日本空間デザイン賞 2023年度 KUKAN OF THE YEAR決定!
【星野神社 覆殿・本殿(愛知県豊川市指定文化財)】
【Sumu Yakushima ~Regenerative Life Studio~】の3作品
DSA(一般社団法人日本空間デザイン協会、会長:出原秀仁、所在地:東京都港区)とJCD(一般社団法人日本商環境デザイン協会、理事長:窪田茂、所在地:東京都品川区)が共同主催する日本空間デザイン賞は、8月26日の3次・最終審査会にて金賞・銀賞・銅賞の合計34作品を選出し、金賞に選ばれた11作品の中から【GOLDWIN PLAY EARTH PARK TOYAMA「風の遊具」】、【星野神社 覆殿・本殿(愛知県豊川市指定文化財)】、【Sumu Yakushima ~Regenerative Life Studio~】の3作品を今年度グランプリの「KUKAN OF THE YEAR 2023」に決定しました。
10月20日に東京デザインセンター(東京・五反田)で贈賞式が開催され、金銀銅賞・KUKAN OF THE YEAR受賞者と準グランプリに値するKUKAN OF THE YEAR RUNNER-UP賞と審査員特別賞の受賞者にトロフィーと表彰状が贈呈されました。式典では、審査員の建築家・アストリッド クライン氏(クラインダイサムアーキテクツ)から講評として、「空間を創り出すことの難しさ、工夫や努力、伝統の尊重、アイコニックなデザイン、快適さ、訪れたい場所などという観点から、非常に多くの優れた質の高い作品の応募があった。審査の過程で審査員自身も作品から多くのインスピレーションを受け、空間がどんどん進化していることを感じられた。」などが述べられ、またKUKAN OF THE YEAR 2023に輝いた3作品の受賞者とモデレーター上垣内泰輔氏(JCD正会員 株式会社丹青社 プリンシパルクリエイティブディレクター)によるトークセッションが行われました。
日本空間デザイン賞2023 KUKAN OF THE YEAR /日本経済新聞社賞
作品名: GOLDWIN PLAY EARTH PARK TOYAMA「風の遊具」
受賞者: 株式会社中村竜治建築設計事務所 中村竜治
作品名: 星野神社 覆殿・本殿(愛知県豊川市指定文化財)
受賞者: 株式会社望月工務店 / 望月建築設計室 望月成高
作品名: Sumu Yakushima ~Regenerative Life Studio~
受賞者: 株式会社tono 小野司
日本空間デザイン賞とは:
2019年に誕生した日本で唯一かつ最大級の空間デザインアワードです。国内外の優秀なデザイナーや、卓越したデザイン作品を発掘し、評価をすることを目的としています。素晴らしいデザインを日本から世界に発信し、「空間デザインのちから」を多くの人々に伝えていきます。
リリース資料:
・本リリース
・データ1: 2023年度 KUKAN OF THE YEAR 3作品 画像3点
作品名: GOLDWIN PLAY EARTH PARK TOYAMA「風の遊具」
受賞者: 株式会社中村竜治建築設計事務所 中村竜治
写真クレジット: 中村竜治
作品名: 星野神社 覆殿・本殿(愛知県豊川市指定文化財)
受賞者: 株式会社望月工務店 / 望月建築設計室 望月成高
写真クレジット: 萩原ヤスオ
作品名: Sumu Yakushima ~Regenerative Life Studio~
受賞者: 株式会社tono 小野司
写真クレジット: Rui Nishi
*上記3作品をご掲載いただく際には、どれか1作品ではなく必ず3作品ともにご掲載いただきますようお願い申し上げます。
・データ2: 贈賞式会場スナップ 画像 9点
贈賞式会場スナップ写真クレジット:HIROSHI TSUCHIDA
参考:
審査員選評:『年鑑日本の空間デザイン2024』(発行:六耀社、2023年12月発売予定) より一部抜粋
GOLDWIN PLAY EARTH PARK TOYAMA「風の遊具」:水野 学(good design company 代表、クリエイティブディレクター )
最終審査まで残った作品はどれも素晴らしく、甲乙つけがたいものだった。その中で、この遊具は、「子どもが楽しめるものであること」においても秀でていた。震災、災害、ウイルス、戦争や紛争など、この数年最も大きな不安の中にいたのは、子どもたちかもしれない。その子どもたちが、笑顔になれ、学びを得ることもできる企画であったことが「2023年」のKUKAN OF THE YEAR受賞にふさわしいと感じた。出品された作品は、公的なものから、企業のもの、個人のものに至るまで、幅広くあった。空間をどうデザインするかはもちろんのこと、企業が得た収益を何に使うかという出発点においても審査の対象とさせていただいた。
星野神社 覆殿・本殿(愛知県豊川市指定文化財):佐藤 可士和(クリエイティブディレクター / SAMURAI代表)
