プロ野球の応援歌から「表現する」ということの本質に触れた日
この世界にはさまざまな表現技法があり、それを用いて何かを表現する人たちがたくさんいます。
私は言葉や文字(文章)で表現することが得意です。
頭の中でまとめたことを出力する際に、文字化するのが一番やりやすく、また自分の伝えたいことに合っていると感じるからです。理性的にも感情的にも表現できて、時には視覚的にも訴えられるのが文字で表現することの魅力だと思っています。
ところで、私たちはなぜ「表現」したいのでしょうか。
この問いに対してはさまざまな答えがあると思いますが、共通するのは「何かを伝えたい、という願いが込められている」ことだと思います。
そんな私が、苦手意識があった音楽・歌で気持ちを表現したいと思ったことがあったので、ちょっとだけお話しします。
前回のエントリーでもお伝えしましたが、今年の夏から埼玉西武ライオンズおよびプロ野球にドが付くほどハマってしまいました。
現地観戦に6回行き、そのうち5回はベルーナドームで開かれたライオンズのホームゲーム。しかし、ハマったタイミングがシーズン後半だったことに加え、チームの不調が重なってしまい、観戦する日の前日の段階で4連敗を喫していました。
負けが続いているからといって応援しなくなるのはファンとして違う、と個人的に思っています。
連敗を止めたい一心でドームに向かいました。
ところが……選んだ席があまりよろしくないところでした。
両脇の人たちがどちらもお酒をダラダラ飲みながらチームへの文句ばかり垂れていて、全然応援する姿勢がありませんでした。野球ファンにもいろいろな人がいると頭ではわかっていたつもりですが、いざそういう人が隣にいるとなると、自分が抱く熱量との差にガッカリしました。
そして、試合はチームがここぞというチャンスを決められず、相手チームにリードされたまま7回裏を迎えました。
ご存じの方もいると思いますが、プロ野球では7回は「ラッキーセブン」ということで、その回に攻撃するチームの応援歌を歌います(ただし現在はコロナ禍のため大声NG)。
実は私、この日までなぜかライオンズの応援歌がどうしても覚えられませんでした。
なぜか何回も聞いているはずなのに、歌詞もメロディーもあいまいのまま。
しかし、この日だけは違いました。
「逆転してほしい!絶対勝ってほしい!強いライオンズと、選手の皆さんの笑顔が見たい!」という願いがエネルギーとなったのか、歌詞とメロディーがスーッと自分の中に入りました。こんなことってあるんですね。
そして音楽に合わせて小声で歌詞を口ずさみ、無我夢中で応援グッズのフラッグを振ることができました。残念ながら試合は負けて5連敗目となってしまいましたが、以来、応援歌は何も見なくても歌えるようになりました。
人生で初めて自分の気持ちを音楽に乗せて表現した瞬間、ちょっと世界が違って見えました。
あなたが「表現したいこと」は何ですか?
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