人類の選択が1つ違っていたら高田馬場生まれだったかもしれない

東京
フリーランス記者・作家
スーパーいわちゃんねる!クリ目版
岩崎

 高田馬場を訪れると、いつもなんとも言えない気持ちになる。70年以上前、祖母たちがこのあたりに住んでいたからだ。

 祖母は第二次世界大戦中、戦火を逃れるために親戚を頼って宮城県に疎開した。そこで「東京モンが!東京さ帰れ!」などと言われ、いじめられたこともあったらしい。以来、祖母は宮城に住み続け、途中色々あって孫の私がいるのである。

 時はすぎて現代、新型コロナウイルス流行中。仮に私が今、地元に帰ったら似たようなことを言われて忌避されるだろう。人間って変わらないなぁと思う一方で、当時の祖母たちの気持ちがちょっとだけ想像できた。

 第二次世界大戦が起きなければ、祖母たち一家はずっと高田馬場で暮らしているはずだった。そして私も東京生まれの東京育ちとなり、西武新宿線ユーザーで、地方民の苦しみを知ることなく、練馬を田舎とバカにする人になっていたかもしれない。つまり、第二次世界大戦を選択した人たちのせいで、私はその可能性を失い、現在に至っている。私だけではない。他の人も○○がなければ今頃は違っていたかもしれない……という人が少なからずいるはずだ。

 この世界で起きている出来事は、誰かが何かを選択した結果であるということだ。何かと不安定なこのご時世、何が正解かわからなくなっている気がする。しかし、それでも私たちは未来へ進む歩みを止められない。ならば、せめて最善の選択肢を選べるような意識と努力だけは欠かさずにいきたい。そう思う2021年の正月である。

プロフィール
フリーランス記者・作家
岩崎
メディア関係の仕事を経て、書いて撮って編集・デザインして発信できる「平面系マルチクリエイター」を目指す平成元年生まれ。巳年・蠍座の女。本家ブログは「スーパーいわちゃんねる!」で検索。宮城県出身、東京都在住。年末に安くなっていたねり丸クッションを衝動買いして愛でる日々が続いており「むすび丸という本命がいるのに……」という謎の背徳感を抱いている。キモい。

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