イッツ・ア・スモールワールド
ジオラマ好きな小学生4年の息子たっての希望で、「ミニチュアドールハウス展 in 金沢エムザ」へ行ってきた。
日本を代表するミニチュアドールハウス作家さん7人の作品約70点を一堂に会し、撮影も自由。少女時代はひたすらジェニーちゃん(って今販売されてないんですね…)とリカちゃんハウスで遊んでいたわたしも、なかなかに見ごたえのあるイベントである。
しかし、さすが人気作家さんたちの作品はそれぞれに個性があり、見せ方や演出もさまざま。
9センチ角に複雑な感情を込めて作ったという「節穴」は、捨て犬を飼うことを許してもらえなかった女の子の切なくも優しい、けれど現実は厳しいというストーリーもさることながら、そのすべてを象徴するように流れるノスタルジックな電信柱の影がよかった。
木下幸子さんのこれぞドールハウスというような、クラシックな作品も美しい。
津田玲子さんのビスクドールもリアルで動き出しそうな魅力と、精巧なコスチュームが素晴らしい。
息子がもっとも前を離れなかったのが、戸塚恵子さんのミニチュア屋台やお店を展示したゾーンだ。
わかるわかる、どれだけ見ても飽きないよね。お弁当や駄菓子のひとつひとつが細かくて、いったいどんな風に作っているのか考えるだけでもある意味人間技とは思えないすごさがある。
ご夫婦でユニットを組むHiroyuki & Kyokoさんの展示方法も、ガラスケースの中と外を使って作品を表現していておもしろい。
そして、わたしが1番心惹かれたのは、「ミニチュア金魚アート」を手掛ける小林美幸さんの作品だ。
初めて作品を拝見したのだが、金魚や水族館が大好きなわたしは一瞬で夢中になった。小さい小さい、数ミリの金魚の丁寧さ!
金魚を見ながら金魚モチーフのメニューを楽しめる「金魚カフェ」、百貨店の中にある「アクアリュウムラウンジ」、「Goldfish and Green Shop」も恐らくすべて架空の店なのだが、店舗デザインや内装も本当にあったらきっと通うのに!というほど素敵だった。
出口近くには各作家さんが製作した「金沢ゆかりの建物」として、武家屋敷近くの「あめの俵屋 本店」や「加賀麩不室屋 尾張町店」、近江町市場の「すゞめ」「ヤマカ水産」、浅野川での「加賀 友禅流し」が展示されており、地元のお店が1/12サイズになっているのも感動だ。
せっかくの夏休みだというのに旅行はもちろん、花火や夏祭りもなし。プールすら閉鎖されてどこにもいけないわたしたち親子もおかげさまで小さな世界一周気分が味わえた。
ザ・O型で大ぶりな性格のわたしだが、いつかこの奥深いミニチュアを見るだけでなく、自分でも作ってみたいと淡い夢を抱きながら展示を後にしたのだった。