが家族や友達とのコミュニケーションツールの1つとして活用されていることがわかります。
次に、今回施行された条例に対する考えを聞いたところ、「条例施行により子供のプレイ時間にどれほどの効果があるのかは別として、多くの人がそうした状況を認知することとなっただけでも多少の効果はあったのではないでしょうか。」(30代男性、小学生高学年)というように、認知することに対しての一定の効果は感じているという意見が見られた一方で、「県がかかわるべき問題なのかというと、そうではないと感じています。ゲーム機器を与えているのは家庭であり、家庭でのルールを明確にしたうえで与えているはずだし、家庭で取り組むべき問題だと考えます。話を聞かなかったり、やらないといけないことができなかったり、目が悪くなったり、姿勢が悪くなったり、というのはゲームだけに限らないので、生活習慣としての話にとどめるということでいいのではないかと思います。」(女性30代、小学生低学年)というように、条例ではなく家庭での方針を重視するという意見もありました。
条例をふまえて家庭内ルールを作成するかどうかを聞いたところ、「今後子供の成長に伴い、プレイ時間が長くなってきたような場合は、条例をふまえたルールを子供と一緒に考えたいと思います。」(30代男性、小学生低学年)という意見や、「現時点で子供のゲーム依存度がそれほど高い状況ではないので、現時点ではルール作りが必要とは考えていません。」(40代男性、高校生)というように、今後、子供がどのような姿勢でゲームに接していくかを見守りながら、場合によっては家庭内での独自のルールを考えるという意見が見られました。
香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」は依存防止のために利用時間を制限するという条例ですが、親や子供に“依存防止”の意識を持ってもらうための意味付けとして考えると、データでの実態や在住者の意見から見ると、それほど影響力は少ないのが実態のようです。
在住者の方の「ゲームをやりすぎるのは良い事とは言えないが、大切なのは時間を制限するのではなく、ゲーム以外にも興味のあることを見つけたり、ゲームを通じてでもいいのでコミュニケーションをとって普段の生活をより楽しく、充実したものにすることが大切だと思う。」(30代男性、小学生高学年)というコメントがありましたが、目指す“依存防止”という意図を伝える・意識してもらうには、どのようにゲームと向き合うか、ゲームを通じてどのような経験をするのか等、一律に時間制限をすることとはまた違ったアプローチの方法が考えられるのではないでしょうか。
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