舞台・ライブ2023.02.09

【国立劇場】3月琉球芸能公演『薬師堂』 沖縄の海と風を感じる傑作沖縄芝居を堪能!

東京
文化庁
国立劇場では琉球芸能公演として、数多くの「組踊」の傑作や「琉球舞踊」を上演してまいりましたが、「沖縄芝居(琉球歌劇)」の上演は数回ほどしかありません。
初代国立劇場さよなら公演の令和5年3月琉球芸能公演では、琉球歌劇の中でも名作として人気の高い『薬師堂(やくしどう)』を上演いたします。

琉球歌劇『薬師堂』より

三線の音楽にのせて、全編沖縄の方言【うちなーぐち】で演じられる琉球歌劇は、戦前・戦後の沖縄の人々の圧倒的な人気を集めてきた大衆演劇です。
どこか懐かしい沖縄の海と風を感じられる笑いあり涙ありの人情芝居で、至福の一時をお楽しみいただきます。

エキゾチックな“琉球”を堪能する「沖縄芝居」

「沖縄芝居」のはじまりは明治期にさかのぼります。
明治初期の琉球処分により、琉球王府で芸能を担っていた士族たちは職を失いました。彼らは生計を立てるため、首里から那覇の町に移り住み、粗末な芝居小屋を建てて、民衆に向けて宮廷芸能を上演するようになりました。

やがて、明治20年(1887)頃に本格的な芝居小屋が建てられると、これまでの宮廷芸能だけでは飽き足らなくなっていた観客や“文明開化”という時代のニーズを受けて、新しいスタイルの「演劇」が模索され、生み出されることになりました。
これが「沖縄芝居」のはじまりです。

琉球歌劇『伊江島ハンドー小』より

「沖縄芝居」は「歌劇」と「方言せりふ劇」の二つに大別されます。
「歌劇」は歌、セリフ、演技、舞踊などで構成された歌舞劇で、庶民の日常生活を描いたものや恋愛ものが多く作られ、特に悲恋物語が人々の人気を呼びました。
「方言せりふ劇」は、首里や那覇で日常的に使われた方言に近いセリフにより演じられる芝居で、史実を題材にした史劇や、故事や伝説を基にした時代劇が多く作られました。

沖縄芝居『黒島王物語』より

今回上演する『薬師堂』は、「歌劇」の名作として人気の高い作品です。
全編に三線の音楽が流れ、沖縄の方言【うちなーぐち】による歌とセリフにより物語が展開していきます。物語は笑いあり、涙ありの人情芝居で、主人公とヒロインの恋愛物語は、現代の我々にも分かりやすく、肩の凝らない娯楽作品です。
物語の世界には、今は少なくなった琉球時代の風情や文化が色濃く残っており、琉球時代の沖縄を存分に感じることができるエキゾチックな魅力にあふれています。

琉球歌劇『薬師堂』より

琉球歌劇の人気作『薬師堂』を上演!

今回上演する『薬師堂』は、「泊阿嘉(とぅまいあーかー)」「奥山の牡丹」「伊江島ハンドー小(いーじまはんどーぐゎー)」とともに、四大歌劇にも数えられる琉球歌劇を代表する作品です。ドラマチックな展開で飽きさせず、また全体を通して明るい雰囲気が特徴で、現在でも大変人気がある演目です。

白河白露(しらかわはくるー)という青年と美しい娘初岡鶴(はちうかちるー)の恋の物語で、二人の恋には大きな障害が立ちはだかります。古き良き時代の趣が凝縮された見どころの多い作品です。
沖縄の庶民を大いに沸かせた名作を存分にお楽しみいただきます。

琉球歌劇『薬師堂』より

「沖縄芝居」の理解が深まる解説と、琉球舞踊付きで盛り沢山!

