よりそってよりそって

金沢
ライター
いんぎらぁと 手仕事のまちから
しお

先日、機会があって水引作家・水花(すいか)さんのワークショップに行ってきた。

金沢の伝統工芸でもある水引のアクセサリーや作品は繊細さと可憐さが素敵で、自分でもいつか作ってみたいと思っていたのだが、なんせ不器用なのでなかなか挑戦できなかった。

水花さんは息子の同級生のママさんで、ワークショップは育友会のイベントとして行われたので、せっかく門が開かれたこのタイミングに、勇気を出して教わりに。

ワークショップでは基本のあわじ結びと玉結びを習って、水引飾りのミニクリスマスツリーを作ることになった。

まずは緑と赤の練習用水引であわじ結びの練習をひたすら、ひたすら。

あわじ結びは結婚式のご祝儀袋についているような飾りで、最初は何がどうなってこうなったのかがまったくわからなかったが、何度もやっていくとなんとなくできてきた。

突然だが、わたしが裁縫や編み物を嫌いな理由に、糸や毛糸の自立心のなさがある。

やつらはしっかり持っていないとふにゃりとなるくせに、持たせてもくれないシーンが多すぎるのだ。

たとえば、糸を針穴に通すとき、糸の先は持てない。

ちょっと離れたところを持って、その先端を通すとき、針穴目前にして案の定ふにゃり。

わたしの心もふにゃり。もういやーーーー!

しかし、水引は和紙でできているから、ある程度指でクセ付けをすると固定してくれるのだ。

すごく難しそうだけど、そして実際に難しかったけど、ふにゃり恐怖症のわたし的に意外とやりやすい。

あわじ結びができるようになったら、次は玉結びを作っていく。

わたしはブルー系をメインに、キラキラとした可愛い水引を7本選ばせてもらった。

基本90センチの水引1本から、クリスマスツリーの飾り用に2個の玉結びができる。

あわじ結びは丸が3つだが、さらにくるんとして4つ目の丸を作り、球形になるようカーブをつけて、編み込んでいく。

先生にアドバイスを求めると、「編んでいきたい方向の水引に、よりそう」とのこと。

よりそってよりそって、同じ方向に向かってよりそっていく。

そんなことを考えながら無心で作り続け、完成した玉結びをクリスマスツリーに飾る。

なかなか不揃いで大きさもまちまちだが、わたしにとって世界でひとつの宝物くらいに愛おしいものとなった。

水引には「人と人を結ぶ」という意味合いもあるらしい。

次の正月もきっとリアルには多くの人とよりそえないけれど、もっと自由にもっとのびのび生きられる2021年になるように、世の中みんな同じ方向へよりそっていけるように、願いを込めて水引細工をせっせと作ってみようと思う。

プロフィール
ライター
しお
ブランニュー古都。 ふるくてあたらしいが混在する金沢に生まれ育ち、最近ますますこの街が好きです。 タウン情報サイトの記者やインターネット関連のまとめ記事などを執筆しながら見つけたもの、感じたことをレポートします。 てんとうむししゃ代表。

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP