2020.11.17
「『表紙はうたう 完全版』刊行記念原画展 和田誠さんと。」に行ってきた!
東京
ライター
来た、見た、行った!
かつらひさこ氏
こちらのコラムでも書いたことがあるが、私は和田誠さんが昔から大好きだった。
学校の図書室に行くたび、和田さんがイラストや装丁を担当した本に手に取って眺めた。
シンプルで無駄のない線から紡ぎ出される、独特のユーモアと色使い。
ほのぼのとした可愛らしさとほんの少しの毒。
どれをとっても唯一無二で、「挿絵の力」というのを感じたのは和田さんが初めてだったかもしれない。
そんなわけなので何を差し置いても行かねばと思い、今月15日まで渋谷PARCO8階「ほぼ日曜日」にて開催されていた、「『表紙はうたう 完全版』刊行記念原画展 和田誠さんと。」に行ってきた。
和田さんの作品に囲まれて、テンションは一気に上がった。
お馴染みの週刊文春の表紙から、はじめて観るイラスト、知らないタッチの絵。
監督された映画のポスター、演劇のポスター、ジャズ、エッセイなどなど、和田さんが残した作品の幅広さとその多才さに改めて感動した。
実際に和田さんが使われていたアクリルガッシュや、プライベートで書かれた和田さんのメモの数々に、なんとも言えない感情が込み上げた。
亡くなるということは、その人がこの世からいなくなってしまうことだ。
人は期間限定でこの世に降り立ち、なにかを得たり失ったり、作ったり壊したり、あれこれやって、そしてここを去る時がくる。
せっかくなので、喜怒哀楽だけでなく「ああ、いいなぁ」という感情をたくさん味わってから退場したいなと思い、家に帰った。
プロフィール
ライター
かつらひさこ氏
1975年札幌市生まれ。自分が思い描いていた予定より随分早めの結婚、出産、育児を経て、7年前からライティングを中心とした仕事を始める。毒にも薬にもならない読みやすい文章を書くことがモットー。趣味はクイズと人間観察。