追憶の「吉野家USA」
みなさん、開店閉店情報って、見ますか?
私はよく見ます。コロナ前から暇な時になんとなく見ていて、
コロナ後の今はさらに見ていたり。地域ごとのサイトがあるみたいですね。
ずっと昔にお世話になった古参の文房具屋が知らない間に閉店していてショックを受けたり、
そのあとカラになったところにバーガーキングができて歓喜したり、悲喜交々。
そういえば食べログの「保存済み」に登録したお気に入りの店も、久しぶりに見てみたら
ずいぶん「閉店」のマークが増えてました。寂しいな。
そんな2020年ですから駅前を散歩する時の視線もおのずとリサーチャー目線。
良かった! やってるラーメン屋。あれ? シャッター降りてるよどうした鰻屋! とか。
そして先日、ずっと昔に無くなってしまった、ある店のことを思い出しました。
…と書くとノスタルジック調ですが、そうではないお話です。
「吉野家USA」という店の名を聞いたことがあるでしょうか。
アメリカの吉野家? いいえ違います。でも半分は正解です。
吉野家USA それは、
【吉野家USA(YOSHINOYA USA)】
吉野家が米国で展開している店舗を参考に
1990年前後~1990年代後半に展開された店舗。
浜松町、水道橋、北浦和、上北沢、国立、東大和、沖縄などに存在した。
メニューを米国流に呼称するのが特徴
(牛丼→ビーフボウル、大きさ:並→レギュラー、大盛り→ラージ、
特盛→エクストララージ など)。
米国の店舗にあるチキンボウル(焼鳥丼)やソフトドリンクなど
日本の通常型店舗と異なったメニューが存在した。
(ウィキペディアより引用)
…というもの。早い話がアメリカから逆輸入された吉野家ですね。
それが地元にありまして。しかも何故か普通の吉野家の300mくらい近所に。
写真があれば! とネットを漁ったのですが、不思議なくらいに見当たらない。
どんなノリのお店だったか。おぼろげな記憶を元に書きます。
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お店の外観は、看板が英語で、店内には洋風のスツールがあります。
明るくて、どことなくサーティワンアイスクリームっぽい感じ。
そこに、以下のスタッフがいます。
〔受付のお嬢〕
帰国子女っぽい日本の女の子。ちょっとチアガールな雰囲気の制服を着て
ヘッドセット(インカム)をつけています。とても元気なキャラ。
〔肉担当・ビリーA〕
ビリーと書いたのは、ビリーズブートキャンプのビリーみたいだから。
屈強でムキムキ。おそらくはアメリカ人でアーミーっぽい雰囲気。
近くの横田基地からアルバイトに来ている? そんな感じ。
受付のお嬢の後方、1mくらいの調理場で牛肉の鍋を見守っています。
〔ごはん担当・ビリーB〕
ビリーAとほぼ同じく屈強。こちらもたぶんアメリカ人。
ビリーBは炊飯釜の前にいます。ごはんをよそう係のようです。
やはり受付のお嬢の後方、1mくらいに立っています。
この3人を前に私がオーダーをします。オーダーは日本語でOK
「ビーフボウルのラージを、持ち帰りでひとつ」
〔受付のお嬢〕がヘッドセットのマイクに向かって元気いっぱいに
「ビーフボウル、ラージ、ワン! テイクアウト~!」
ヘッドセットからの音声が店内のスピーカーから盛大に響き渡ります。
うんざりするくらいにビンビンに。マイク無くたって聞こえるだろうよ、なんでだよ。
すると後方1mでそれぞれの鍋と釜の前に立ちはだかっている(そんな感じ)
〔肉担当・ビリーA〕と〔ごはん担当・ビリーB〕が同時に叫びます。
「イエッサァァーーー!!!」
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これでご注文が完了。「ごっつええ感じ」のコントみたいでしょ。
どんな接客マニュアルがあったのか。あるいは無かったのか。それも不明ですけれど、
面白くて3回くらい行きました。そしていつの間にか閉店していた。
商品のビーフボウルは、日本の吉野家だとテイクアウトの容器は四角いですが、
吉野家USAは丸い容器。中身はいたって普通の牛丼でした。
あとスプーンが付いてきましたっけ。そのあたりはUSAですね。
あれからもう25年。今頃はどうしているんだろう。
また会いたいな、吉野家USAのお嬢とビリーたち。