ずんだってなんだ?
以前、大阪から来た人に「ずんだって何なんですか? めっちゃ食欲減退の色してるやないですか」と言われて割とショックを受けたことがある。えっ? あの鮮やかなグリーンを見ただけでヨダレが出そうになるのに……。
待てよ、逆に考えるんだ。その人は氷山の一角の恐れがある。他にも「ずんだって何入ってるかわからないし、ちょっとキモい……」と、思っている人がいるかもしれない。
ということで仙台名物「ずんだ」について解説する。
その前に、先日都内某所(練馬区)で偶然見つけたこちらをご覧いただきたい。
プライスカードには「ずんだ餅」と記載されていたが、残念ながらこれはずんだ餅ではない。
「ずんだ」とは「すり潰した枝豆に砂糖を混ぜた餡」。言い換えると甘い枝豆ペーストであり、広く知られている「ずんだ餅」は「ずんだを餅にかけたもの」である。
だからこの食べ物は、正確には「ずんだ団子」である。惜しい。
都内某所(練馬区)の某あなたのコンビニで販売されていたこちらのアイスクリーム。商品名に「ずんだもち」とあるが、これは仙台人に言わせてもらうと「ずんだ餅味のアイス」である。ただ、マツコデラックス氏が絶賛したずんだシェイクの販売元・ずんだ茶寮監修とのことなので味に間違いはない! ……と、思ったら。
佐賀県産もち米って……。いや、SAGAは悪くないし嫌いじゃない。ただせっかくなので宮城県産、それが難しいならせめて東北産の米を使ってほしかった……。
おいしかったから許すけど(いろんな意味で甘い)。
ここで、ちょっと前に流行ったピコ太郎氏のあの曲を思い出していただきたい。
ズンズンズンズン チャッチャ
ズンズンズンズン チャッチャ……
アイ ハブ ア ずんだ〜♪
アイ ハブ ア もち〜♪
……んぅー!! ずんだ餅〜♪
お分かりいただけただろうか。つまりそういうことだ(?)
こちらも都内某所(練馬区)で販売されていたが、商品名がきちんと「ずんだ団子」になっている。
おっ! と思ってよく見たら、仙台で有名なお店のものだった。そうだよね、専門店がずんだの概念を間違えるはずがないよね……。
ところで「ずんだ」という言葉はどこから来たんだ? 実は諸説あり、「陣太刀ですり潰して作った説」「甚太さんが作った説」「豆(ず)を打って(だ)作ったから説」などがあるが、いずれの説からも江戸時代の伊達政宗公統治時代に誕生し、元の言葉が訛ってできたものであることが伺える。
先にも紹介した通り、作り方は茹でた枝豆を潰して砂糖を混ぜるだけでなので、数ある郷土料理の中では比較的簡単にできる……が、めちゃくちゃ手間がかかる。私自身、幼少期に一度家族と一緒に作ったことがあるが、口当たりを良くするために薄皮を一粒ずつ剥く作業が超面倒くさかった。しかもそこそこの量をこなさないと餡にならないし、さや1本から何粒の枝豆が採れるのよ? てんこ盛りの枝豆を処理しないと十分な量ができないよ? って話なので、時間も結構かかる。もしもどこかで手作りずんだのスイーツを見かけたら、作ってくれた人の手間暇に感謝しながらおいしくいただきたいものである。
近年は「ずんだロールケーキ」や「ずんだプリン」「ずんだソフト」など、餅や団子以外のバリエーションが増えてきている。
また、冷凍・冷蔵技術の発達に伴い通年で食べられるようになっているが、やはり一番おいしく食べられるのは枝豆が旬を迎える夏。その頃には新型コロナウイルスが落ち着いて、気軽に仙台に行けるようになってるといいなぁ……。