クリエイター同士が語り合うのに、拳も言葉もいらない(と思う)
「お前とは一度、拳で語り合いたかったぜ……!」と言ってバトルが始まるのは少年マンガでよくある展開。
人より優れた能力を有し、それをよりを高めたいと願う者同士は、時に競い合うものである。特にスポーツとか武術とかそうだよね。
それをクリエイティブ業界に置き換えると、話がちょっと変わってくる。
少なくともクリエイターがどこかの河原に集まって殴り合う、なんてアウトローなことは起こらない。
彼らは何で自分たちのウデを競うのか?
答えは簡単、「作品」である。
そしてその作品を競う、ドラゴンボールで例えるなら「天下一舞踏会」みたいな場が、各種コンペだったりコンクールだったり、コンテストだったりするのである。
先日、東京スカイツリータウン・ソラマチで開催された食品サンプルの老舗「株式会社岩崎(イワサキ・ビーアイ、東京都大田区)」の「おいしさのアート展2021」に行ってきた。
普段は飲食店のオーダーに忠実なものづくりを目指している製作技術者たちが、つくりたいものをつくることを許される唯一の場として開催されている社内コンクールだそうで、同社で活躍する職人たちが生み出した珠玉の逸品が60点以上展示されていた。
できたてのシズル感を極限まで表現した作品から、溢れんばかりのユーモアで思わずクスッとしてしまう作品まで多種多彩で、職人さんの個性が全面に出ているのが見ていて大変面白かった。
ついでにお腹が空いた。食品サンプルなのに……ぐぬぬ。
同社では今年度、コロナ禍の影響や遠方の社員に配慮して社内審査を一部オンラインで実施したとのこと。
このご時世だ。恐らく、この職人さんたちが一堂に会することは滅多にないだろう。
だが、ソラマチの展示で並べられた作品を見て、同じ仕事に就く者同士が魂込めた作品を通して互いを労い、技術を称賛し、語り合えているということをヒシヒシと感じた。
切磋琢磨に言葉はいらない。あ、なんかちょっとカッコイイかも……。
※念のため最後に書き記すが、岩崎さんのご縁を勝手に感じてお邪魔したが、ウチの岩崎は株式会社岩崎と1ミクロンも関係がないことをお伝えしておく。