舞台の上にいる水谷豊、これを観ない手は、ない!「帰ってきたマイ・ブラザー」
「座組(ざぐみ)」とはどんな意味の言葉かご存じだろうか。
最近はビジネスシーンでも「プロジェクトに参加するメンバーの組み合わせ」というような意味合いで使われるようになってきたが、もともとは演劇の言葉だ。
役者同士をどう組み合わせるか。それは相性とかキャラクターという要素だけでなく、舞台で対峙した時にどんな化学反応を起こすのか、事前には予想しえない要素までを含む複雑な状況をとらえられる先見の明が必要になる。だから座組の良い芝居の裏には間違いなくプロデューサーや制作陣の優秀さがある。
今、ある芝居の開演にあたって、「近年まれにみる、最高の座組だ」と言われているのが、4月1日開演の舞台「帰ってきたマイ・ブラザー」だ。
かつて大ヒット曲を放ったが、あっという間に消えてしまった伝説の4兄弟ボーカルグループ「ブラザー4」が再結成を実現させていく物語。4人は堤真一、段田安則、高橋克実となんと水谷豊。かつてのマネージャーには寺脇康文、「ブラザー4」の熱狂的なファンには、演劇好きにはたまらない人選の池谷のぶえと峯村リエ。しかもこの顔ぶれで全国9都市公演はまさに奇跡である。
いったい何から語ればいいのだ。名優の域に達する堤、段田、高橋に、予想もできなかった「相棒」コンビ、水谷は23年ぶりの舞台だし、あまりにも贅沢すぎる。情報が多すぎるのだ。
今回は事前の情報公開が少なく、なぜ再結成の話が出てくるのか定かではないが、ひょんなきっかけから彼らの存在が世間で注目を集め始める。
劇中の4人と同様、4人の名優たちは今回は歌の猛特訓を余儀なくされている。水谷は長く音楽活動を続けており、正真正銘の歌手だが、振り付きのボーカルに苦闘する他の3人と共に、猛稽古を続けている様子。
組み合わせだけでなくファンが感激の面持ちでいるのは、水谷があまりにも久しぶりすぎる舞台出演に挑戦していることだ。
2000年から続くドラマ「相棒」に打ち込んでいるとも言えそうだが、放送は毎年10月から翌年3月までの半年に固定。撮影が行われない冬から春にかけての5か月間を水谷は自らが監督を務める映画の撮影や、主演する時代劇ドラマの撮影、ライブ活動など、有効的に活用している。 演技が大好きな水谷のことだから、演劇はやりたかったはずだ。要するに、何かに挑戦し続けたいという気持ちを抱き続けていたことが大きいのだろう。そうでないと「相棒」もこんなに続かない。
その「相棒」の初代相棒で昨年返り咲いた亀山薫を演じる寺脇の出演も話題だ。 今回は大ヒット当時のマネージャーで今回の再結成にも駆けつける役柄だ。現在も進行中の杉下右京と亀山という関係とは全く違う関係性。しかし、普段から鍛え上げているコンビネーションがマネージャーとボーカルグループのメンバーという関係にどう活きるのかにも観客は興味津々のはずだ。
舞台は、今はもう別への職業についている4兄弟が「ブラザー4」時代の勘を取り戻せるのか。それと、4人の名優がどう個性をぶつけて溶け合わせていくのかが同時に焦点になっていく。
池谷と峯村のことは詳しく説明する必要はないだろう。シリアスからコミカルまで、八面六臂の大活躍。小劇場界を沸かせ、今やテレビにも引っ張りだこだ。脚本はジョビジョバのマギーが担当。演出は小林顕作が手がける。
舞台の上にいる水谷豊、これを観ない手は、ない!
舞台「帰ってきたマイ・ブラザー」は
4月1日~23日に東京・三軒茶屋の世田谷パブリックシアター
5月11~14日に名古屋市の御園座
5月18~22日に大阪市の森ノ宮ピロティホール
5月26~29日に福岡市のキャナルシティ劇場
6月2~4日に兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
6月8~11日に新潟市のりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場
6月16~18日に札幌市のカナモトホール
6月23~24日に仙台市の電力ホール
6月29~30日に京都市のロームシアター京都 メインホール
で上演される。