三浦綾子『泥流地帯』、初の映画化決定
映像コンテンツ制作やWEBメディアの運営を通じて地域創生支援を行う株式会社Zipangはこのほど、「氷点」の三浦綾子が大正15(1926)年の十勝岳噴火を描いた小説『泥流地帯』(新潮文庫刊)の映画化について、舞台となった北海道・上富良野町と連携協定を結びました。
『泥流地帯』は、大正15(1926)年5月に発生した十勝岳大噴火で発生した山津波が、北海道・上富良野の開拓地を襲い、苦労して切り開いた田畑も硫黄と瓦礫に混じった泥流に埋まる。貧しさにも親の不在にも耐えて明るく誠実に生きてきた兄弟が、一瞬にして家族を失うが、祖父・父の苦労の沁み込んだ土地を、もう一度稲の実る美田にしたいと、再び鍬を手にする……復興に挑む若者たちの青春を描いた感動の長編小説。1976年から北海道新聞で連載され、『泥流地帯』『続泥流地帯』の2冊が刊行されています。
上富良野町では、「氷点」「塩狩峠」など数多くの三浦作品が映像化される中、泥流という自然の驚異を描いた「泥流地帯」の初の映像化を目標に、地元有志による『「泥流地帯」映画化を進める会』を設立、官民を挙げてロケ支援や映画化に向けた機運醸成活動が進めてきました。
今回、同町とZipangは、「『泥流地帯』実写映画化等に関する連携協定」を締結。町が同作品の実写化と劇場公開するため、企業版ふるさと納税の活用などによる制作費やロケの協力などの支援を行い、映画製作をロケツーリズムなどの地方創生に生かしていくことで合意しました。
本先品は2022年の公開を目指しています。
北海道上富良野町・向山富夫町長コメント
私たちが暮らす今の上富良野は、三浦綾子さんの「泥流地帯」で主人公が思い描いた百年後の郷土の姿そのものです。このような郷土に寄せる熱い想いのもと「泥流地帯」の映画化は私たちにとって半世紀に渡る悲願であり、立派に復興をけん引された当時の吉田村長のごとく、どんな困難も乗り越え、成し遂げたいと思います。
原作者・三浦綾子
~プロフィール~
1922年4月、北海道旭川市生まれ。高等女学校卒業後、17歳から7年間小学校教師を勤めるが、太平洋戦争後、罪悪感と絶望を抱いて退職。その後、肺結核と脊椎カリエスを併発して13年間療養生活を送る。闘病中にキリスト教に出逢い、1952年に洗礼を受ける。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多く小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。
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