14作家の多彩な「食」を感じる「フード」展
桜が咲いたと思ったら、急に春を飛び越えて夏の日差しが降り注ぎだした金沢。
長町武家屋敷跡の軒下の日陰を選びながら歩くと、土蔵を改装したギャラリー・creavaがある。
4月24日まで、グループ展「フード」が開催中だ。
金沢市を中心に活動する14組の若手作家が「食」をテーマに約70作品を出品している。
「食」という人間や生活になくてはならない身近なキーワードをモチーフにした作品は、単純に楽しい。
とくに琴線に触れた素敵な作品群を紹介していきたい。
共同生活をしながら陶芸作品などを作る「キタイッサカの土間」の四井雄大さん「パセリコレクション4」
パセリをコレクションできる焼き物である。
しかも「4」。ということは、1~3もあるのか?!
水も入れられて「いつでも水みずしく」。なんともニヤリな作品である。
奥の土蔵スペースへ進むと寿司弁当のバランのようなものが生えている皿があり、それも目を惹いてみたら四井さんの作品だった。
同じく、「キタイッサカの土間」の堀江たくみさんの作品も面白い。
陶芸の器や皿には漫画チックな女の子。
しかも、絵付けは漫画家が使うGペンで行うという。
絵画では、日常の「食」を表すようなコンビニを描いた北原明峰さん。
モノクロの点画がベースなのだが、コンビニブランドを象徴するようなカラーが印象的。
中川暁文さんの写真作品は、趣味のキャンプや釣りをしながら食べた(料理した)ものを展示していて、雪の中に今にも湯気が上がりそうな目玉焼きトーストがなんともおいしそう。
コンビニを描いた北原さんの作品と、自然の中で自炊をする様子を収めた中川さんの写真が同じ壁に展示されて、対比になっている。
映像作品を出品したwith Rhythmsさんの「fruit party」は、果物を男女が和やかに切ったり剥いたりしていく様子を会話とも音楽とも料理の音ともいえないBGMとあわせて上映している。
明るい雰囲気の映像とちょっぴり不安になる音がまじりあい、不思議な気持ちになっていく。
「食」は人それぞれ好みや食べる時間帯、自炊派か外食派かご飯かパンか、みんな違う。
「一品持ち寄りの様な展覧会」とのコンセプトで、個性的な現代作家さんの感性がたった一つのテーマからいろんな方向に散らばっていて良かった。
あら、お腹いっぱい。ごちそうさまでした。