1600 年代の建立と推測される神社の本殿を復原・修復し、その保護のための「覆殿」と呼ばれる老朽化した外殻も新築したプロジェクトである。今後100 年、200 年と受け継がれていく神社建築を護るこの「覆殿」もまた伝統的な技法を継承するための建築であると捉え、デザインされている。主に3つの要素に着目し高く評価した。1:「文化」伝統技術とテクノロジーの融合によって、今後の神社建築の技術継承の可能性をより高めていった点。口伝や経験則が主であった古来の技法を現代の技術検証によって解析し、伝統文化を次世代へつなげていく役割を果たしている。2:「環境」使用される材料に配慮し、すべての木材を同地域の御宮が所有する森から供給することで地場産業の活性化に加え、資材運搬距離を最小にとどめることで、世界的な社会問題でもある建設行為のエネルギー削減についての根源的な解決がなされている。3:「人」本建築が、建築技術を学ぶ者、管理する者、利用する者に公開され、その知見を学ぶ場として機能する点。未来の人材の育成に大きく寄与していると思われる。「文化」「環境」「人」それぞれの未来についての高い志を一つの空間にまとめ上げた、施主・設計者・施工者の胆力には心から感服した。また、銅板で葺かれた切り妻屋根と柱・貫の水平・垂直のラインで構成されたシンプルなデザインが、日本の美意識を極めて高い意匠性をもって表現していることは、特筆すべき点である。今後ますます増えていくであろう伝統文化のリノベーション、リデザインの未来を提示してくれたプロジェクトである。
Sumu Yakushima ~Regenerative Life Studio~: 木田 隆子(エル・デコ ブランドディレクター )
未来に向かう空間とはどのようなものだろうか。未来を夢見ることが難しい時代にあって、屋久島に建てられた本作には、一つのヒントが含まれていた。コンセプトは、Regenerative architecture-環境再生建築。建築を建てることで、さらにその土地の自然をポジティブに生かすことができるのではないか? 建築は自然環境に対して、もっと積極的な役割を果たせるのではないか? そのような思いから生まれたのは、住居を建てる過程で、土の中の環境をもデザインしていこうという考え方だった。まずは、土の中の空気や水の流れに配慮した独立基礎を採用し、その下には焼いた木の杭を打ち込む。炭化した木をハブにして、人為的に土壌菌のネットワークをつくるためである。菌糸は建築物の下で周囲の木の根とも共生して、地盤の強度を保つ。また、高床式を採用して、敷地だけではなく、敷地の周囲の山から海へ抜ける水や風の道を妨げないよう配慮している。建築家が、敷地の(この場合は屋久島)土壌そのものをもデザインしてみようと考えた実験精神と問題意識の深さには共感が集まった。一方、審査会では住居デザインには、さらなる工夫の余地もあったのでは?という意見もあった。この作品は、気候変動や温暖化がリアルな姿を見せはじめている現代において、未来のあるべき空間を担う建築家やインテリアデザイナーに見過ごせない重要な視点を提供してくれている。そのことの意味は大きい。
受賞者コメント:
GOLDWIN PLAY EARTH PARK TOYAMA「風の遊具」:株式会社中村竜治建築設計事務所 中村竜治
この度はこのような栄誉ある賞をいただき誠にありがとうございます。PLAY EARTH PARKは「未来を担う子供たちのための公園」というシンプルでありながら今日的な問いを投げかける素晴らしい取組だと思います。その中で風をテーマにした遊具を担当したわけですが、吹いてくる風を利用するのではなく風自体をつくることができないかと考え、私たち自身も学びながらこの遊具をつくることができました。そのような取組にお声掛けくださったGOLDWINさん、共感いただいた審査員の皆さん、関係者の皆さんに心より御礼申し上げます。これを励みにこれからも精進してまいります。
星野神社 覆殿・本殿(愛知県豊川市指定文化財):株式会社望月工務店 / 望月建築設計室 望月成高
この度は、KUKAN OF THE YEARという身に余る賞を頂き、誠にありがとうございます。星野神社の御宮関係者・氏子の皆様、受賞おめでとうございます。そして協力業者皆様の御助力ありがとうございました。技術の継承となる社寺建築と、宮大工の業による伝統の進化が空間デザインとして評価を頂けたこの結果により、設計や施工を目指す若手達の目に触れる機会を広げ、受け継がれた伝統技術の新たな可能性を伝える機会となりましたら幸甚です。
Sumu Yakushima ~Regenerative Life Studio~:株式会社tono 小野司
このたびは大変栄誉あるKUKAN OF THE YEARを受賞できたことを光栄に思っております。
「住めば住むほど自然が澄む」をコンセプトにして、建ててそこに住むことで自然がより元気になっていくというRegenerative(再生可能)な建築を目指しました。この概念を広く知っていただきたかったことが、この賞に応募したきっかけです。しかしこれは私だけのアイデアではなく、たくさんの専門家の先生方のご指導のもと完成したものです。この場を借りて感謝申し上げます。
この度は本当にありがとうございました。
なお、日本空間デザイン賞の公式サイトにて2023年度の受賞作品や主催団体の紹介などをご覧いただけます。また今後は受賞者インタビュー・オンラインセミナーなどの情報を追加掲載する予定です。
日本空間デザイン賞:https://kukan.design
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