冒頭には、沖縄芝居についての案内や見どころを、国立劇場おきなわの芸術監督も務めた琉球舞踊家で組踊伝承者でもある嘉数道彦が親切に解説いたします。解説により、「沖縄芝居」への理解が一層深まります。また、芝居には全編字幕を表示いたしますので、耳慣れない人には難解なうちなーぐちのセリフの内容もしっかりと把握することができます。
さらに、『薬師堂』作者である伊良波尹吉(いらはいんきち)にゆかりのある琉球舞踊も併せて上演する、盛り沢山な内容です。
沖縄の海と風を存分に感じられる至福の一時をお楽しみください。

琉球歌劇『薬師堂』より

写真提供:国立劇場おきなわ、沖縄芝居研究会

琉球歌劇『薬師堂』

[あらすじ]
琉球の青年白河白露(しらかわはくるー)は、3月3日の浜下り(はまうり)の日に、学友とともに薬師堂の浜に出かけた。そこで出会ったのは、美しい娘初岡鶴(はちうかちるー)鶴を一目で見初めた白露は、毎夜鶴の屋敷へと忍んで逢瀬を重ねていく。
しかし、二人の恋は鶴の父に知られるところとなり、怒った鶴の父は、乳母ともども鶴を屋敷から追い出してしまった。
そのことを知った白露は鶴の居所を探し出し、訪ねる。白露は乳母に鶴に会いたいと懇願するが、乳母が示したのは一基の位牌であった。白露は乳母から、鶴はすでに他界したと告げられたのであった。
自ら鶴の後を追おうとする白露に、乳母は鶴の遺書を手渡す。鶴の遺書を読んだ白露は学問にはげむ決意をするのだった。
やがて、白露は琉球の官吏登用試験である科挙に見事合格する。
白露は鶴の霊前にその報告に赴いた……

作 伊良波尹吉 / 監修 平良進

白河白露…上原崇弘 
初岡鶴……平田晴香
乳母………知念亜希
初岡の父…佐辺良和
友人………髙井賢太郎
友人………砂川博仁
下男次良…東江裕吉
下男亀謝…金城真次
真刈………嘉数道彦
真刈の父…宇座仁一
真刈の母…伊禮門綾
三月遊びの女たち…廣山えりか、米盛未来、奥平由依、伊波留依、仲嶺夕理彩、宮崎花澄、入福浜天乃

歌三線…新垣俊道、仲村逸夫
箏………具志幸大
笛………入嵩西諭

プレスリリースはこちらから
https://prtimes.jp/a/?f=d47048-20230201-8f98c64fd43f576747eec82bdb973100.pdf

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初代国立劇場さよなら公演
3月琉球芸能公演 琉球歌劇『薬師堂』

解説 ご案内…嘉数道彦

 琉球舞踊(午前11時30分の部)
「鳩間節」 東江裕吉
「加那よー」廣山えりか、米盛未来、奥平由依、宮崎花澄 

琉球舞踊(午後3時の部)
「早口説」 伊波留依、仲嶺夕理彩
「越来よー」佐辺良和、金城真次

琉球歌劇「薬師堂」
 第一景 道行き
 第二景 薬師堂近くの浜
 第三景 道行き
 第四景 初岡家門前
 第五景 初岡家門前
 第六景 初岡家屋敷内
 第七景 乳母田舎屋
 第八景 一番科の帰り
 第九景 乳母田舎屋

制作協力=公益財団法人国立劇場おきなわ運営財団

令和4年度日本博主催・共催型プロジェクト
主催=独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁

【公演詳細】
令和5年 3月5日(土)
午後11時30分開演/午後3時開演(午後2時/午後5時30分終演予定)

国立劇場 小劇場 (〒102-8656 千代田区隼町4-1)
※休憩あり
※字幕あり

 チケットのお求めは

国立劇場チケットセンター 0570-07-9900
https://ticket.ntj.jac.go.jp/

プレスリリースはこちらから
https://prtimes.jp/a/?f=d47048-20230201-8f98c64fd43f576747eec82bdb973100.pdf

国立劇場について


日本の伝統芸能の保存及び振興を目的として昭和41年(1966)に開場。外観は奈良の正倉院の校倉造りを模している。大劇場・小劇場・演芸場・伝統芸能情報館を備え、多種多様な日本の伝統芸能を鑑賞できる。初心者や外国人を対象とした解説付きの鑑賞教室も開催している。 

所在地:東京都千代田区隼町4-1
03-3265-7411(代表)
https://www.ntj.jac.go.jp/
本記事に関するお問い合わせ:文化庁

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